西日本豪雨2年 被災地を訪ねて② 広島・坂町 帰りたくても帰れない
西日本豪雨で大規模な土砂災害に見舞われた広島県坂町。砂防ダムが崩壊し、土石流が集落を襲い、災害関連死を含めて16人が亡くなり、全半壊653軒の被害のあった小屋浦地区では、年度末を目標に砂防ダムの完成に向けた工事が進められています。一方、多くの家屋が解体・撤去されたため、更地が目立ちます。災害前、1万3347人だった人口は現在(7月1日)1万2995人まで減少しています。
3月末、計5カ所で85戸分の災害公営住宅が同町に完成しました。収入に応じた家賃が必要です。ここでの新しい生活を始めた人がいる一方、仮設住宅で不安を抱えながら暮らす人もいます。
仮設住宅で生活する弘中さん(右)から話を聞く尾崎町議(左)=6月27日、広島県坂町
話す相手おらん
同町平成ケ浜の仮設住宅では、ピーク時は98世帯185人が生活していましたが、今では21世帯33人(6月29日時点)まで減っています。その中の一人、弘中美津子さん(87)は「災害公営住宅ができ、どんどん引っ越したから、一気に人が減った。話す相手もおらん」と訴えます。新型コロナの影響で外出は月に1度の通院のみだったこともあり「筋肉が減り、体力が落ちてしもうた。年はとっていくばっかしで、もうどうにもならん」と話します。
1人暮らしの弘中さんの自宅は急峻な山間にあり、2年がたつ今もまだ、自宅への道路は崩壊したまま、帰りたくても帰れません。
災害公営住宅はまだ空きがあり住居者を募集していますが、弘中さんは条件がそろわないため、入れないといい、ため息がこぼれます。
災害公営住宅の入居条件として、家賃3カ月分の敷金と連帯保証人2人というあまりにも厳しく、「申し込みたくても申し込めない」と訴える被災者の声を受け、日本共産党の尾崎光町議は3月の町議会で条件の緩和を要求。その結果、「準備が困難で特別な事情がある場合は連帯保証人の連署を必要としなかったり、敷金の減免または徴収の猶予ができる」との答弁を引き出しました。
安心できる町に
「1メートル80センチもの土砂が流れ込んだ」と言う女性(76)は、長年暮らした愛着のある自宅を解体し、災害公営住宅での生活を始めました。道路のすぐそばに建っており、夜中でも大型トラックが頻繁に通り、音と振動で眠れない日があると言います。地域で唯一の病院(内科医)もスーパーも閉鎖しましたが「慣れている土地で暮らしたい。二度と災害が起こらず安心して住めるような町にしてほしい」と願います。
被災者の要望を議会に届け、要求実現に奮闘する尾崎町議は「住民が安心・安全で暮らせる町にするため、引き続き、被災者支援拡充のため頑張りたい」と話します。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月5日付掲載
災害公営住宅が出来ても、家賃3か月分の敷金や2名の連帯保証人では入居できない。
あまりにも厳しい基準は見直しが進んでいます。
自宅は壊れていなくても、道路が復旧してなくて帰れない問題も。
西日本豪雨で大規模な土砂災害に見舞われた広島県坂町。砂防ダムが崩壊し、土石流が集落を襲い、災害関連死を含めて16人が亡くなり、全半壊653軒の被害のあった小屋浦地区では、年度末を目標に砂防ダムの完成に向けた工事が進められています。一方、多くの家屋が解体・撤去されたため、更地が目立ちます。災害前、1万3347人だった人口は現在(7月1日)1万2995人まで減少しています。
3月末、計5カ所で85戸分の災害公営住宅が同町に完成しました。収入に応じた家賃が必要です。ここでの新しい生活を始めた人がいる一方、仮設住宅で不安を抱えながら暮らす人もいます。
仮設住宅で生活する弘中さん(右)から話を聞く尾崎町議(左)=6月27日、広島県坂町
話す相手おらん
同町平成ケ浜の仮設住宅では、ピーク時は98世帯185人が生活していましたが、今では21世帯33人(6月29日時点)まで減っています。その中の一人、弘中美津子さん(87)は「災害公営住宅ができ、どんどん引っ越したから、一気に人が減った。話す相手もおらん」と訴えます。新型コロナの影響で外出は月に1度の通院のみだったこともあり「筋肉が減り、体力が落ちてしもうた。年はとっていくばっかしで、もうどうにもならん」と話します。
1人暮らしの弘中さんの自宅は急峻な山間にあり、2年がたつ今もまだ、自宅への道路は崩壊したまま、帰りたくても帰れません。
災害公営住宅はまだ空きがあり住居者を募集していますが、弘中さんは条件がそろわないため、入れないといい、ため息がこぼれます。
災害公営住宅の入居条件として、家賃3カ月分の敷金と連帯保証人2人というあまりにも厳しく、「申し込みたくても申し込めない」と訴える被災者の声を受け、日本共産党の尾崎光町議は3月の町議会で条件の緩和を要求。その結果、「準備が困難で特別な事情がある場合は連帯保証人の連署を必要としなかったり、敷金の減免または徴収の猶予ができる」との答弁を引き出しました。
安心できる町に
「1メートル80センチもの土砂が流れ込んだ」と言う女性(76)は、長年暮らした愛着のある自宅を解体し、災害公営住宅での生活を始めました。道路のすぐそばに建っており、夜中でも大型トラックが頻繁に通り、音と振動で眠れない日があると言います。地域で唯一の病院(内科医)もスーパーも閉鎖しましたが「慣れている土地で暮らしたい。二度と災害が起こらず安心して住めるような町にしてほしい」と願います。
被災者の要望を議会に届け、要求実現に奮闘する尾崎町議は「住民が安心・安全で暮らせる町にするため、引き続き、被災者支援拡充のため頑張りたい」と話します。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年7月5日付掲載
災害公営住宅が出来ても、家賃3か月分の敷金や2名の連帯保証人では入居できない。
あまりにも厳しい基準は見直しが進んでいます。
自宅は壊れていなくても、道路が復旧してなくて帰れない問題も。