けいざい四季報 2020年Ⅱ⑤ 家計 コロナ禍 変貌が鮮明に
①営業自粛と外出自粛で4月の家計消費支出は01年1月以降最大の下げ幅に
②在宅の増加に対応した「巣ごもり需要」が鮮明に。デジタルや食料品が増
③外出が前提の店舗での食事や飲酒などが壊滅的に減少。政治の対応が必要
家計の消費支出が激減しています。
「緊急事態」
総務省の「家計調査」によると、4月の実質家計消費支出は前年同月と比べ11・1%減少しました。減少幅は消費税増税前の駆け込み需要の反動が表れた2015年3月の10・6%減を上回り、比較可能な01年1月以降で最大の落ち込みになりました。
前年と比べて実質家計消費支出が減ったのは7カ月連続です。安倍晋三政権が19年10月に強行した10%への消費税率引き上げに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が影響しました。
安倍政権は4月7日、東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発出。16日には対象地域を全国へ拡大しました。5月25日に全都道府県で解除されるまで、外出自粛、営業自粛が呼びかけられ、消費を下押ししました。
新型コロナウイルスの影響で閑散とした羽田空港の国際線到着ロビー=7月1日、東京都大田区
在宅で増加も
全体として消費は減少したものの、増加した項目もあります。マスクなどを含む保健消耗品は前年同月比124%も増えました。背景としてコロナ感染への心配から需要が増えたのに加え、製造体制も強化されたため、供給が一時の品薄状態から安定したためとみられます。
また、外出自粛や在宅勤務、在宅学習・講義などに対応した消費も増加しました。自宅での調理が増えたために、パスタや即席麺、電子レンジの消費が増えました。パソコンは前年同月比72%の増加です。3月は前年と比べて減少していました。進学した生徒や学生が、オンラインで授業を受けるために、パソコンを新たに購入したと考えられます。
外食産業悲鳴
消費が極端に減少したのは、外出を前提とした支出です。通学定期は前年同月比88・1%の減少。文化施設入場料や遊園地入場・乗り物代は同9割以上減少しました。
外食(食事代)は同63・3%減、店舗での飲酒(飲酒代)は同90・3%の減少でした。日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によると、4月は調査開始以来最低の売上高、5月はやや回復したものの前年と比べ、大幅減となりました。5月の売上高を業態別に見ると、ディナーレストラン同71・5%減、居酒屋同88・5%減などです。
飲食店は個人経営が多く、多くの店で財務基盤があまり強くありません。民間信用調査会社の東京商工リサーチのまとめによると、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)は6月30日の段階で294件。そのうち飲食業は46件を占めます。
内閣府の5月の「景気ウオッチャー調査」には、レストランの経営者から、「店舗をどこまで維持できるのか、かなり切迫した状況」(東北)「新型コロナウイルスの影響で、売り上げは前年度の3分の1ぐらいしかない。このままだと店はつぶれるしかない」(南関東)、「弁当や総菜を出し、従業員を減らす等の対策をしているが、店の存続の瀬戸際である」(九州)、といった悲鳴が上がっています。政府の経済対策には、中小業者への持続化給付金や家賃支援などが盛り込まれました。いっそうの拡充とともに、一刻も早く現場へ届けることが必要です。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月4日付掲載
家計の支出も、外出自粛、営業自粛で軒並み減っています。
そのうち、在宅勤務なので、宅配の食材などは増加。オンライン授業などでパソコンの購入も増えているとか。
一方、外食産業は大きな被害を被りました。
①営業自粛と外出自粛で4月の家計消費支出は01年1月以降最大の下げ幅に
②在宅の増加に対応した「巣ごもり需要」が鮮明に。デジタルや食料品が増
③外出が前提の店舗での食事や飲酒などが壊滅的に減少。政治の対応が必要
家計の消費支出が激減しています。
「緊急事態」
総務省の「家計調査」によると、4月の実質家計消費支出は前年同月と比べ11・1%減少しました。減少幅は消費税増税前の駆け込み需要の反動が表れた2015年3月の10・6%減を上回り、比較可能な01年1月以降で最大の落ち込みになりました。
前年と比べて実質家計消費支出が減ったのは7カ月連続です。安倍晋三政権が19年10月に強行した10%への消費税率引き上げに加え、新型コロナウイルスの感染拡大が影響しました。
安倍政権は4月7日、東京など7都府県を対象に緊急事態宣言を発出。16日には対象地域を全国へ拡大しました。5月25日に全都道府県で解除されるまで、外出自粛、営業自粛が呼びかけられ、消費を下押ししました。
新型コロナウイルスの影響で閑散とした羽田空港の国際線到着ロビー=7月1日、東京都大田区
在宅で増加も
全体として消費は減少したものの、増加した項目もあります。マスクなどを含む保健消耗品は前年同月比124%も増えました。背景としてコロナ感染への心配から需要が増えたのに加え、製造体制も強化されたため、供給が一時の品薄状態から安定したためとみられます。
また、外出自粛や在宅勤務、在宅学習・講義などに対応した消費も増加しました。自宅での調理が増えたために、パスタや即席麺、電子レンジの消費が増えました。パソコンは前年同月比72%の増加です。3月は前年と比べて減少していました。進学した生徒や学生が、オンラインで授業を受けるために、パソコンを新たに購入したと考えられます。
外食産業悲鳴
消費が極端に減少したのは、外出を前提とした支出です。通学定期は前年同月比88・1%の減少。文化施設入場料や遊園地入場・乗り物代は同9割以上減少しました。
外食(食事代)は同63・3%減、店舗での飲酒(飲酒代)は同90・3%の減少でした。日本フードサービス協会の外食産業市場動向調査によると、4月は調査開始以来最低の売上高、5月はやや回復したものの前年と比べ、大幅減となりました。5月の売上高を業態別に見ると、ディナーレストラン同71・5%減、居酒屋同88・5%減などです。
飲食店は個人経営が多く、多くの店で財務基盤があまり強くありません。民間信用調査会社の東京商工リサーチのまとめによると、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1000万円以上)は6月30日の段階で294件。そのうち飲食業は46件を占めます。
内閣府の5月の「景気ウオッチャー調査」には、レストランの経営者から、「店舗をどこまで維持できるのか、かなり切迫した状況」(東北)「新型コロナウイルスの影響で、売り上げは前年度の3分の1ぐらいしかない。このままだと店はつぶれるしかない」(南関東)、「弁当や総菜を出し、従業員を減らす等の対策をしているが、店の存続の瀬戸際である」(九州)、といった悲鳴が上がっています。政府の経済対策には、中小業者への持続化給付金や家賃支援などが盛り込まれました。いっそうの拡充とともに、一刻も早く現場へ届けることが必要です。(おわり)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月4日付掲載
家計の支出も、外出自粛、営業自粛で軒並み減っています。
そのうち、在宅勤務なので、宅配の食材などは増加。オンライン授業などでパソコンの購入も増えているとか。
一方、外食産業は大きな被害を被りました。