命救いたい 物資届ける ガザ地区ラファ検問所 ゲート前はいま
【カイロ=秋山豊】イスラエルに封鎖されたガザ地区でエジプト側から人道支援物資の搬入が唯一許されているラファ検問所。本紙カイロ支局スタッフのイスラム・コトブ氏が15日、現地を訪れ、検間所ゲート前で取材し、次のように報告しました。(写真もコトブ氏撮影)
ゲートのエジプト側には支援物資を積んだトラックの列が遠くまで続いていました。赤新月社のメンバーらが、クラクションを鳴らしながらガザに入っていくトラックを見送っています。
イスラエルは10月7日の戦闘開始以降、ガザ住民の死活にかかわる食料や燃料、電気の供給を遮断。その後、人道的な危機が深まる中、10月21日から燃料を除く物資の搬入が少しずつ始まりました。
エジプトでは約30の市民団体の連合組織「ナショナル・アライアンス」が、シシ大統領の要請を受けてガザに支援物資を運び入れています。
ガザに物資を届けているムハンマド・アルシャリフさん=15日、ラファ検問所ゲート前
ガザに支援物資を運び込むためにラファ検問所ゲートを通過するトラック=15日
搬入量 絶対的に足りず
発電燃料認めず
ムハンマド・アルシャリフさん(36)が代表を務めるNGOもこの活動に協力しています。「医療スタッフと鎮痛剤や粉ミルクなどを載せたトラックをガザに入れるところだ」と話します。
アルシャリフさんは燃料不足でパレスチナ側のトラックが使えなくなり、ガザに入ったエジプトのトラックからの積み荷の引き継ぎに困難が生じていると語ります。
この日、イスラエルは初めて2万数千リットルの燃料搬入を許可したものの、国連の援助機関が物資を配布する際の車両用燃料に限られました。病院が切望している発電用の燃料は依然として禁止されたままです。
アルシャリフさんは「イスラエルは酸素チューブや電気を使用する医療機器の搬入を認めていない。ガザの病院では赤ちゃんが亡くなっている。命を救いたい」と語ります。
エジプト政府プレスセンターのアイマン・ワラシュ責任者はこれまでにトラック1125台分の物資が運び込まれたと説明します。国連機関によれば、今回の危機以前には1日当たり500台のトラックが入っており、援助物資の搬入量は絶対的に足りません。
ワラシュさんは「トラックはガザに入る前に約100キロ離れたイスラエルとエジプトの境界に行き、イスラエル側の事前チェックを受けなければならない。これがガザへの到着の遅れにつながっている」と説明します。
ガザとの境界からバスで30分ほど離れたアリーシュ空港には各国から支援物資が届きます。エジプト赤新月社のロトフィ・ゲイスさんらが空港からゲート前まで移送しています。
ゲイスさんは「支援物資の量はまだまだ足りない。これからガザも寒くなる。より多くの支援を訴えたい」と話しました。
ガザから娘とエジプトに逃れてきたノハ・アブアルバさん(右)=15日、ラファ検問所ゲート前
死と破壊の光景
ガザ側からは、負傷したパレスチナ人を乗せた救急車が入ってきます。外国籍の人たちも退避してきます。イスラエル軍による空爆の恐怖から疲れ切った表情です。
娘と逃れてきたノハ・アブアルバさん(51)は米国籍を持つパレスチナ人です。自宅は爆撃されました。親せきはガレキの下敷きになったままです。
ノハさんは米国政府からラファ経由で退避するよう連絡を受けたといいます。ラファに向かうバスが攻撃され、娘が手にけがを負いました。
娘をガザ市内のクッズ病院に連れていきましたが水も食料も薬も不足。イスラエル軍が病院を包囲するなかを必死に脱出したといいます。
「どこにいても死と破壊の光景が広がっていた。パレスチナ人の血が流されるのはもうたくさんだ」
ノハさんはカメラを向けると涙をふいて微笑みました。理由を尋ねると「私がイスラエルに打ち砕かれることは決してないからだ」と語りました。
ワラシュさんによると、これまでに外国籍を持つ2700人がガザからエジプトに退避しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月18日付掲載
エジプトでは約30の市民団体の連合組織「ナショナル・アライアンス」が、シシ大統領の要請を受けてガザに支援物資を運び入れています。ムハンマド・アルシャリフさん(36)が代表を務めるNGOもこの活動に協力。「医療スタッフと鎮痛剤や粉ミルクなどを載せたトラックをガザに入れるところだ」と話します。
エジプト政府プレスセンターのアイマン・ワラシュ責任者はこれまでにトラック1125台分の物資が運び込まれたと説明。国連機関によれば、今回の危機以前には1日当たり500台のトラックが入っており、援助物資の搬入量は絶対的に足りない。
娘と逃れてきたノハ・アブアルバさん(51)は米国籍を持つパレスチナ人。ノハさんはカメラを向けると涙をふいて微笑みました。理由を尋ねると「私がイスラエルに打ち砕かれることは決してないからだ」と語る。
【カイロ=秋山豊】イスラエルに封鎖されたガザ地区でエジプト側から人道支援物資の搬入が唯一許されているラファ検問所。本紙カイロ支局スタッフのイスラム・コトブ氏が15日、現地を訪れ、検間所ゲート前で取材し、次のように報告しました。(写真もコトブ氏撮影)
ゲートのエジプト側には支援物資を積んだトラックの列が遠くまで続いていました。赤新月社のメンバーらが、クラクションを鳴らしながらガザに入っていくトラックを見送っています。
イスラエルは10月7日の戦闘開始以降、ガザ住民の死活にかかわる食料や燃料、電気の供給を遮断。その後、人道的な危機が深まる中、10月21日から燃料を除く物資の搬入が少しずつ始まりました。
エジプトでは約30の市民団体の連合組織「ナショナル・アライアンス」が、シシ大統領の要請を受けてガザに支援物資を運び入れています。
ガザに物資を届けているムハンマド・アルシャリフさん=15日、ラファ検問所ゲート前
ガザに支援物資を運び込むためにラファ検問所ゲートを通過するトラック=15日
搬入量 絶対的に足りず
発電燃料認めず
ムハンマド・アルシャリフさん(36)が代表を務めるNGOもこの活動に協力しています。「医療スタッフと鎮痛剤や粉ミルクなどを載せたトラックをガザに入れるところだ」と話します。
アルシャリフさんは燃料不足でパレスチナ側のトラックが使えなくなり、ガザに入ったエジプトのトラックからの積み荷の引き継ぎに困難が生じていると語ります。
この日、イスラエルは初めて2万数千リットルの燃料搬入を許可したものの、国連の援助機関が物資を配布する際の車両用燃料に限られました。病院が切望している発電用の燃料は依然として禁止されたままです。
アルシャリフさんは「イスラエルは酸素チューブや電気を使用する医療機器の搬入を認めていない。ガザの病院では赤ちゃんが亡くなっている。命を救いたい」と語ります。
エジプト政府プレスセンターのアイマン・ワラシュ責任者はこれまでにトラック1125台分の物資が運び込まれたと説明します。国連機関によれば、今回の危機以前には1日当たり500台のトラックが入っており、援助物資の搬入量は絶対的に足りません。
ワラシュさんは「トラックはガザに入る前に約100キロ離れたイスラエルとエジプトの境界に行き、イスラエル側の事前チェックを受けなければならない。これがガザへの到着の遅れにつながっている」と説明します。
ガザとの境界からバスで30分ほど離れたアリーシュ空港には各国から支援物資が届きます。エジプト赤新月社のロトフィ・ゲイスさんらが空港からゲート前まで移送しています。
ゲイスさんは「支援物資の量はまだまだ足りない。これからガザも寒くなる。より多くの支援を訴えたい」と話しました。
ガザから娘とエジプトに逃れてきたノハ・アブアルバさん(右)=15日、ラファ検問所ゲート前
死と破壊の光景
ガザ側からは、負傷したパレスチナ人を乗せた救急車が入ってきます。外国籍の人たちも退避してきます。イスラエル軍による空爆の恐怖から疲れ切った表情です。
娘と逃れてきたノハ・アブアルバさん(51)は米国籍を持つパレスチナ人です。自宅は爆撃されました。親せきはガレキの下敷きになったままです。
ノハさんは米国政府からラファ経由で退避するよう連絡を受けたといいます。ラファに向かうバスが攻撃され、娘が手にけがを負いました。
娘をガザ市内のクッズ病院に連れていきましたが水も食料も薬も不足。イスラエル軍が病院を包囲するなかを必死に脱出したといいます。
「どこにいても死と破壊の光景が広がっていた。パレスチナ人の血が流されるのはもうたくさんだ」
ノハさんはカメラを向けると涙をふいて微笑みました。理由を尋ねると「私がイスラエルに打ち砕かれることは決してないからだ」と語りました。
ワラシュさんによると、これまでに外国籍を持つ2700人がガザからエジプトに退避しました。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年11月18日付掲載
エジプトでは約30の市民団体の連合組織「ナショナル・アライアンス」が、シシ大統領の要請を受けてガザに支援物資を運び入れています。ムハンマド・アルシャリフさん(36)が代表を務めるNGOもこの活動に協力。「医療スタッフと鎮痛剤や粉ミルクなどを載せたトラックをガザに入れるところだ」と話します。
エジプト政府プレスセンターのアイマン・ワラシュ責任者はこれまでにトラック1125台分の物資が運び込まれたと説明。国連機関によれば、今回の危機以前には1日当たり500台のトラックが入っており、援助物資の搬入量は絶対的に足りない。
娘と逃れてきたノハ・アブアルバさん(51)は米国籍を持つパレスチナ人。ノハさんはカメラを向けると涙をふいて微笑みました。理由を尋ねると「私がイスラエルに打ち砕かれることは決してないからだ」と語る。
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