きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

2020年度概算要求の焦点④ 雇用 「多様な人材」活用促進

2019-09-25 15:04:11 | 予算・税金・消費税・社会保障など
2020年度概算要求の焦点④ 雇用 「多様な人材」活用促進
厚生労働省の2020年度概算要求の雇用関連予算は、高齢者や「就職氷河期世代」、外国人労働者など「多様な就労・社会参加の促進」を掲げます。
1993年から2004年の間に大学などを卒業した「就職氷河期世代」の無業者と非正規雇用者、約100万人への支援は653億円(19年度当初予算比164億円増)です。
しかし、このうち527億円(88億円増)は生活困窮者・ひきこもり支援の予算です。氷河期世代だけでなく、中高年のひきこもり者を対象に含みます。内閣府などを含む政府全体の氷河期世代対策予算の9割以上が氷河期世代以外も対象としています。実質的な支援額は不透明です。
氷河期世代支援でハローワークへの専門窓口の拡充(13億円)や、新たに資格取得の支援(35億円)を行います。
高齢者の就労促進に313億円(24億円増)を要求しました。ハローワークの「生涯現役支援窓口」増設や、65歳以上の継続雇用や定年引き上げへの助成措置です。
働く高齢者が増えているのは、低年金などで働かなければ暮らせないからです。年金収入だけで暮らせない高齢者を、安い労働力として利用しようというのが狙いです。


厚生労働省の雇用関連予算概算要求の主要事項(カッコ内は19年度当初予算比)
生産性向上の推進や同一労働同一賃金などの確保1449億円(226億円増)
長時間労働の是正や安全で健康に働ける職場づくり359億円(50億円増)
ハラスメント対策45億円(5億円増)
柔軟な働き方がしやすい環境整備6.4億円(1.5億円増)
「就職氷河期世代」の支援653億円(164億円増)
高齢者の就労・社会参加の促進313億円(24億円増)
「外国人材」受け入れの環境整備125億円(17億円増)


対応言語14カ国
「外国人材」受け入れの環境整備は125億円(17億円増)です。外国人労働者の労働相談・支援体制の強化は19億円(6億円増)。
電話で通訳する「多言語コンタクトセンター」(委託、2600万円)の対応言語を11から14カ国に増やします。ハローワークで利用できますが、都道府県の労働局や労働基準監督署の総合労働相談コーナーでも利用可能にします。
外国人労働者受け入れの主な仕組みとなってきた技能実習制度では、法令違反が横行し、問題となっています。4月には外国人労働者受け入れの新制度が始まりました。違法行為の相談が増えると、対応しきれない恐れがあります。
「長時間労働の是正」などは359億円(50億円増)です。労働時間の短縮に取り組む中小・小規模事業者の支援は176億円(28億円増)。生産性の向上が前提条件です。



職場に向かう人たち=東京都千代田区

深刻な人員不足
長時間労働の是正やブラック企業の摘発に欠かせない労働基準監督官は、深刻な人員不足が続いています。110人の増員を要求しましたが、どれだけの純増になるかは不透明です。
賃金引き上げに向けた「生産性向上」などの推進や同一労働同一賃金などの確保は1449億円(226億円増)。1230億円(235億円増)をキャリアアップ助成金に充てます。非正規雇用の正社員転換などに取り組む事業主を支援する措置です。
フリーランスなど「柔軟な働き方」がしやすい環境整備は6・4億円(1・5億円増)です。フリーランスに対する相談支援は8500万円(1000万円増)。フリーランスが発注者とのトラブルについて相談できる窓口を整備します。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月20日付掲載


外国人労働者の相談窓口の対応言語を11から14か国に増やす。「就職氷河期世代」の無業者と非正規雇用者への支援を遅きにしたとはいえ導入。
でも、長時間労働の是正やブラック企業の摘発に欠かせない労働基準監督官は、深刻な人員不足が続いています。

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2020年度概算要求の焦点③ 農林水産 自給率最低に施策なし

2019-09-25 09:43:57 | 経済・産業・中小企業対策など
2020年度概算要求の焦点③ 農林水産 自給率最低に施策なし
2020年度の農林水産関係の概算要求は、19年度当初予算比18・2%増の2兆7307億円です。公共事業費が21・1%増の8436億円、非公共事業費が16・9%増の1兆8871億円です。
18年度の食料自給率(カロリーベース)は37・33%と、これまで最低だった1993年度の37・37%をも下回り、1960年度(79%)の統計開始以来、史上最低となりました。にもかかわらず、食料自給率の向上に焦点を当てた抜本的な施策はみられません。

「スマート」推進
その一方で、農林水産物・食品の輸出拡大や、「スマート農業」の推進を目玉に据えています。
農林水産物・食品の輸出力強化に19年度当初比約4倍の248億円を要求しました。司令塔となる農林水産物・食品輸出促進本部(仮称)の創設に新規の15億円を計上しました。
ロボット技術や人工知能(AI)を活用するスマート農業総合推進対策事業に19年度当初の約10倍の51億円を要求。無人トラクターやドローン(小型無人機)による実証実験の規模を拡大します。



「新・農業人フェア」で就農を相談する若者たち=9月8日、東京都豊島区



次世代投資は減
農業者の減少と高齢化の中で、今、緊急に求められるのは、次世代農業者の育成、就農・経営への支援です。農業人材力強化総合支援事業に19年度当初比28億円増の238億円を要求し、そのうち農業次世代人材投資事業に10億円増の165億円を計上しました。しかし、19年度には20億円も減額されており、差し引きすると、2年前に比べて10億円の減額となります。
米の直接支払い交付金が18年度に廃止された後、代替し得る所得確保の具体策がみられません。主食用米から転作した飼料用米、麦、大豆などを支援する水田活用の直接支払い交付金に19年度当初と同額の3215億円を要求しました。ただし、飼料用米と米粉用米には、販売先と複数年の契約を結ぶことを交付要件とする方針です。
19年度に開始された収入保険制度の実施に19年度当初比27・7%減の149億円を要求しました。保険料や積立金の国庫負担分に充てます。減額は、保険加入者が予想ほど増えていないため。
豚コレラなどの家畜伝染病や、ツマジロクサヨトウなどの病害虫を防止する取り組みを支援する消費・安全対策交付金に19年度当初比2・5倍の50億円、検疫探知犬の増強などアフリカ豚コレラなどの家畜伝染病を水際で防ぐ家畜衛生等総合対策に17・3%増の61億円を要求しました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年9月19日付掲載


18年度の食料自給率(カロリーベース)は37・33%と、これまで最低だった1993年度の37・37%をも下回る。
にもかかわらず、食料自給率の向上に焦点を当てた抜本的な施策はなし。
その一方で、農林水産物・食品の輸出拡大や、「スマート農業」の推進を目玉に。
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