ベトナム 「持続可能なコーヒー生産」 長年の努力実る
温暖化対応 堅実に収入
ベトナムはブラジルに次ぐ世界2位のコーヒー輸出国、ロブスタ種では世界一です。苦みと濃厚さが特徴のベトナム・コーヒーは日本でも広まりつつあります。ベトナム最大のコーヒー産地、西部高原地帯のダクラク省の省都バンメトート一帯では「持続可能なコーヒー生産」が進められ、農民の所得安定にもつながっています。
(ダクラク省バンメトート=井上歩 写真も)
「とても効果的な装置なんです」。同省ククイン県のコーヒー農家グエン・バン・クエンさん(52)はいいます。パイプを通じてコーヒーの木の根元に給水する装置を2年ほど前に導入しました。肥料を混ぜることもできます。「水量も肥料の量も正確。農薬を制限した栽培ができる」といいます。
新しい給水装置を見せるグエン・バン・クエンさん=ベトナム・ダクラク省ククイン県
技術導入
この装置は、同省の農業・農村開発部が「持続可能なコーヒー生産」のため企業と連携して進める技術導入の一例。設備代5000万ドン(約25万円)の半額を農民に補助しています。
ホースによる水まきでは避けられなかった余分な水代と労賃がかからなくなるので、農民は投資分もすぐに回収できるといいます。
ダクラク省農業部幹部のグエン・ハック・ヒエンさんは「科学技術を適用し、品質を重視した、気候変動に対応する持続可能なコーヒー生産を目指し、長期的に取り組んでいる」と話します。
ベトナムがコーヒー生産大国となった要因の一つは、栽培するロブスタ種の生産性の高さ。農業・農村開発省によると、1ヘクタールあたりの収穫量が2トン以上と世界平均の2倍です。
加えて、近年ベトナムの研究所が品種改良に成功。新しい品種は4トン以上も収穫でき、病気に強く高品質だといいます。
同省農産局のレ・バン・ドゥック副局長は、「コーヒーは、コメと並ぶベトナムの主力作物。新しい品種は、研究に長い間、投資してきた成果だ」と語ります。
全国で新品種への植え替えが進み、栽培面積は20年に12万ヘクタール(総面積の5分の1)に達する見込みです。
省農業部のヒエンさんは「多くの農民が行政の援助を受けつつ自ら農地を経営し、より堅実に収入を得るようになっている」と強調。農家のクエンさんは「経済状況はかなり良くなった。息子は日本に留学して情報通信技術を学んでいる」と誇らしげに語りました。
価格低迷
一方、投機に左右されるコーヒー豆の価格は長期に低迷しています。この1年は特に下落し、「ベトナムも大きな影響を受けている」とドゥック副局長はいいます。ククイン県でも今年はコーヒーで利益が出ず、混合栽培する果物の売り上げでしのぐ農民が少なくありません。
その一人レ・バン・ホンさん(63)は「いまは作業量やコストに比べて、価格が安すぎる」と訴えます。願うのはキロ当たり1万ドン(約50円)程度の価格回復です。そうすれば新品種のコーヒーの木が育つにつれて収穫も増え、「希望を持てる」といいます。
省農業部のヒエンさんは、国際価格のほか、気候変動と天候不順への対応、協同組合や加工産業の発展など課題が多いと認めます。それでも、持続可能な生産を進めるバンメトートのコーヒーには「良い展望がある」と語りました。
全日本コーヒー協会のウェブサイトによると、現在、世界で商業的に栽培されているコーヒーは「アラビカ種」と「ロブスタ種(カネフォラ種)」の2種類が大半で、アラビカ種が全体のおよそ3分の2。酸味と香りが特徴のアラビカ種に対し、ロブスタ種は苦みと「こく」が特徴といいます。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月16日付掲載
日本のコーヒー豆の輸入先を調べてみたら、2016年の数字でブラジル31.7%、ベトナム22.8%、コロンビア15.4%、グアテマラ8.5%、インドネシア8.0%となっている。
以外にもベトナムからの輸入が多い。頑張ってほしいですね。
温暖化対応 堅実に収入
ベトナムはブラジルに次ぐ世界2位のコーヒー輸出国、ロブスタ種では世界一です。苦みと濃厚さが特徴のベトナム・コーヒーは日本でも広まりつつあります。ベトナム最大のコーヒー産地、西部高原地帯のダクラク省の省都バンメトート一帯では「持続可能なコーヒー生産」が進められ、農民の所得安定にもつながっています。
(ダクラク省バンメトート=井上歩 写真も)
「とても効果的な装置なんです」。同省ククイン県のコーヒー農家グエン・バン・クエンさん(52)はいいます。パイプを通じてコーヒーの木の根元に給水する装置を2年ほど前に導入しました。肥料を混ぜることもできます。「水量も肥料の量も正確。農薬を制限した栽培ができる」といいます。
新しい給水装置を見せるグエン・バン・クエンさん=ベトナム・ダクラク省ククイン県
技術導入
この装置は、同省の農業・農村開発部が「持続可能なコーヒー生産」のため企業と連携して進める技術導入の一例。設備代5000万ドン(約25万円)の半額を農民に補助しています。
ホースによる水まきでは避けられなかった余分な水代と労賃がかからなくなるので、農民は投資分もすぐに回収できるといいます。
ダクラク省農業部幹部のグエン・ハック・ヒエンさんは「科学技術を適用し、品質を重視した、気候変動に対応する持続可能なコーヒー生産を目指し、長期的に取り組んでいる」と話します。
ベトナムがコーヒー生産大国となった要因の一つは、栽培するロブスタ種の生産性の高さ。農業・農村開発省によると、1ヘクタールあたりの収穫量が2トン以上と世界平均の2倍です。
加えて、近年ベトナムの研究所が品種改良に成功。新しい品種は4トン以上も収穫でき、病気に強く高品質だといいます。
同省農産局のレ・バン・ドゥック副局長は、「コーヒーは、コメと並ぶベトナムの主力作物。新しい品種は、研究に長い間、投資してきた成果だ」と語ります。
全国で新品種への植え替えが進み、栽培面積は20年に12万ヘクタール(総面積の5分の1)に達する見込みです。
省農業部のヒエンさんは「多くの農民が行政の援助を受けつつ自ら農地を経営し、より堅実に収入を得るようになっている」と強調。農家のクエンさんは「経済状況はかなり良くなった。息子は日本に留学して情報通信技術を学んでいる」と誇らしげに語りました。
価格低迷
一方、投機に左右されるコーヒー豆の価格は長期に低迷しています。この1年は特に下落し、「ベトナムも大きな影響を受けている」とドゥック副局長はいいます。ククイン県でも今年はコーヒーで利益が出ず、混合栽培する果物の売り上げでしのぐ農民が少なくありません。
その一人レ・バン・ホンさん(63)は「いまは作業量やコストに比べて、価格が安すぎる」と訴えます。願うのはキロ当たり1万ドン(約50円)程度の価格回復です。そうすれば新品種のコーヒーの木が育つにつれて収穫も増え、「希望を持てる」といいます。
省農業部のヒエンさんは、国際価格のほか、気候変動と天候不順への対応、協同組合や加工産業の発展など課題が多いと認めます。それでも、持続可能な生産を進めるバンメトートのコーヒーには「良い展望がある」と語りました。
全日本コーヒー協会のウェブサイトによると、現在、世界で商業的に栽培されているコーヒーは「アラビカ種」と「ロブスタ種(カネフォラ種)」の2種類が大半で、アラビカ種が全体のおよそ3分の2。酸味と香りが特徴のアラビカ種に対し、ロブスタ種は苦みと「こく」が特徴といいます。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月16日付掲載
日本のコーヒー豆の輸入先を調べてみたら、2016年の数字でブラジル31.7%、ベトナム22.8%、コロンビア15.4%、グアテマラ8.5%、インドネシア8.0%となっている。
以外にもベトナムからの輸入が多い。頑張ってほしいですね。