新型コロナ 感染の脅威 不安に感じたら② コーピング 常に準備 つらさ和らげる“武器”に
滋賀医科大学精神科助教 増田 史さん
つらいときに自分で意図的に対処する方法を「コーピング」と呼びます。このコーピングを普段から準備しておき、いざというときに使うと、つらさを和らげる重要な武器になります。
コーピングには大きく分けて「行動コーピング」と「認知(考え方/とらえ方)コーピング」の2種類があります。
「行動」「認知」2種類試して
どうしようもなくつらい時、すぐにできる行動コーピング例は次のようなものです。
①10秒間息を止めてみると、少し脈拍が落ち着くことが実感できるかもしれません。体調が良いときに苦しくない程度で試してみてください。
②「よく頑張っているね」と自分に声をかけたり、つらい気持ちをノートに書き出したりするのも有効な手段のひとつです。
③温かい飲み物を飲むことや、好きな音楽を聞くこと、あるいはただひたすら歩くなど、何も考えずに体を動かすことも有用です。
④好きなアーティストやキャラクターなど「推し」がいる場合は、いつも見られる場所に準備しておきましょう。
認知コーピングでは、現状のとらえ方を少し変えてみます。
①前回お伝えした「責任の所在を考え直す」もその一つです。思い切って「宇宙規模で考えたら、ちっぽけなことだな」「何十年後に生きている保証はないし、自分に嫌なことを言ってくる人に関わっている暇はないな」「そういえば他人の期待に応える義務はないな」などと考えたり、唱えたりするのもよいですね。
②“自分自身が大切な友達だったら、なんて声をかける?”と考えてみるのもお勧めです。自分自身を、大切な友達のようにねぎらってみてください。どんな声をかけますか?
とはいえ、本当につらいときには、新しくコーピングを考えることができなくなりがちです。やってみてうまくいったことがあれば、ぜひどこかに書いて残しておいてください。
前回の記事の中で「誰かに相談したくても非難されると考えてしまい、孤独に陥る」という状況について取り上げました。自分の状況について誰にも聞いてもらえない、理解されないことは、それ自体がとても心を追い詰めるものです。
自分を責める考えが強すぎると、相談すること自体が人に迷惑をかけるのではないかと考えたり、この場を打開できるのは自分だけだ、と自分に過度な責任を負わせたりすることもあります。そのように煮詰まった時こそ、誰かに相談するチャンスです。
【相談窓口など】
●電話相談
・こころの健康相談統一ダイヤル
電話:0570(064)556
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している公的な相談機関に接続します。相談対応の曜日や日時は都道府県によって異なります。
・よりそいホットライン
電話:0120(279)338
〈岩手・宮城・福島からは〉
電話:0120(279)226
一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営しており、24時間対応しています。
●SNS相談
LINE相談窓口「生きづらびっと」
LINE ID @yorisoi-chat
【コーピング】
こころのセルフケアの一つとして、荻上チキ、増田史両氏作成の「心理的危機対応プラン(PCOP)」にコーピング集を掲載しています。(ネットで公開中)
自分を客観視 相談は第一歩
近年、公的な相談窓口や民間の相談窓口が充実してきています。LINEなどのSNSで相談できるものも多数あります(一覧参照)。各都道府県には「精神保健福祉センター」が設置されていて、相談を受け付けています。相談するという行動自体が、自分の状況を客観的に捉える第一歩になります。
1カ所に相談してみて「ここはしっくりこないな」と思ったとしても、無駄にはなりません。相談スキルは確実に上がっていきます。AI(人工知能)が相談に乗って、問題解決のための考え方を導いてくれる「こころコンディショナー」というAIチャットボットもネット上で公開されています。“人に相談するのはちょっと”という方は、ここから始めてみてはいかがでしょう。
つらい時に、まず大切なのは「わたしは楽になっていい」と認識することです。「自分なんて」「自分さえ」と思ってしまう時こそ、積極的にセルフケアを行い、ヘルプを出していきましょう。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月1日付掲載
「行動コーピング」の例。好きな音楽を聞くこと、好きなアーティストが見られる場所で。
僕なりには、イルカのCDを聞いたり、中島潔のカレンダーを見たり…。
「認知コーピング」の例。「宇宙規模で考えたら、ちっぽけなことだな」「自分自身が大切な友達だったら、なんて声をかける?」など。
僕は比較的プラス思考ですので、「なんとかなるさ」ってことですか。
また、相談窓口に電話するってことも。グチったらすこしは落ち着くかも。
人に話すのが苦手な人はAIってのもあるって事です。
滋賀医科大学精神科助教 増田 史さん
つらいときに自分で意図的に対処する方法を「コーピング」と呼びます。このコーピングを普段から準備しておき、いざというときに使うと、つらさを和らげる重要な武器になります。
コーピングには大きく分けて「行動コーピング」と「認知(考え方/とらえ方)コーピング」の2種類があります。
「行動」「認知」2種類試して
どうしようもなくつらい時、すぐにできる行動コーピング例は次のようなものです。
①10秒間息を止めてみると、少し脈拍が落ち着くことが実感できるかもしれません。体調が良いときに苦しくない程度で試してみてください。
②「よく頑張っているね」と自分に声をかけたり、つらい気持ちをノートに書き出したりするのも有効な手段のひとつです。
③温かい飲み物を飲むことや、好きな音楽を聞くこと、あるいはただひたすら歩くなど、何も考えずに体を動かすことも有用です。
④好きなアーティストやキャラクターなど「推し」がいる場合は、いつも見られる場所に準備しておきましょう。
認知コーピングでは、現状のとらえ方を少し変えてみます。
①前回お伝えした「責任の所在を考え直す」もその一つです。思い切って「宇宙規模で考えたら、ちっぽけなことだな」「何十年後に生きている保証はないし、自分に嫌なことを言ってくる人に関わっている暇はないな」「そういえば他人の期待に応える義務はないな」などと考えたり、唱えたりするのもよいですね。
②“自分自身が大切な友達だったら、なんて声をかける?”と考えてみるのもお勧めです。自分自身を、大切な友達のようにねぎらってみてください。どんな声をかけますか?
とはいえ、本当につらいときには、新しくコーピングを考えることができなくなりがちです。やってみてうまくいったことがあれば、ぜひどこかに書いて残しておいてください。
前回の記事の中で「誰かに相談したくても非難されると考えてしまい、孤独に陥る」という状況について取り上げました。自分の状況について誰にも聞いてもらえない、理解されないことは、それ自体がとても心を追い詰めるものです。
自分を責める考えが強すぎると、相談すること自体が人に迷惑をかけるのではないかと考えたり、この場を打開できるのは自分だけだ、と自分に過度な責任を負わせたりすることもあります。そのように煮詰まった時こそ、誰かに相談するチャンスです。
【相談窓口など】
●電話相談
・こころの健康相談統一ダイヤル
電話:0570(064)556
電話をかけた所在地の都道府県・政令指定都市が実施している公的な相談機関に接続します。相談対応の曜日や日時は都道府県によって異なります。
・よりそいホットライン
電話:0120(279)338
〈岩手・宮城・福島からは〉
電話:0120(279)226
一般社団法人社会的包摂サポートセンターが運営しており、24時間対応しています。
●SNS相談
LINE相談窓口「生きづらびっと」
LINE ID @yorisoi-chat
【コーピング】
こころのセルフケアの一つとして、荻上チキ、増田史両氏作成の「心理的危機対応プラン(PCOP)」にコーピング集を掲載しています。(ネットで公開中)
自分を客観視 相談は第一歩
近年、公的な相談窓口や民間の相談窓口が充実してきています。LINEなどのSNSで相談できるものも多数あります(一覧参照)。各都道府県には「精神保健福祉センター」が設置されていて、相談を受け付けています。相談するという行動自体が、自分の状況を客観的に捉える第一歩になります。
1カ所に相談してみて「ここはしっくりこないな」と思ったとしても、無駄にはなりません。相談スキルは確実に上がっていきます。AI(人工知能)が相談に乗って、問題解決のための考え方を導いてくれる「こころコンディショナー」というAIチャットボットもネット上で公開されています。“人に相談するのはちょっと”という方は、ここから始めてみてはいかがでしょう。
つらい時に、まず大切なのは「わたしは楽になっていい」と認識することです。「自分なんて」「自分さえ」と思ってしまう時こそ、積極的にセルフケアを行い、ヘルプを出していきましょう。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2021年9月1日付掲載
「行動コーピング」の例。好きな音楽を聞くこと、好きなアーティストが見られる場所で。
僕なりには、イルカのCDを聞いたり、中島潔のカレンダーを見たり…。
「認知コーピング」の例。「宇宙規模で考えたら、ちっぽけなことだな」「自分自身が大切な友達だったら、なんて声をかける?」など。
僕は比較的プラス思考ですので、「なんとかなるさ」ってことですか。
また、相談窓口に電話するってことも。グチったらすこしは落ち着くかも。
人に話すのが苦手な人はAIってのもあるって事です。
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