2020年度概算要求の焦点② 公共事業 大型開発温存し膨張
国土交通省は、公共事業関係費として2019年度当初予算比19%増の6兆2699億円を要求しました。
国土強じん化で
防災対策に重点を置いたといいますが、18~20年度に実施する「防災・減災、国土強じん化のための3力年緊急対策」によるものです。
水害対策の推進は5623億円(30%増)です。河川整備計画などの見直しや堤防のかさ上げなどを強化します。
踏切や通学路などにおける交通安全対策は1619億円(20%増)です。歩行者をまきこむ交通事故が相次いだことを受け、歩道の整備など交通安全対策を推進します。
集中豪雨や火山噴火など土砂災害対策は1167億円(23%増)。南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策などには1999億円(42%増)を要求しています。
地方公共団体などの防災・減災対策、老朽化対策を支援する防災・安全交付金は1兆2611億円(21%増)です。
近年、大災害が頻発する中、防災対策の拡充は必要です。一方、大型開発事業を温存しているため、全体の要求額が膨れ上がっています。
高速道路の整備など物流ネットワークの強化は5106億円(38%増)。東京外かく環状道路を含む、三大都市圏環状道路などの整備が中心です。
航空ネットワークの充実に259億円(37%増)を要求。羽田空港の国際線増便のための飛行ルート変更など首都圏空港の機能強化をはじめ、アクセス鉄道や駐機場、航空保安施設などを整備します。福岡空港や那覇空港では、滑走路増設を進めています。
整備新幹線の整備は、19年度当初予算と同じ792億円です。北海道、北陸、九州(長崎ルート)新幹線の延伸部の目標通りの開業を目指し、追加で必要となる経費を「予算編成過程で検討する」としました。
国際コンテナ戦略港湾などの機能強化は732億円(39%増)。社会資本整備総合交付金は1兆37億円(20%増)です。
基準超過のヒ素やフッ素を含む残土が発生したリニア中央新幹線の西尾工区のトンネル工事現場=愛知県春日井市
東京五輪後視野
主な大型開発が終わりを迎える20年の東京オリンピック後を見据え、さらなる大型開発を進める構えです。
新大阪駅を新幹線ネットワークの拠点とする「地方創生回廊中央駅構想」の調査費を盛り込みました。新大阪駅は、東海道新幹線と山陽新幹線だけでなく、北陸新幹線とリニア中央新幹線も乗り入れる予定です。現在の高架ホームでは増発や新規路線の乗り入れができないため、ホームを地下化する大規模な計画です。
安倍晋三首相や麻生太郎財務相への「忖度(そんたく)」が問題となった下関北九州道路や東京外環道(東名-湾岸間)など、高速道路建設にも調査費をつけています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月18日付掲載
防災・減災対策、踏切や通学路などにおける交通安全対策、インフラの老朽化対策は必要な予算。
それと合わせて、新大阪駅に北陸新幹線やリニア中央新幹線を入れる先々までの予算も潜り込ませてある。
国土交通省は、公共事業関係費として2019年度当初予算比19%増の6兆2699億円を要求しました。
国土強じん化で
防災対策に重点を置いたといいますが、18~20年度に実施する「防災・減災、国土強じん化のための3力年緊急対策」によるものです。
水害対策の推進は5623億円(30%増)です。河川整備計画などの見直しや堤防のかさ上げなどを強化します。
踏切や通学路などにおける交通安全対策は1619億円(20%増)です。歩行者をまきこむ交通事故が相次いだことを受け、歩道の整備など交通安全対策を推進します。
集中豪雨や火山噴火など土砂災害対策は1167億円(23%増)。南海トラフ巨大地震・首都直下地震対策などには1999億円(42%増)を要求しています。
地方公共団体などの防災・減災対策、老朽化対策を支援する防災・安全交付金は1兆2611億円(21%増)です。
近年、大災害が頻発する中、防災対策の拡充は必要です。一方、大型開発事業を温存しているため、全体の要求額が膨れ上がっています。
高速道路の整備など物流ネットワークの強化は5106億円(38%増)。東京外かく環状道路を含む、三大都市圏環状道路などの整備が中心です。
航空ネットワークの充実に259億円(37%増)を要求。羽田空港の国際線増便のための飛行ルート変更など首都圏空港の機能強化をはじめ、アクセス鉄道や駐機場、航空保安施設などを整備します。福岡空港や那覇空港では、滑走路増設を進めています。
整備新幹線の整備は、19年度当初予算と同じ792億円です。北海道、北陸、九州(長崎ルート)新幹線の延伸部の目標通りの開業を目指し、追加で必要となる経費を「予算編成過程で検討する」としました。
国際コンテナ戦略港湾などの機能強化は732億円(39%増)。社会資本整備総合交付金は1兆37億円(20%増)です。
基準超過のヒ素やフッ素を含む残土が発生したリニア中央新幹線の西尾工区のトンネル工事現場=愛知県春日井市
東京五輪後視野
主な大型開発が終わりを迎える20年の東京オリンピック後を見据え、さらなる大型開発を進める構えです。
新大阪駅を新幹線ネットワークの拠点とする「地方創生回廊中央駅構想」の調査費を盛り込みました。新大阪駅は、東海道新幹線と山陽新幹線だけでなく、北陸新幹線とリニア中央新幹線も乗り入れる予定です。現在の高架ホームでは増発や新規路線の乗り入れができないため、ホームを地下化する大規模な計画です。
安倍晋三首相や麻生太郎財務相への「忖度(そんたく)」が問題となった下関北九州道路や東京外環道(東名-湾岸間)など、高速道路建設にも調査費をつけています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月18日付掲載
防災・減災対策、踏切や通学路などにおける交通安全対策、インフラの老朽化対策は必要な予算。
それと合わせて、新大阪駅に北陸新幹線やリニア中央新幹線を入れる先々までの予算も潜り込ませてある。