目でみる経済 「明るい兆し」の実像① 株高も実質賃金低下 苦境続く国民生活
岸田文雄首相が国会で「経済の好循環」に向けて「今30年ぶりに賃上げも株価も投資も明るい兆しが出てきている」(5日、参院予算委員会)と強調しています。日本共産党・田村智子委員長の質問への答弁です。4日に日経平均株価が4万円を突破して以降、高止まりする株価を念頭に置いての発言と思われますが、現実はどうでしょうか。
(山本健二)
岸田文雄首相(左)らに質問する田村智子委員長=3月5日、参院予算委
株価と比べて、賃上げの状況は岸田首相の期待ほど芳しくありません。
厚生労働省が7日に発表した1月の「毎月勤労統計」(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金(現金給与総額)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から0・6%減少しました。2022年4月から、22カ月連続のマイナス。名目賃金は同2・0%伸びましたが、その分を物価上昇が上回った格好です。
21年1月以降の名目賃金、実質賃金の増減の推移をみると(図1)、同年11月から実質賃に入るとその差の広がりが顕著になります。消費者物価が上昇しているからです。
総務省が発表する全国消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合、20年=100)を見ると(図2)、21年9月を境に、それまで低下傾向だった指数が上昇に変化。直近の今年1月まで29カ月連続で上昇しています。ロシアのウクライナ侵略を背景にした食料品やエネルギーをはじめとした原材料価格の高騰に加え、異常な円安加速の影響です。
物価高などを受けて消費支出も低迷。総務省の家計調査によると、23年の1世帯(2人以上)の消費支出は月額平均29万3997円(2・6%減)。3年ぶりに前年を下回りました。消費の低迷が、日本経済全体を停滞させています。
円安加速の背景に、異次元の金融緩和があります。日本で低金利を維持した結果、米国との金利差から円売りドル買いが進み、円安に拍車がかかったのです。
賃金低迷と物価高騰で苦しむ労働者を尻目に、大企業の当期純利益は増え続けています。大企業が空前の利益を上げている背景にも、円安加速があります。輸出企業や多国籍企業が、海外で上げた利益がさらに膨らむからです。
大企業を優遇する政治が、株価高騰など「明るい兆し」をもたらす一方、国民生活を苦しめ、日本経済を低迷させているのです。
(つづく、2回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月15日付掲載
株価と比べて、賃上げの状況は岸田首相の期待ほど芳しくありません。
厚生労働省が7日に発表した1月の「毎月勤労統計」(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金(現金給与総額)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から0・6%減少。2022年4月から、22カ月連続のマイナス。名目賃金は同2・0%伸びましたが、その分を物価上昇が上回った。
物価高などを受けて消費支出も低迷。総務省の家計調査によると、23年の1世帯(2人以上)の消費支出は月額平均29万3997円(2・6%減)。3年ぶりに前年を下回りました。消費の低迷が、日本経済全体を停滞
岸田文雄首相が国会で「経済の好循環」に向けて「今30年ぶりに賃上げも株価も投資も明るい兆しが出てきている」(5日、参院予算委員会)と強調しています。日本共産党・田村智子委員長の質問への答弁です。4日に日経平均株価が4万円を突破して以降、高止まりする株価を念頭に置いての発言と思われますが、現実はどうでしょうか。
(山本健二)
岸田文雄首相(左)らに質問する田村智子委員長=3月5日、参院予算委
株価と比べて、賃上げの状況は岸田首相の期待ほど芳しくありません。
厚生労働省が7日に発表した1月の「毎月勤労統計」(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金(現金給与総額)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から0・6%減少しました。2022年4月から、22カ月連続のマイナス。名目賃金は同2・0%伸びましたが、その分を物価上昇が上回った格好です。
21年1月以降の名目賃金、実質賃金の増減の推移をみると(図1)、同年11月から実質賃に入るとその差の広がりが顕著になります。消費者物価が上昇しているからです。
総務省が発表する全国消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合、20年=100)を見ると(図2)、21年9月を境に、それまで低下傾向だった指数が上昇に変化。直近の今年1月まで29カ月連続で上昇しています。ロシアのウクライナ侵略を背景にした食料品やエネルギーをはじめとした原材料価格の高騰に加え、異常な円安加速の影響です。
物価高などを受けて消費支出も低迷。総務省の家計調査によると、23年の1世帯(2人以上)の消費支出は月額平均29万3997円(2・6%減)。3年ぶりに前年を下回りました。消費の低迷が、日本経済全体を停滞させています。
円安加速の背景に、異次元の金融緩和があります。日本で低金利を維持した結果、米国との金利差から円売りドル買いが進み、円安に拍車がかかったのです。
賃金低迷と物価高騰で苦しむ労働者を尻目に、大企業の当期純利益は増え続けています。大企業が空前の利益を上げている背景にも、円安加速があります。輸出企業や多国籍企業が、海外で上げた利益がさらに膨らむからです。
大企業を優遇する政治が、株価高騰など「明るい兆し」をもたらす一方、国民生活を苦しめ、日本経済を低迷させているのです。
(つづく、2回連載です)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年3月15日付掲載
株価と比べて、賃上げの状況は岸田首相の期待ほど芳しくありません。
厚生労働省が7日に発表した1月の「毎月勤労統計」(速報、従業員5人以上)によると、名目賃金(現金給与総額)に物価の変動を反映させた実質賃金は、前年同月から0・6%減少。2022年4月から、22カ月連続のマイナス。名目賃金は同2・0%伸びましたが、その分を物価上昇が上回った。
物価高などを受けて消費支出も低迷。総務省の家計調査によると、23年の1世帯(2人以上)の消費支出は月額平均29万3997円(2・6%減)。3年ぶりに前年を下回りました。消費の低迷が、日本経済全体を停滞
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