「5・3憲法集会」ネット配信 コロナから国民守る政治を
総がかり行動実行委員会共同代表・憲法共同センター 小田川義和さんに聞く
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍9条改憲阻止を掲げて開かれる予定だった「5・3憲法集会」はネット配信で実施されます。同集会の共催団体のひとつで「総がかり行動実行委員会」共同代表の小田川義和さん(憲法共同センター)に、憲法をめぐる現在の情勢や、コロナ禍のもとでの取り組みなどを聞きました。(前田智也)

新型コロナウイルス感染が拡大し、世界中が大きな困難に直面しています。日本も医療崩壊の危険性が迫ってきており、安倍首相は4月7日に緊急事態宣言を発令しました。非常事態と言えるもとで、あらためて国民と政府の関係が問われています。
憲法25条は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。コロナ禍のもとでさまざまな不安や困難から国民を守るために、いまこそ憲法を生かした施策が求められています。

クリックすれば、動画を再生。
補償するべきだ
しかし、安倍政権の対応は極めて不十分と言わざるをえません。補償もないまま外出自粛や休業要請をしていますが、政府の要請によって仕事や収入が奪われた人には、国の責任で補償するべきです。憲法29条には「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と書かれています。インターネット上で「#自粛と補償はセットだろ」という言葉が広がりましたが、これは憲法にもとついた正当な要求です。
政府の補正予算案を見ても、医療体制が危機的だというのに、この分野には緊急交付金の1490億円しかつけていません。今年度の防衛予算は過去最高額を更新する5兆3000億円です。命を奪うオスプレイや戦闘機に使う税金を、命を守る予算に組み替える大胆な転換が必要ではないでしょうか。
多くの人が街頭に集まることが難しくなっていますが、ユーチューブやツイッターなどで世論が形成され、すべての人に1人10万円を給付するよう予算を組み替えさせるなど、政治を動かしたことは重要です。国民が声をあげ、野党が一致して要求を突き上げれば、政治は変えられます。

プラカードを掲げてアピールする2019憲法集会参加者=2019年5月3日、東京都江東区
改憲議論は不要
この機に便乗して、改憲議論を前に進めようとする動きが強まっています。安倍首相は国会で、緊急事態条項の創設は「極めて重く大切な課題」だとのべ、改憲論議を呼びかけました。いま議論すべきは抜本的なコロナ対策です。不要・不急の憲法審査会の開催も許されません。
新型インフルエンザ等対策特措法にもとつく「緊急事態宣言」と、自民党などが憲法に書き込もうとねらう「緊急事態条項」はまったくの別物です。日本国憲法でも、非常時の人権制限は想定されていますが、「公共の福祉」を守る範囲で必要最小限度にとどめるという縛りがあります。しかし、緊急事態条項は、政府の独断で際限のない人権制限を可能にするもので、国民主権や議会制民主主義が停止させられる危険があります。9条改憲に道をひらく改憲議論には、市民が危機感をもって反対しなければいけません。
こうした状況だからこそ、抜本的なコロナ対策を求める声をあげるとともに、「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」も力に改憲を許さない世論を広げていくことが重要です。
5月3日の憲法記念日には、サイレントスタンディングや宣伝カーを走らせるなど、地域の実情にあわせた行動が全国各地で計画されています。国会正門前では、市民によるスピーチを行い、その様子をインターネットで生中継します。
憲法の理念に立ったコロナ対策を求め、憲法を生かして「いのち、暮らし、人権」を守れとアピールしていきましょう。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月30日付掲載
今年の憲法集会。憲法を守れというだけでなく、新型コロナの感染拡大防止のもと、国民の健康を守る、雇用を守る、休業による収入減を補償する。
まさに、憲法で謳っている「健康で文化的な最低限度の生活」が求められています。
「緊急事態宣言」にかこつけての憲法改正は必要ありません。
総がかり行動実行委員会共同代表・憲法共同センター 小田川義和さんに聞く
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍9条改憲阻止を掲げて開かれる予定だった「5・3憲法集会」はネット配信で実施されます。同集会の共催団体のひとつで「総がかり行動実行委員会」共同代表の小田川義和さん(憲法共同センター)に、憲法をめぐる現在の情勢や、コロナ禍のもとでの取り組みなどを聞きました。(前田智也)

新型コロナウイルス感染が拡大し、世界中が大きな困難に直面しています。日本も医療崩壊の危険性が迫ってきており、安倍首相は4月7日に緊急事態宣言を発令しました。非常事態と言えるもとで、あらためて国民と政府の関係が問われています。
憲法25条は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。コロナ禍のもとでさまざまな不安や困難から国民を守るために、いまこそ憲法を生かした施策が求められています。

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補償するべきだ
しかし、安倍政権の対応は極めて不十分と言わざるをえません。補償もないまま外出自粛や休業要請をしていますが、政府の要請によって仕事や収入が奪われた人には、国の責任で補償するべきです。憲法29条には「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と書かれています。インターネット上で「#自粛と補償はセットだろ」という言葉が広がりましたが、これは憲法にもとついた正当な要求です。
政府の補正予算案を見ても、医療体制が危機的だというのに、この分野には緊急交付金の1490億円しかつけていません。今年度の防衛予算は過去最高額を更新する5兆3000億円です。命を奪うオスプレイや戦闘機に使う税金を、命を守る予算に組み替える大胆な転換が必要ではないでしょうか。
多くの人が街頭に集まることが難しくなっていますが、ユーチューブやツイッターなどで世論が形成され、すべての人に1人10万円を給付するよう予算を組み替えさせるなど、政治を動かしたことは重要です。国民が声をあげ、野党が一致して要求を突き上げれば、政治は変えられます。

プラカードを掲げてアピールする2019憲法集会参加者=2019年5月3日、東京都江東区
改憲議論は不要
この機に便乗して、改憲議論を前に進めようとする動きが強まっています。安倍首相は国会で、緊急事態条項の創設は「極めて重く大切な課題」だとのべ、改憲論議を呼びかけました。いま議論すべきは抜本的なコロナ対策です。不要・不急の憲法審査会の開催も許されません。
新型インフルエンザ等対策特措法にもとつく「緊急事態宣言」と、自民党などが憲法に書き込もうとねらう「緊急事態条項」はまったくの別物です。日本国憲法でも、非常時の人権制限は想定されていますが、「公共の福祉」を守る範囲で必要最小限度にとどめるという縛りがあります。しかし、緊急事態条項は、政府の独断で際限のない人権制限を可能にするもので、国民主権や議会制民主主義が停止させられる危険があります。9条改憲に道をひらく改憲議論には、市民が危機感をもって反対しなければいけません。
こうした状況だからこそ、抜本的なコロナ対策を求める声をあげるとともに、「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」も力に改憲を許さない世論を広げていくことが重要です。
5月3日の憲法記念日には、サイレントスタンディングや宣伝カーを走らせるなど、地域の実情にあわせた行動が全国各地で計画されています。国会正門前では、市民によるスピーチを行い、その様子をインターネットで生中継します。
憲法の理念に立ったコロナ対策を求め、憲法を生かして「いのち、暮らし、人権」を守れとアピールしていきましょう。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月30日付掲載
今年の憲法集会。憲法を守れというだけでなく、新型コロナの感染拡大防止のもと、国民の健康を守る、雇用を守る、休業による収入減を補償する。
まさに、憲法で謳っている「健康で文化的な最低限度の生活」が求められています。
「緊急事態宣言」にかこつけての憲法改正は必要ありません。