きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2020年度概算要求の焦点② 公共事業 大型開発温存し膨張

2019-09-24 14:15:57 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点② 公共事業 大型開発温存し膨張
国土交通省は、公共事業関係費として2019年度当初予算比19%増の6兆2699億円を要求しました。

国土強じん化で
防災対策に重点を置いたといいますが、18~20年度に実施する「防災・減災、国土強じん化のための3力年緊急対策」によるものです。
水害対策の推進は5623億円(30%増)です。河川整備計画などの見直しや堤防のかさ上げなどを強化します。
踏切や通学路などにおける交通安全対策は1619億円(20%増)です。歩行者をまきこむ交通事故が相次いだことを受け、歩道の整備など交通安全対策を推進します。
集中豪雨や火山噴火など土砂災害対策は1167億円(23%増)。南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策などには1999億円(42%増)を要求しています。
地方公共団体などの防災・減災対策、老朽化対策を支援する防災・安全交付金は1兆2611億円(21%増)です。




近年、大災害が頻発する中、防災対策の拡充は必要です。一方、大型開発事業を温存しているため、全体の要求額が膨れ上がっています。
高速道路の整備など物流ネットワークの強化は5106億円(38%増)。東京外かく環状道路を含む、三大都市圏環状道路などの整備が中心です。
航空ネットワークの充実に259億円(37%増)を要求。羽田空港の国際線増便のための飛行ルート変更など首都圏空港の機能強化をはじめ、アクセス鉄道や駐機場、航空保安施設などを整備します。福岡空港や那覇空港では、滑走路増設を進めています。
整備新幹線の整備は、19年度当初予算と同じ792億円です。北海道、北陸、九州(長崎ルート)新幹線の延伸部の目標通りの開業を目指し、追加で必要となる経費を「予算編成過程で検討する」としました。
国際コンテナ戦略港湾などの機能強化は732億円(39%増)。社会資本整備総合交付金は1兆37億円(20%増)です。



基準超過のヒ素やフッ素を含む残土が発生したリニア中央新幹線の西尾工区のトンネル工事現場=愛知県春日井市

東京五輪後視野
主な大型開発が終わりを迎える20年の東京オリンピック後を見据え、さらなる大型開発を進める構えです。
新大阪駅を新幹線ネットワークの拠点とする「地方創生回廊中央駅構想」の調査費を盛り込みました。新大阪駅は、東海道新幹線と山陽新幹線だけでなく、北陸新幹線とリニア中央新幹線も乗り入れる予定です。現在の高架ホームでは増発や新規路線の乗り入れができないため、ホームを地下化する大規模な計画です。
安倍晋三首相や麻生太郎財務相への「忖度(そんたく)」が問題となった下関北九州道路や東京外環道(東名-湾岸間)など、高速道路建設にも調査費をつけています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月18日付掲載


防災・減災対策、踏切や通学路などにおける交通安全対策、インフラの老朽化対策は必要な予算。
それと合わせて、新大阪駅に北陸新幹線やリニア中央新幹線を入れる先々までの予算も潜り込ませてある。

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2020年度概算要求の焦点① 税財政 軍事費増、大企業支援拡充

2019-09-24 08:13:15 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点① 税財政 軍事費増、大企業支援拡充
2020年度予算編成に向けた各省庁からの概算要求と「税制改正」要望が8月末に出そろいました。第2次安倍晋三内閣成立以降、概算要求段階から予算編成を行うのは7度目です。特徴をみます。

20年度の概算要求の一般会計総額は104兆9998億円と過去最高を更新しました。100兆円を超えるのは6年連続です。しかも安倍政権が10月に強行を狙う消費税増税への「臨時・特別の措置」は、予算編成過程で検討するとしており、実際の要求額がさらに膨らむのは確実です。




消費税増を前提
20年度概算要求は消費税増税を前提としたものです。一方で社会保障抑制路線を続け、軍事費は増大させます。
軍事費は5兆3223億円と過去最大になりました。5兆円を超えるのは5年連続。安倍政権発足後の13年度から8年連続で前年度を上回り、6年連続で過去最高を更新しました。SACO(沖縄に関する日米特別委員会)関係経費や米軍再編関係経費などは額を明示しない「事項要求」としました。19年度と同水準で計上されれば、5兆5000億円を超えることになります。
米軍と自衛隊の一体化が進みます。海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」の空母への改修費として31億円を計上。米国製最新鋭ステルス戦闘機F35Bの発着艦ができるようにします。
米国からの高額兵器の購入が高水準で続きます。自衛隊は1機116億円のF35Aを105機、同141億円のF35Bを42機購入する計画です。アメリカ政府から武器を購入する「有償軍事援助(FMS)」は5013億円にのぼります。米国の軍需産業を肥え太らせるものです。



消費税10%増税ストップを訴えパレードする人たち=9月12日、東京・銀座

「自然増」を圧縮
厚生労働省は年金・医療などにかかる経費として30兆5269億円を要求。19年度に比べ5353億円増です。高齢化などによる「自然増」を圧縮し、増額をその範囲にとどめました。不十分な医療・介護体制や、低年金などは放置することになります。
国土交通省の公共事業予算では、「生産性と成長力の引き上げの加速」の名目で、三大都市圏環状道路の整備など「効率的な物流ネットワークの強化」に19年度比38%増となる5106億円を要求。東京オリンピック後を見据え、新事業への調査費用も盛り込まれました。JR新大阪駅を「地方創生回廊中央駅」として、機能強化に向けた調査をふくむ鉄道ネットワークの充実に22%増の182億円を計上しました。
経済産業省は小型原発などの開発支援に15億円、原発産業の基盤強化として技術開発や人材育成への支援として15億円を盛り込みました。内閣官房は情報収集衛星(スパイ衛星)の開発・運用のために184億円増の805億円を要求しました。
各省庁から20年度税制「改正」要望も出されました。大企業の税負担を圧縮する連結納税制度について、事業再編を行いやすくするとしています。大企業がベンチャー企業に投資した際に減税するしくみを新たにつくります。大企業支援策の拡充です。(つづく)(9回連載です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月17日付掲載


概算要求の額で言えば、すべての分野で増えている。軍事費と社会保障費もそれぞれ増えている。
しかしその中身が問題。社会保障は高齢化などによる「自然増」が圧縮されている。額は増えていても、実質的には減額だ。
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