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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

この人に聞きたい 作家・落合恵子さん 第1回 たたかい続ける秘けつ 追い詰められた時の“逃げ場”持つことが大事

2020-12-04 11:12:57 | 政治・社会問題について
この人に聞きたい 作家・落合恵子さん 第1回 たたかい続ける秘けつ 追い詰められた時の“逃げ場”持つことが大事
植物、料理、わが家の庭 全部私の好きな“場所”

おちあい・けいこ=1945年栃木県生まれ。『てんつく怒髪 3・11、それからの日々』『泣きかたをわすれていた』ほか


東京・北青山のクレヨンハウスで(撮影・野間あきら記者)

子どもと女性の本の専門店の主宰や反核平和運動など、多面的に活躍する作家の落合恵子さん。主宰するクレヨンハウスが45周年を迎え、エッセー集『明るい覚悟 こんな時代に』を出版するなど、75歳になっても多忙です。エネルギッシュな半生を振り返ります。金子徹記者

〈平和、人権、差別、原発などをめぐり、率直に発言してきました〉
首相が代わっても、自民党政治への怒りには終わりがありません。女川原発の再稼働をはじめとして、菅(義偉)さんは原発を活用すると言っています。
東日本大震災での原発事故の教訓はどうなったんだと思います。放射能の影響で、いまだに故郷に帰れずに苦しんでいる人、帰っても苦労している人たちがたくさんいるのに。日立はイギリスでの原発事業からの撤退を決めました。そんな現実を、原発再稼働や新設を進めようとする人たちはまったく見ていない。腹が立ちます。

聞く耳ない首相
日本学術会議をめぐる問題でも、政府の言い訳はころころ変わっています。最近はもう、開き直って学術会議そのものを攻撃しているじゃないですか。
学問や教育の自由に介入お断り。菅首相は、普段は「国民の声を聞いて」とおっしゃるけれど、まったく聞く気はない。だったら「聞きません」と、はっきりおっしゃったらどうですか。
〈ノンフィクション作家の澤地久枝さんが呼びかけた、毎月3日の国会前の抗議行動にもしばしば参加。数々の疑惑に説明責任を果たさなかった安倍晋三前首相にも怒ります〉
モリカケ・サクラ等の問題では、安倍さんは説明しないまま逃亡。いっぽうで、公文書改ざんをやらされた近畿財務局の職員が自殺し、おつれあいが真実を求めて訴訟を起こしました。自分の命を諦めざるを得なかった人の苦悩と残された人の無念さを考えると、私たちはもっと声を上げていかなければならないと思います。
「桜を見る会」をはじめ、最近の「しんぶん赤旗」の報道は頑張っておられます。この勢いで新政権も追及していかないと。安倍政権で懐柔されてしまった多くのメディアの復権こそ急務です。菅内閣がいつつぶれるか、楽しみにしています。
〈近著『明るい覚悟』は、魅力的な本や友人たち、老いの自覚から政治まで多彩な切り口のエッセー集です。植物のある生活や旬の食材を生かした料理など、人生を豊かにするヒントが満載です〉
私は女性が料理をすべきだなどと思っていないから、自分が料理好きだということは何十年も、おおっぴらには言ってきませんでした。性別分業を肯定するようなので。でも、旬のものを料理したり食べたりすること自体、「好物」です。
植物のタネをまき、発芽を見ているのも楽しい。この時期は、次に何のタネをまこうか考えるのも楽しいです。身近に植物がなかったら、私のいろんな活動は続いていなかったかもしれません。
〈本書には、落合さんならではの何事にも前向きな姿勢が随所で示されます。「もの忘れはひどいし、探しものに一日のうちの計三十分は費やすようになっても、そういった変化も含めて味わってやろうじゃないかと面白がるわたしがここにいる」〉
十分にたたかうため、運動を長続きさせるためにも逃げられる場所をもつことも大事です。20代の、会社に勤めていたころの私は素顔を見せないと決めていました。外側からは弱みが見えないようにしてきました。しかし、どんどん追い詰められて息苦しくなっていました。そんななかで行きついたのが、読んで心に残った本のなかの一行や植物や料理でした。その意味で『明るい覚悟』は私の好きな“場所”と“時間”がちりばめられた本になっています。



脱原発を訴えてパレードする(中央から左へ)落合恵子、内橋克人、大江健三郎の各氏=2011年9月19日、東京都新宿区

「怒り」で長生き
〈あとがきでは、反戦川柳作家の鶴彬(つる・あきら)の川柳「暁(あかつき)をいだいて闇にゐる蕾(つぼみ)」を引用し、「明日を創る」ことを呼びかけます。
怒るべき時は怒り、楽しむ時は楽しむ。心のよりどころとして、とりわけ重要なのは自宅の庭です〉
小さな庭ですが、毎朝1、2時間、お茶を飲みながら花を楽しみ、植物に水やりをします。そこから一日が始まります。毎年のことですが、芽が出た瞬間はワクワク楽しい。祖母も母も花が好きでした。祖母たちの世代は、日々のなかで華やぐ瞬間など、よほど恵まれた環境にある人以外は、それほどなかったと思います。だから余計に花が好きだったのでしょう。私は祖母のような世間体に縛られた人生は送らない、新しい生き方を目指すと思ってきましたが、花を楽しむところは受け継ぎました。
あと、間違ったことに怒ること自体も元気の源になるんですよ。こんなにたくさん怒りのもとがあるから、もうちょっと生きていかなくてはと。世の中、許せないことだらけだからまだ死ねない。昔のコマーシャルの“一粒で300メートル”じゃないけれど、ひとつの怒りで何年か寿命が延びたりして。(笑い)
(つづく)

「しんぶん赤旗」日曜版 2020年11月22日付掲載


安倍さんから菅さんに首相が変わっても、自民党への怒りは変わらない。
植物、料理、わが家の庭 全部私の好きな“場所”。そこが逃げ場所になっている。

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