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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

けいざい四季報 2020年Ⅱ② 高まる債務 第4の波 最も広範に

2020-07-06 08:29:52 | 経済・産業・中小企業対策など
けいざい四季報 2020年Ⅱ② 高まる債務 第4の波 最も広範に
①コロナ危機は新興国・途上国にとくに深刻な打撃。貧困削減の成果を消し去る
②債務の増大の第4波は、最も大きく、最も広範に広がる
③債務返済の一時的猶予でG20が一致。大資本の自由な活動に一定の枠組み設定も

6月に公表された世界銀行の「世界経済予測」の報告書は、新型コロナウイルス危機について、「平時に起きた世界経済への打撃としては、この100年間で最も深刻」と指摘しました。

成果消し去る
コロナ危機への対応措置は、すでに脆弱(ぜいじゃく)な状態にあった世界経済に追い打ちをかけ、先進国と新興国・途上国の両方に深刻な不況を引き起こしています。
同報告書の分析によれば、特に深刻な打撃を受けるのは新興国・途上国、中でも脆弱な保健制度しか持たない国、国際貿易や観光、国外からの送金への依存度が高い国、1次産品輸出に依存している国です。
デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁は、「新型コロナウイルス感染症の世界的流行と先進国における経済活動の停止により、最大6000万人が極度の貧困に陥る可能性がある。これは近年に達成された貧困削減の成果のほとんどを消し去るものだ」と述べています。



社会的距離をとって病院にならぶ人々=6月29日、北京(ロイター)



返済の壁直面
国際通貨基金(IMF)が6月24日改定した世界経済見通しでは、2020年の世界経済の成長見通しをマイナス4・9%とし、新興国・途上国の成長率については、マイナス3・0%と予測しました。感染対策への備えが十分にない新興国・途上国の影響はとりわけ打撃的です。
世界銀行によると、現在は、「債務増大の第4の波」の時期にあたるといいます。第1波は1970年~89年。第2波は90年~2001年。第3波は02年~09年でした。
現在の第4の波は、10年に始まり、これまでのどの波と比べても、最も大きい、最も早く、最も広範に広がっています。
国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、途上国の民間と公的を合わせた債務残高は、18年に国内総生産(GDP)の191%に達しています。途上国が20年代に債務返済の壁に直面するとしています。

協調した対応
コロナ危機に対し、国際社会の協調した対策が求められています。
UNCTADは、新型コロナであえぐ途上国に2・5兆ドル(270兆円)の経済支援が必要だと強調しています。そのうち1兆ドルは、IMFの特別引き出し権(SDR)を活用して特別融資を実行し、さらに1兆ドルは途上国が有している今年の債務返済を免除し、残りの5000億ドルは、医療回復のための基金を積み立て、補助金として使うことを呼びかけました。この中で、資本の管理の必要性を強調していることは注目に値します。20力国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は4月15日、最貧国の有する公的債務について、その支払いを一時的に猶予することで合意しました。
国際NGOのオックスファムが4月9日に発表した提言は、▽企業に対する金融支援は、雇用を維持することに使う▽政府は、救済したすべての企業に対して、役員会への出席など適切に監視する▽化石燃料を排出する企業は、救済されるべきではない▽株主の配当に上限を設ける▽最高経営責任者(CEO)と平均労働者の賃金の比率の公開し、最大比率を20対1に抑えることーなどを提起しました。
大資本の自由な活動に一定の枠組みを設ける提案として注目されます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月1日付掲載


先進国の経済だけでなく、新興国・途上国の経済の落ち込みも深刻です。
UNCTADは、新型コロナであえぐ途上国に2・5兆ドル(270兆円)の経済支援が必要だと強調。そのうち1兆ドルは、IMFの特別引き出し権(SDR)を活用して特別融資を実行し、さらに1兆ドルは途上国が有している今年の債務返済を免除し、残りの5000億ドルは、医療回復のための基金を積み立て、補助金として使うことを呼びかけています。