政権追い詰めた市民と共産党 通常国会150日② マイナ保険証強要 与党からも慎重論
命に関わる問題
「少し乱暴だ。一元化せず、(保険証と)両方使えてもいいのではないか」(自民党の山口俊一衆院議院運営委員長、21日)―。来年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを強要する改定マイナンバー法成立後もマイナ保険証をめぐるトラブルが相次ぎ、与党からも慎重論が上がり始めています。
ところが、岸田文雄首相は同日夜の記者会見で、来年秋に保険証を廃止する政府方針に「変更はない」と述べ、強行する構えです。システムに重大な欠陥を抱え、国民の理解もないまま、保険証の廃止に踏み切れば、国民の命に関わる重大問題へとつながりかねません。
同法の成立後、「朝日」、「毎日」、「産経」などの全国紙をはじめ、地方紙各紙も保険証廃止の撤回や延期を迫る社説を掲載する異例の事態です。
「保険証廃止はありえない」とアピールする国会内集会に参加した医師や国会議員ら=1日、国会内
凍結言う「読売」
「読売」まで「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ」(7日付)と廃止方針の凍結を主張しています。
こうした批判が相次ぐ大本には、これまで使っていた保険証を無理やり廃止し、あくまで任意のはずのマイナカード取得を事実上強制的に取得させようとする政府のやり方の誤りがあります。
厚労省が21日、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に関するアンケート調査結果を発表し、「マイナ保険証」での受診歴を持つ10~70代の1000人のうち、56・5%が「メリットは特にない」と回答しました。
日本共産党は、「医療を受ける権利が奪われる」「保険証を“人質”にカードの取得・利用を強要するな」と一貫して批判し、保険証廃止の中止を求めてきました。
生死にかかわる事案と追及 国民のたたかい いっそう広がる
共産党の伊藤岳議員は5月19日の参院地方創生デジタル特別委員会で、マイナ保険証に別人の医療情報がひも付けられた誤登録問題をとりあげ、「別人情報に基づいて医療行為や薬剤投与が行われることは、生死に関わる重大事案だ」と追及しました。
また、現場で手間やトラブルが増え、日常の診療に支障が出ている実態も明らかになりました。
トラブルが続出
共産党の宮本徹議員は6月2日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、全国保険医団体連合会(保団連)の調査で、ICチップが壊れるなど本人の資格確認ができず、窓ロ10割負担を求めた例が多数に上っている事態を示し、撤回を迫りました。
マイナ保険証をめぐり、その後もトラブルが続出していることが判明しています。
保団連は21日、「マイナ保険証」について、医療機関の65%で「被保険者の情報が正しく反映されない」などのトラブルがあったと公表しました。また、オンラインで資格無効と表示され「いったん10割負担を請求した」ケースは38都道府県で最少でも776件(保団連推計1291件)発生しています。
介護施設等では、施設入居者に対して、マイナ保険証の暗証番号の保管が困難なこと、マイナ保険証の申請を誰が行うか決まっていないことなどの問題が浮き彫りになりました。しかし、政府はいまだに対策を「検討中」と答えるのみ。政府は「だれ一人取り残されない、人にやさしいデジタル化」と言いますが、高齢者や障害者など最も弱い立場にある人々を排除し、「取り残す」ことは明らかです。
さらに自治体にとって、保険情報とマイナンバーのひも付け作業は大きな負担です。同姓同名や同一生年月日もあり、毎日のように自治体で誤登録が発生しています。膨大なデータから照合し、手入力で作業するため、登録ミスが起こる構造的な欠陥があります。
マイナ保険証をめぐるトラブルを受け、河野太郎デジタル相は7日の臨時記者会見で、マイナンバーにひも付けた公金受け取り口座に、家族や同居人などの口座を登録したと思われるものが約13万件あると明らかにしました。また、総務省が20日、「マイナポイント」で誤って別人に付与した事例が131自治体で172件確認したと発表するなど、日を追うごとにトラブルは拡大しています。</span>
マイナンバーカードをめぐるトラブル
背景に財界要求
岸田政権がカードの急激な普及と用途拡大を押し付けてきた背景には、個人情報の利活用をねらう財界の「もうけ最優先」の要求に従う姿勢があります。
マイナンバーの利用範囲は現在、税・社会保障・災害の3分野に限定していますが、同法により政府の一存で、全ての行政分野でマイナンバーの情報連携が可能になります。個人情報保護を置き去りにして、行政が保有するデータを「もうけのタネ」にすることは許されません。
法案が採決強行された6月2日、共産党の山下芳生議員は参院本会議で「強行されても矛盾はなくならない。国民のたたかいがいっそう広がるだろう」と強調。保団連は同日に会見し、「保険証廃止を中止に追い込む運動を続ける」と訴えました。
国民の命と健康を守るためには、道理が全くない健康保険証の廃止を中止すべきです。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月24日付掲載
「読売」まで「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ」(7日付)と廃止方針の凍結を主張。
厚労省が21日、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に関するアンケート調査結果を発表し、「マイナ保険証」での受診歴を持つ10~70代の1000人のうち、56・5%が「メリットは特にない」と回答。
岸田政権がカードの急激な普及と用途拡大を押し付けてきた背景には、個人情報の利活用をねらう財界の「もうけ最優先」の要求に従う姿勢が。
マイナンバーの利用範囲は現在、税・社会保障・災害の3分野に限定していますが、同法により政府の一存で、全ての行政分野でマイナンバーの情報連携が可能に。
命に関わる問題
「少し乱暴だ。一元化せず、(保険証と)両方使えてもいいのではないか」(自民党の山口俊一衆院議院運営委員長、21日)―。来年秋に健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを強要する改定マイナンバー法成立後もマイナ保険証をめぐるトラブルが相次ぎ、与党からも慎重論が上がり始めています。
ところが、岸田文雄首相は同日夜の記者会見で、来年秋に保険証を廃止する政府方針に「変更はない」と述べ、強行する構えです。システムに重大な欠陥を抱え、国民の理解もないまま、保険証の廃止に踏み切れば、国民の命に関わる重大問題へとつながりかねません。
同法の成立後、「朝日」、「毎日」、「産経」などの全国紙をはじめ、地方紙各紙も保険証廃止の撤回や延期を迫る社説を掲載する異例の事態です。
「保険証廃止はありえない」とアピールする国会内集会に参加した医師や国会議員ら=1日、国会内
凍結言う「読売」
「読売」まで「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ」(7日付)と廃止方針の凍結を主張しています。
こうした批判が相次ぐ大本には、これまで使っていた保険証を無理やり廃止し、あくまで任意のはずのマイナカード取得を事実上強制的に取得させようとする政府のやり方の誤りがあります。
厚労省が21日、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に関するアンケート調査結果を発表し、「マイナ保険証」での受診歴を持つ10~70代の1000人のうち、56・5%が「メリットは特にない」と回答しました。
日本共産党は、「医療を受ける権利が奪われる」「保険証を“人質”にカードの取得・利用を強要するな」と一貫して批判し、保険証廃止の中止を求めてきました。
生死にかかわる事案と追及 国民のたたかい いっそう広がる
共産党の伊藤岳議員は5月19日の参院地方創生デジタル特別委員会で、マイナ保険証に別人の医療情報がひも付けられた誤登録問題をとりあげ、「別人情報に基づいて医療行為や薬剤投与が行われることは、生死に関わる重大事案だ」と追及しました。
また、現場で手間やトラブルが増え、日常の診療に支障が出ている実態も明らかになりました。
トラブルが続出
共産党の宮本徹議員は6月2日の衆院地域・こども・デジタル特別委員会で、全国保険医団体連合会(保団連)の調査で、ICチップが壊れるなど本人の資格確認ができず、窓ロ10割負担を求めた例が多数に上っている事態を示し、撤回を迫りました。
マイナ保険証をめぐり、その後もトラブルが続出していることが判明しています。
保団連は21日、「マイナ保険証」について、医療機関の65%で「被保険者の情報が正しく反映されない」などのトラブルがあったと公表しました。また、オンラインで資格無効と表示され「いったん10割負担を請求した」ケースは38都道府県で最少でも776件(保団連推計1291件)発生しています。
介護施設等では、施設入居者に対して、マイナ保険証の暗証番号の保管が困難なこと、マイナ保険証の申請を誰が行うか決まっていないことなどの問題が浮き彫りになりました。しかし、政府はいまだに対策を「検討中」と答えるのみ。政府は「だれ一人取り残されない、人にやさしいデジタル化」と言いますが、高齢者や障害者など最も弱い立場にある人々を排除し、「取り残す」ことは明らかです。
さらに自治体にとって、保険情報とマイナンバーのひも付け作業は大きな負担です。同姓同名や同一生年月日もあり、毎日のように自治体で誤登録が発生しています。膨大なデータから照合し、手入力で作業するため、登録ミスが起こる構造的な欠陥があります。
マイナ保険証をめぐるトラブルを受け、河野太郎デジタル相は7日の臨時記者会見で、マイナンバーにひも付けた公金受け取り口座に、家族や同居人などの口座を登録したと思われるものが約13万件あると明らかにしました。また、総務省が20日、「マイナポイント」で誤って別人に付与した事例が131自治体で172件確認したと発表するなど、日を追うごとにトラブルは拡大しています。</span>
マイナンバーカードをめぐるトラブル
マイナ保険証 | 別人の情報を登録:7300件以上 |
システム不具合で「無保険者」扱いで医療費10割負担:776件 | |
障害者手帳 | 別人の情報をひも付け:62件 |
マイナポイント | 別人にポイント付与:172件 |
公金受取口座 | 家族らの名義の口座に登録:約13万件 |
他人の口座に登録:748件 | |
コンビニ証明書交付サービス | 別人の住民票写しなどを交付:14件 |
古い住所記載の証明書を交付:9件 |
背景に財界要求
岸田政権がカードの急激な普及と用途拡大を押し付けてきた背景には、個人情報の利活用をねらう財界の「もうけ最優先」の要求に従う姿勢があります。
マイナンバーの利用範囲は現在、税・社会保障・災害の3分野に限定していますが、同法により政府の一存で、全ての行政分野でマイナンバーの情報連携が可能になります。個人情報保護を置き去りにして、行政が保有するデータを「もうけのタネ」にすることは許されません。
法案が採決強行された6月2日、共産党の山下芳生議員は参院本会議で「強行されても矛盾はなくならない。国民のたたかいがいっそう広がるだろう」と強調。保団連は同日に会見し、「保険証廃止を中止に追い込む運動を続ける」と訴えました。
国民の命と健康を守るためには、道理が全くない健康保険証の廃止を中止すべきです。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年6月24日付掲載
「読売」まで「身近な健康保険証を廃止し、トラブルが続出しているマイナンバーカードに一本化するのは無理があろう。廃止方針をいったん凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だ」(7日付)と廃止方針の凍結を主張。
厚労省が21日、マイナンバーカードと健康保険証が一体化した「マイナ保険証」に関するアンケート調査結果を発表し、「マイナ保険証」での受診歴を持つ10~70代の1000人のうち、56・5%が「メリットは特にない」と回答。
岸田政権がカードの急激な普及と用途拡大を押し付けてきた背景には、個人情報の利活用をねらう財界の「もうけ最優先」の要求に従う姿勢が。
マイナンバーの利用範囲は現在、税・社会保障・災害の3分野に限定していますが、同法により政府の一存で、全ての行政分野でマイナンバーの情報連携が可能に。
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