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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

異次元緩和破たん① 政府と危険な一体化

2016-08-04 16:18:28 | 経済・産業・中小企業対策など
異次元緩和破たん① 政府と危険な一体化

日銀が7月29日に決めた追加金融緩和は、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れ増額でした。市場関係者の予想より小規模な内容にとどまったといわれます。しかし、日銀は、安倍晋三政権の「経済対策」との連携を強調。これまで以上にアベノミクス(安倍政権の経済政策)加速を打ち出しました。日銀が政権の道具と化す危険な状態が深まっています。(山田俊英)

安倍政権の「経済対策」は、リニア新幹線の建設促進など採算の見通しもない大型開発事業に巨費を投じ、財政を悪化させる内容です。29日の金融政策決定会合の声明は「きわめて緩和的な金融環境を整えていくことは、こうした政府の取り組みと相乗的な効果を発揮する」と表明。追加緩和が政府の「経済対策」と一体であることを公言しました。会合後の記者会見で「追加緩和は政府の圧力に対応したものではないか」との質問も出ましたが、黒田東彦総裁は「金融政策は経済政策全体の一環」と意に介しません。

自主性を放棄
日銀法は、「日本銀行の通貨及び金融の調節における自主性は、尊重されなければならない」(第2条)、「日本銀行の業務運営における自主性は、十分配慮されなければならない」(第5条)と定め、政府から独立した中央銀行であることを規定しています。最大の使命は「物価の安定」(第2条)です。日銀はホームページで理由を次のように説明しています。
「過去の各国の歴史を見ても、中央銀行の金融政策にはインフレ的な経済運営を求める圧力がかかりやすいことが示されています。物価の安定が確保されなければ、経済全体が機能不全に陥ることにもつながりかねません」
しかし、日銀が2013年4月から実施している「量的・質的金融緩和」(異次元の金融緩和)は、「自主性」や「物価の安定」の大原則を投げ捨て、日本の金融にさまざまなゆがみを生じさせています。
異次元緩和は、日銀が民間銀行に供給するお金を年間80兆円増やすことによって2%の物価上昇を実現し、景気回復につなげようというものです。そのために日銀は、保有する長期国債の残高が毎年80兆円増えるよう、銀行から国債を買い取っています。その結果、日銀が保有する長期国債は現在、日本の名目GDP(国内総生産)の6割に達し、日本の長期国債全体の33%。最大の保有者になっています。





追加緩和について記者会見で説明する日銀の黒田東彦総裁=7月29日、日銀本店

赤字を穴埋め
国債は政府の借金証書です。銀行や市場関係者の間では、「日銀は既に財政ファイナンス(政府の赤字の穴埋め)を行っているようなものだ」との見方が広がっています。日銀が政府の借金を直接引き受けることは財政法で禁止されています。歯止めのないインフレを招き、国民生活と国家財政を破綻させかねないからです。今回の金融政策決定会合では、9人の政策委員のうち2人が「財政健全性に与える悪影響」を理由に追加緩和に反対しました。
今回の会合は、次回9月の会合で異次元緩和の「総括的な検証」を行うことも決めました。「2%の物価上昇をできるだけ早期に実現するには今後何が必要かという観点から検証したい」(黒田総裁)からです。
2%の物価上昇は13年1月、発足直後の安倍政権と日銀との共同声明で取り決めた目標です。日銀はアベノミクスの執行機関となり、政府との一体化をさらに強めています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年8月2日付掲載


日銀の2%の物価上昇目標自体がボタンの掛け違い。
国民所得のアップこそ目標とすべきだ。


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