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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

「5・3憲法集会」ネット配信 コロナから国民守る政治を

2020-05-01 13:22:56 | 働く権利・賃金・雇用問題について
「5・3憲法集会」ネット配信 コロナから国民守る政治を
総がかり行動実行委員会共同代表・憲法共同センター 小田川義和さんに聞く

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、安倍9条改憲阻止を掲げて開かれる予定だった「5・3憲法集会」はネット配信で実施されます。同集会の共催団体のひとつで「総がかり行動実行委員会」共同代表の小田川義和さん(憲法共同センター)に、憲法をめぐる現在の情勢や、コロナ禍のもとでの取り組みなどを聞きました。(前田智也)




新型コロナウイルス感染が拡大し、世界中が大きな困難に直面しています。日本も医療崩壊の危険性が迫ってきており、安倍首相は4月7日に緊急事態宣言を発令しました。非常事態と言えるもとで、あらためて国民と政府の関係が問われています。
憲法25条は、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とうたっています。コロナ禍のもとでさまざまな不安や困難から国民を守るために、いまこそ憲法を生かした施策が求められています。



クリックすれば、動画を再生。

補償するべきだ
しかし、安倍政権の対応は極めて不十分と言わざるをえません。補償もないまま外出自粛や休業要請をしていますが、政府の要請によって仕事や収入が奪われた人には、国の責任で補償するべきです。憲法29条には「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と書かれています。インターネット上で「#自粛と補償はセットだろ」という言葉が広がりましたが、これは憲法にもとついた正当な要求です。
政府の補正予算案を見ても、医療体制が危機的だというのに、この分野には緊急交付金の1490億円しかつけていません。今年度の防衛予算は過去最高額を更新する5兆3000億円です。命を奪うオスプレイや戦闘機に使う税金を、命を守る予算に組み替える大胆な転換が必要ではないでしょうか。
多くの人が街頭に集まることが難しくなっていますが、ユーチューブやツイッターなどで世論が形成され、すべての人に1人10万円を給付するよう予算を組み替えさせるなど、政治を動かしたことは重要です。国民が声をあげ、野党が一致して要求を突き上げれば、政治は変えられます。



プラカードを掲げてアピールする2019憲法集会参加者=2019年5月3日、東京都江東区

改憲議論は不要
この機に便乗して、改憲議論を前に進めようとする動きが強まっています。安倍首相は国会で、緊急事態条項の創設は「極めて重く大切な課題」だとのべ、改憲論議を呼びかけました。いま議論すべきは抜本的なコロナ対策です。不要・不急の憲法審査会の開催も許されません。
新型インフルエンザ等対策特措法にもとつく「緊急事態宣言」と、自民党などが憲法に書き込もうとねらう「緊急事態条項」はまったくの別物です。日本国憲法でも、非常時の人権制限は想定されていますが、「公共の福祉」を守る範囲で必要最小限度にとどめるという縛りがあります。しかし、緊急事態条項は、政府の独断で際限のない人権制限を可能にするもので、国民主権や議会制民主主義が停止させられる危険があります。9条改憲に道をひらく改憲議論には、市民が危機感をもって反対しなければいけません。
こうした状況だからこそ、抜本的なコロナ対策を求める声をあげるとともに、「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」も力に改憲を許さない世論を広げていくことが重要です。
5月3日の憲法記念日には、サイレントスタンディングや宣伝カーを走らせるなど、地域の実情にあわせた行動が全国各地で計画されています。国会正門前では、市民によるスピーチを行い、その様子をインターネットで生中継します。
憲法の理念に立ったコロナ対策を求め、憲法を生かして「いのち、暮らし、人権」を守れとアピールしていきましょう。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月30日付掲載


今年の憲法集会。憲法を守れというだけでなく、新型コロナの感染拡大防止のもと、国民の健康を守る、雇用を守る、休業による収入減を補償する。
まさに、憲法で謳っている「健康で文化的な最低限度の生活」が求められています。
「緊急事態宣言」にかこつけての憲法改正は必要ありません。

危機の経済 識者は語る③ 今こそ憲法生かす時

2020-05-01 07:30:03 | 経済・産業・中小企業対策など
危機の経済 識者は語る③ 今こそ憲法生かす時
群馬大学名誉教授 山田博文さん

「株価連動政権」と言われる安倍晋三政権下、日本銀行は公的マネーで株式を買い入れ、株価の「アベバブル」を演出してきました。経済は成長しないのに、株価だけ上がる異常なアベノミクス(安倍政権の経済政策)相場は、海外投資家と公的マネー(日銀や年金積立金)が大量に株を買っているからです。

日銀買い支え
コロナ恐慌対策で、第一にやられたことは、株価暴落を防ぐため、日銀が株式市場に湯水のように公的マネーを注ぎ込むことでした。巨額の日銀マネーを株式市場に投入するため、日銀の上場投資信託(ETF)買い入れ額は、従来の年間約6兆円から約12兆円に倍増され、3月30日には2004億円のETFが買われました。世界で例のない中央銀行による大規模な株価操作です。
目先のきく海外投資家は利益が見込めると、日本株を売却し、大もうけしています。本来なら、日本の株価はもっと下がるはずでしたが、海外投資家の売却した株をそっくり買い支え、株価下落を防ぎ、株高を演出してきたのが日銀などの公的マネーでした。日銀は、市場の外側から人為的な株式需要を創出し、これまでほぼ30兆円の株式を買い支え、株価をつり上げてきました。
でも、株価が下落すると日銀には損失が発生します。すでに「ETFの含み損が足元で2兆~3兆円」(黒田東彦日銀総裁)発生し、日銀と「円」に対する信用不安を誘発しかねません。
加えて、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式運用枠が倍増されたのも、安倍政権下です。国民の公的年金積立金のうち約90兆円が内外の株式投資に向けられ、株価が暴落したら老後の暮らしの年金積立金を失うリスクにさらされています。すでに今回の世界の株価暴落で17・5兆円ほどの損失が発生しているようです。



日本銀行本店(日銀)

遅れた援助策
第二に、日銀は株価対策だけでなく大企業支援にも精を出しています。バブルと低金利で膨張した企業債務を軽減してやるため、コマーシャルペーパー(CP=注)や社債の買い入れなど、合計2兆円の追加買い入れ枠を設定しました。「企業金融支援特別オペ」も導入され、日銀は金利ゼロ%で企業に資金を供給します。
でも、これは主に大企業への支援であり、毎月の売上代金で自転車操業し、今、倒産の危機にある圧倒的多数の中小零細企業への即座の支援は見送られています。
第三に、コロナ恐慌は、すでに世界中で労働者の大量解雇と中小零細企業の経営破綻を引き起こしています。各国政府から数周遅れで、ようやく1人10万円の援助策が動きだしましたが、不況が本格化し、その実態が表面化するのはこれからです。
かつてのバブル崩壊では、累積した銀行の不良債権対策のため、国民の負担になる巨額の税金を使ったのに、貸し渋りと貸し剥がしが横行し、企業の経営破綻を招き、不況がさらに深刻化・長期化し、多数の労働者がリストラされました。そんな事態を二度と繰り返してはなりません。
リスクを先延ばしする安倍政権は、日本の未来を担う将来世代に過重な負担を強いています。健康で文化的な生活(憲法第25条)は、国民の権利であり、国の義務です。コロナ恐慌に襲われている今こそ憲法が生かされる時、といえるでしょう。(この項おわり)

コマーシャルペーパー(CP) 大企業が無担保で短期の資金調達のために発行する約束手形。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年4月30日付掲載


コロナ不況で、日銀が一番にやったのが株価対策。そして、大企業支援。
一番苦しんでいる、労働者や中小企業への支援は後回し。
健康で文化的な生活(憲法第25条)は、国民の権利であり、国の義務。