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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

欧州への難民 大規模流入5年③ 声を発信できる場所

2020-10-07 07:53:50 | 国際政治
欧州への難民 大規模流入5年③ 声を発信できる場所
ドイツでは難民が新しい社会に溶け込めるよう非政府組織やボランティアのさまざまな取り組みが行われています。
北部ハンブルクで、2017年に創刊された雑誌『難民マガジン』もその一つです。難民の声を社会に届け、社会への適応を後押ししています。
同誌の編集部で出迎えてくれたのは、創設者のフサーム・ゼーへルさん(32)。シリアではジャーナリストでしたが、内戦を逃れて難民としてドイツにやってきました。



『難民マガジン』創設者のフサーム・ゼーヘルさん

一人ひとりの
同誌には、難民自身が執筆する記事を載せ、難民の思いや経験を紹介するインターネットラジオ番組も放送しています。
「ニュースでは難民は『集団』として報じられ、個人の考えや意見は聞こえてきません。それで難民の方から発信できる場所をつくろうと思いました」
SNSで協力者を募った編集部には、ドイツ人のボランティアが常駐。執筆の支援のほか、住まいや仕事を得るための法的な援助や言語学習のサポートもしています。
「難民一人ひとりに人生があり、それぞれが意見や個性を持っています。自分の物語を書いてもらうことで、難民が一人の人間として浮かび上がってくるのです。それが偏見をなくし、対話や議論を生み、相互理解を促進します」
書き手は難民を中心に100人に上り、ゼーヘルさんも執筆します。内容はドイツでの生活や音楽、スポーツ、政治など多様です。
同誌の電子版には月9000件のアクセスがあります。印刷や出版にかかる費用も含め、財源は個人や支援団体からの寄付でまかなっています。



雑誌『難民マガジン』

経験生かして
ゼーヘルさんは14年にシリアを出国。トルコからギリシャへ船で渡り、「バルカンルート」を経て15年10月にドイツに到着しました。「希望を持って到着したものの、いざ来てみると英語もドイツ語も分からずつらかった」と当時を思い起こします。
「難民となり全てを失いましたが、支援者の助けで新しい友人と生活を得ることができました。この経験を生かして、他の難民の適応も支援したいと思ったのです」
ドイツ労働市場・職業研究所(IAB)の最新の調査によると、13~16年にドイツに到着した難民の約半数が、5年以内に就職を果たしました。ゼーヘルさんは「私たちの活動が少しでも役に立てば。最終的には欧州各国の難民を支援できたらいいと考えています」と笑顔を見せました。
9月18日、『難民マガジン』は『コヘロ(人工国際語エスペラントで「団結」)マガジン』と名前を変えて再出発。難民や移民だけでなく、すべての人の平和的な共存を目指します。(おわり)
(ハンブルク=桑野白馬 写真も)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年10月2日付掲載


アフリカや中東からの難民が、欧州の移住先で居住権を得て生活していくためには闘うことが必要。
まさに、雑誌『コヘロ(団結)』です。

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