きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑩&⑪ 政治家父子で関与&政治献金の「御三家」

2011-09-16 21:27:24 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑩&⑪ 政治家父子で関与&政治献金の「御三家」


政治家父子で関与

原子力発電所建設の利権をめぐり、石川県で、ある政治家父子の関与がとりざたされてきました。
一つは、北陸電力が1967年11月、志賀町赤住(しかまちあかすみ)地区などに計画した志賀原発(当時は能登原発)です。




上下関係使う
 自民党県政は北陸電力と一体となって72年5月、原発をめぐる赤住地区の住民投票に介入。開票を阻止する異常な行動に出ました。北陸電力も73年3月、原発用地の追加買収に賛同した人に1世帯当たり100万円(合計数千万円)を渡す札束攻勢を仕掛けました。
 日本共産党、社会党(当時)、日本科学者会議、県評(当時)と住民組織が同年4月、「能登原発反対各種団体連絡会議」を結成。日本共産党の原俊道県議(当時)が、原発の追加買収予定地をめぐる県認可の偽装を暴露し、88年に着工されるまで阻止しました。
 82年ごろから、原発推進派は、計画に反対していた西海(さいかい)漁業協同組合の切り崩しを始めます。仲介したのが原谷敬吾北陸電力会長(当時)の中学時代の同級生、根上(ねあがり)町(現能美(のみ)市)町長の森茂喜(しげき)氏。自民党の森喜朗(よしろう)元首相の父です。
 原発反対の「各種団体連絡会議」代表を務めた元金沢大学教員の飯田克平氏によると、元陸軍将校の森茂喜氏は、軍隊の上下関係を利用して、新しく代わった西海漁協組合長に働きかけ、『自分の骨を西海に埋める』とまで言って、県による『肩代わり海洋調査』を了承させました」。県の海洋調査結果は北陸電力に転売され、志賀原発の建設が強行されました。

裏取引で取得
 もう一つは、珠洲(すず)市の原発計画(2003年に中止)にまつわる森元首相の疑惑です。日本共産党国会議員団は99年10月、関西電力が秘密裏にゼネコン各社を通じて原発予定地周辺の土地(約10万平方メートル)を裏取引で取得したことを段ボール2箱分の資料を集めて国会で追及。関電と清水建設が、山口組系暴力団から、土地買収に協力した見返りに約30億円を要求されていたことも発覚。元大蔵大臣の私設秘書が介在したことから、「資金の一部が政界に流れたのではないか」との疑惑が浮上しました。
 地元選出の森氏は93年6月、政府の「総合エネルギー対策推進閣僚会議」に通産相として出席し、珠洲原発計画を「政府一体となって支援すべき」だとした当事者でした。関電が原発予定地周辺の土地取得を始めたのは、この「閣僚会議」の直後でした。
 森氏の政治資金管理団体「春風会」は当時、原発用地取得にかかわった清水建設や佐藤工業、金沢市の建設会社から、4年間で合計384万円の献金をうけていました。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月13日付掲載



政治献金の「御三家」

鉄鋼 16億2856万円
金融 25億7729万円
電力 11億4350万円

 自民党の政治資金集めの窓口「国民協会」(現在の国民政治協会の前身)が、1966年から74年までの間に、かき集めた業界ごとの献金額です。(『政治資金』笹子勝哉)
 証券の5億4000万円、生損保の5億8000万円などに比べて突出しており、電力業界は、鉄鋼、金融とともに「献金御三家」といわれていました。

値上げも認可
 財界の“政治資金部長”だった経団連の花村仁八郎(にはちろう)事務総長は、財界全体の自民党への献金総額を決め、これを業界ごとに割り振っていったといいます。各業界は、各社の売上高の比率や製品シェアなどを基準に、会員各社に割り振ります。電力では、東京電力の負担額は3割弱だったといいます。
 なぜ、政権政党に献金するのか―。
 当時の財界幹部の一人、永野重雄日商会頭は、こう語っています。
 「川の堤防が切れそうだという時に、人夫賃を出すようなものだ。土砂盛りに行けない村のダンナもいる。その時は資金を出してお願いする。つまり、これはいい政治だと思う政治に協力するわけだ。これが企業の自民党に対する献金じゃないの」(『流動』75年8月号)
 政治の側、自民党はこれに“政策”でこたえてきました。
 この時期は、原発の立地、建設が急速に進んだ時期に符合します。電力料金値上げの申請は、ほとんど認可されます。田中角栄内閣のもと、74年6月には、9電力の電力料金の平均56・8%ものいっせい値上げがスンナリ認められました。


原発建設を許可する通産大臣も務め、原発利権が指摘された田中角栄元首相(写真はJR浦佐駅前の銅像=新潟県南魚沼市)


形変えて継続
 しかし、献金の原資は国民が払っている電気料金です。空前絶後の金権選挙と、公益企業による特定政党への政治献金への国民の批判が高まるなか、電力会社は企業献金の中止を決めました。
 75年以降、役員によるランク付けされた個人献金という形で事実上の企業献金は、原発を持たない沖縄電力を除く9電力で、いまも続いています。
 今回の福島原発事故で、原子力損害賠償支援機構法が民主、自民、公明などの賛成で成立しました。国民の負担によって東電と大株主、大銀行などを救済するものです。ここにも献金の“効果”が表れています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月15日付掲載



森首相親子は、戦前の軍隊の上下関係も使って働きかけたんですね。暴力団がらみは、作業員を集める時だけでなく、土地買収などにもあったんですね。
本当に原発を作るためなら「何でもアリ」って感じですね。
それもそのはず、原発建設は粗利益約3割っていうぐらい、ぼろ儲けの仕事ですし、電気事業は地域独占で絶対赤字にならない仕組みになっているのすから・・・
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シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑧&⑨ 3法で交付金漬けに&田中邸に消えた5億

2011-09-11 19:47:56 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑧&⑨ 3法で交付金漬けに&田中邸に消えた5億

3法で交付金漬けに
 政府と財界・産業界は、“札束”で自治体を原子力発電所の推進に組み込む仕組みをつくり出しました。電源3法(電源開発促進税法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法)に基づく交付金です。
 東京都港区にある、高さ115メートルの高層ビル9階に原子力産業協会(原産協会)があります。1956年に発足した原産協会は、財界代表が参加し、原発推進を図ってきました。
 原産協会の活動実績について、担当者は淡々と語りました。「(提言して実現されたものは)昔でいえば、電源3法がそうでした」




福井は3245億円
 74年につくられた電源3法の交付金は、原発や関連施設が立地している地域に交付されます。東日本大震災で深刻な事故を起こした福島原発(原子炉10基)を抱える福島県では、2009年度までの累積額が2717億円に及びます。原発が集中し、15基の原子炉を有する福井県は、09年度までに総額3245億円が交付されました。原発と使用済み核燃料の再処理工場がある青森県は、10年度までの交付額が累積で2143億円に達しています。
 なぜ、電源3法が制定されたのでしょうか。
 「原子力発電の安全性に対する不安や不信が存在した」「先鋭化・組織化された反対運動が展開されるようになった」。東京電力の社史『関東の電気事業と東京電力電気事業の創始から東京電力50年への軌跡』は、当時、住民の間に原発への不安が広がっていた事情を指摘しています。この不安を抑えるため、電力会社や産業界は、自治体を交付金漬けにする手法を編み出したのです。
 電源3法成立の前年の73年、日本原子力産業会議(現・原産協会)が「『原子力開発地域整備促進法』(仮称)制定についての要望」を発表しました。「原子力開発に関与する地方自治体財政を恒久的に安定せしめるよう、合理的な税制措置を早急に確立し実施されたい」と政府に求めたのです。

立地にハズミ
 電力会社で構成される電気事業連合会(電事連)は74年1月、当時の通商産業大臣の中曽根康弘氏に、立地促進の要望書を提出し、原発立地促進の法的整備を要請しました。そして、同年6月に電源3法が成立、電事連が編さんした『電気事業連合会35年のあゆみ』は、こう絶賛します。「『受け入れやすい措置』が講じられたことで、立地にハズミがつく」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月9日付掲載



田中邸に消えた5億円

 新潟県の佐渡島を望む日本海沿いの砂丘地が、世界最大の東京電力柏崎刈羽(かしわざきかりわ)原発(出力821万キロワット)へと変貌した背景について、地元では自民党政治家の“黒いうわさ”が語り継がれてきました。



元県議の証言
 柏崎市(旧西山町)出身の田中角栄元首相の土地転がし疑惑です。本紙2001年1月15日付は、田中氏の後援会「越山会」幹部だった木村博保氏(元自民党県議)の証言で裏付けました。原発用地の売却資金5億円が、東京・目白の田中邸に運ばれ、1972年7月の自民党総裁選に投入された事実を明らかにしました。
 柏崎に原発誘致を働きかけた人物として、田中氏が「深い交際」(『私の履歴書』66年)をした東電顧問の松根宗一氏がいます。地元紙は、松根氏が63年当時の柏崎市長・小林治助氏に誘致を勧めたと報じています。
 田中氏は、後に原発用地となる砂丘地約52万平方メートルを66年9月、「室町産業」名義で購入。同年10月、日本共産党が国会で、信濃川河川敷買い占めを追及、「室町産業」を幽霊企業だと暴露すると、田中氏は翌67年1月、登記「錯誤」として「室町産業」の名前を抹消し、木村氏名義に。71年10月、東電に用地を売却した際、土地の値段を決めたのも田中氏自身だったと木村氏は証言します。




ハコモノ次々
 田中氏は地元の講演で「(柏崎刈羽と巻の)二つの原発ができると新潟県は一大電力供給地となり、税収は豊かになるッ」と叫びました。人口9万人の柏崎市に電源3法交付金だけでも32年間で1133億円も注ぎこまれ、図書館、博物館、体育館やスポーツ施設が次々と造られました。
 日本共産党の持田繁義市議は「電源3法交付金で、ゴミ捨て場だった池をわざわざ野球場にしたため、照明施設も作れず、外野が沈み、当初は毎年500万、800万円レベルで地盤沈下対策に追われました。(07年の)中越沖地震による大規模改修費用もかさんでいます」と指摘します。
 現在、原子炉7基中2基が稼働する柏崎刈羽原発の構内は、福島第1原発事故後の対応として、「練馬」「八王子」ナンバーなど、東京都内の東電営業所からかき集めた電源車12台が待機。東電は、次の地震に戦々恐々としています。
 持田市議は言います。「原発を誘致した結果、ハコモノをつくれば仕事をしていると錯覚する人たちをつくりだしました。原発は、住民の団結、自治をお金で阻害している」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月11日付掲載


金権疑獄で有名な田中角栄ですが、信濃川河川敷の土地ころがしだけでなく、原発誘致にも関わっていたんですね。
「一大電力供給地になると税収が増える・・・」って、なんでもお金で釣るなんで田中角栄らしいですね。
でも、「お金よりも命の方が大事」というのが福島原発事故をうけての率直なところではないでしょうか。
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安斎育郎さんと考える 放射能汚染⑦ 外部被ばくから身を守る

2011-09-10 21:28:19 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
安斎育郎さんと考える放射能汚染⑦ 外部被ばくから身を守る

 今回は、被ばくから身を守る具体的方法について説明していきます。第4回で外部被ばくと内部被ばくの違いを説明しましたが、今回説明する三つの原則はあくまでもからだの外からの放射線による外部被ばくの防護原則です。内部被ばくには全く当てはまりません。
 第一の原則は、放射線をさえぎる「遮蔽(しゃへい)」です。放射線の線源と自分の間に遮蔽物を置き、浴びる放射線量を減らします。ガンマ線など透過力の強い放射線を遮蔽するには、鉛など原子番号の大きな物質が一番いいのですが、鉄でもコンクリートでも水でも土でも、それぞれに効果があります。
 第二の原則は、「距離」をとることです。放射線源と自分との距離をできるだけ大きくとります。線源が1カ所にある場合には、被ばく線量はそこから、距離の2乗に反比例しますので、線源から2倍の距離をとれば被ばくは4分の1、3倍とれば9分の1に減ります。無用な放射線源は遮蔽して食い止めるのが一番ですが、それができない場合には、線源からなるべく遠くへ逃げることが大事です。
 第三の原則は、「時間」です。放射線にさらされる時間をできるだけ短くします。被ばく時間が2倍になれば、浴びる放射線量も2倍になります。
 この三つの原則は遮蔽、距離、時間の順に重要です。遮蔽をして人がいるところに到達する放射線量を減らすことが本質的に重要です。それができなければ距離をとって減らし、最後に、どうしてもその場にいなければならない場合に、被ばく時間を短縮するのが原則です。遮蔽が不十分なままで、距離や時間で線量減少をはかるのは本末転倒です。




除染どうするか
 放射線から体を守る基本は可能な限り、放射線源を取り除くことです。ですから、地表に雨などで降り積もっている放射性物質を取り除く除染が必要です。
 校庭や園庭なら表層の土を数センチはぎとって、グラウンドの一隅に掘った穴に埋めて表土をシートで覆い、その上に汚染されていない土をかけて、立ち入りを制限すればよいでしょう。表層の土を深層の土と入れ替えただけでは、深いところに放射性物質がある状況を許すことになるので、根本的な方法とは言えません。
 アスファルトやコンクリートなら水でよく洗い流し、側溝の泥はかき出すことが有効です。
 土に吸着しやすく、水とともに移動する放射性セシウムは、降下した初期にはまだ土壌深くには浸透せず、表層の数センチ程度の深さにとどまっています。除染の時期は早ければ早いほど効果があります。
 汚染した土壌や泥などの最終処分は国が汚染レベルに応じて対策をとるべきです。
 私は5月に福島市を訪れた機会に、ある保育園の協力を得て、園庭で表層の土を削ってどの程度の放射線防護効果があるかを確かめました。たとえば半径3メートルの範囲の表土を削ってみると、中心部の放射線レベルは半分以下に減りました。
学校のグラウンドや保育園の園庭が放射能で汚染されていたら、建物の内部でもグラウンドに面した窓際では放射線量が高く、部屋の中央部に行けば低くなります。
 福島市内の保育園の測定では、園庭に面した部屋で毎時1マイクロシーベルトあったものが、部屋の中央部ではほぼ半減しました。放射線レベルが心配になる地域では、窓際にロッカーや本棚、遊具入れを置くなどして放射線を防ぐとともに、子どもたちが窓際よりも部屋の中央で過ごすような工夫も意味があります。
 自治体による除染が始まっています。線量の高い地域の除染については国が責任を持つことが必要です。また、市民自らが除染のボランティア活動をすることも大事だと思います。

線量測定の注意
 除染の前にまず放射線量の測定が必要です。各地の自治体で測定が行われていますが、数値にはばらつきがあります。測定機には、電離箱式サーベイメーター、シンチレーション式サーベイメーター、GM管式ガイガーカウンターなど多くの種類があって、それぞれ目的が違います。測定機の種類や機種が違うと、測定値は何倍も違ったりします。
 測定の高さが地上1メートルか地表面か、測定方向が前向きか下向きかによっても値が違ってきます。
 測る高さを同じにし、どの機種でどの向きか、など、条件を同じにして測定、公表して、利用できるようにすれば、どの地点が相対的に高いのかの汚染マップができます。福島県内の線量の高い地域では各戸ごとの細かい汚染マップも必要です。
 こうしたデータを政府がホームページで公表しているスピーディ(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)の結果と突き合わせれば、おおまかな汚染の傾向が把握でき、除染や被ばく評価に役立ちます。

「しんぶん赤旗」日曜版 2011年9月11日付掲載



学校の校庭や通学路などの除染は大事ですね。特に、子どもが遊びそうな空地や土手などの放射線が多いといいます。
そのようなところを特定して除染していかないといけないんでしょうね。
アスファルトやコンクリートなら水でよく流すことでOKなんですね。でも、側溝の泥はかき出さないといけません。
問題になるセシウムは、土に吸着しやすく、水とともに移動するといいます。
除染の大事さがわかりまた。

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シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑥&⑦ 祭りや三味線大会&受け入れの見かえり

2011-09-09 22:56:33 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー⑥&⑦ 祭りや三味線大会&受け入れの見かえり

祭りや三味線大会にも

 政府や電力会社とともに、原子力発電を推進してきた団体に、電気事業連合会(電事連)があります。電事連は東京電力など電力会社10社によってつくられた業界団体です。
 「広告宣伝費は、過去5カ年平均でおよそ20億円ぐらい」。7月13日の衆院東日本大震災復興特別委員会で、八木誠・電事連会長(関西電力社長)はこう答弁しました。しかし、「電事連が動かすのは20億円どころではなく5000億円以上だ」と指摘する関係者もいます。




20年間120億円
 電事連が前面に立って原発を推進しているのが青森県です。「電事連マネー」は、津軽三味線大会やリンゴ酒普及、観光マップ作成など、県内の民間や自治体のさまざまな活動に注ぎ込まれています。
 青森市内で町内会長を務める玉熊靖司さん(78)は2009年、自らが館長を務める児童館の裏手の木の上に木製の小屋をつくりました。
 「今の子どもたちは体を使った遊びがなかなかできません。そこで子どもたちと秘密基地をつくりました」
 製作費用250万円のうち190万円は、「むつ小川原地域・産業振興財団」(むつ財団)が助成しました。
 1989年に青森県によって設立されたむつ財団は、電事連からの寄付が財源。設立時の基金100億円のうち半分の50億円を電事連が拠出しました。さらに、電事連は94年、特別措置として24億7000万円の寄付を行いました。特別措置は98年までの期間限定のはずでしたが、延長が繰り返され、2013年までの特別措置の累計は120億円に膨らみました。



五所川原の立佞武多でも目立つ22メートルの山車と助成したむつ財団の看板

“理解の促進”
 「むつ財団の支援事業は『使い勝手がいい』と好評です。人件費と借金返済以外なら何でも使えます」。むつ財団の職員はこう語ります。
 五所川原市で毎年8月に行われる立佞武多(たちねぶた)にもむつ財団の助成金が使われています。
 立佞武多は、山車(だし)の高さが特徴。多くが15メートル程度、最大で20メートルを超える山車が巡行する姿は圧巻です。
 今年は19台の山車が“出陣”し、146万人の観光客を集めました。ひときわ大きな22メートルの山車3台には、「原子燃料サイクル事業推進特別対策事業/むつ小川原地域・産業振興財団」の看板が目立ちます。製作にむつ財団から4000万円の助成が出ています。
 青森県庁関係者は「むつ財団の支援事業を通じて、(原発事業への)理解促進につながっているのではないか」と話しています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月7日付掲載




受け入れの見返り

 青森県発行のパンフレット『豊かで活力ある地域づくりをめざして』には「電気事業連合会の仲介による誘致企業」として、「原子燃料サイクル施設の立地を契機に、県内に15社15事業所が操業をしており、約870人の雇用が図られています」とあります。機械部品関係の企業が中心です。
 電事連が青森県を「特別扱い」するのは、「原子燃料サイクル(核燃サイクル)施設」を受け入れた見返りです。
 核燃サイクルは、一度利用した燃料を再処理して、「燃え残り」のウランとプルトニウムを取り出し、燃料として「有効利用」するもの。六ケ所村に再処理工場と関連施設が建設中です。

“原発の命運”
 核燃サイクルがうまくいかなければ、「有効利用」どころか、全国の原発で使用済み燃料貯蔵庫があふれ、操業が続けられなくなります。核燃サイクルが原発の命運を左右します。
 1984年に電事連は青森県に核燃サイクル施設の立地協力を要請し、県は翌年受諾。同県は東通村と大間町に原子力発電、むつ市には使用済み核燃料の中間貯蔵施設があります。
 原発などを立地する市町村と周辺自治体には電源3法に基づく交付金が支給されます。青森県では15市町村が原発の交付金を受けています。
 核燃サイクルをめぐっては、立地・周辺地域だけでなく全県で反対運動がおこりました。反対運動を抑え込むかのように交付金を受けられない地域にもお金を入れるために「むつ小川原地域・産業振興財団」(むつ財団)が設立されました。



電事連マネーで整備された、青森県つがる市立瑞穂小学校の音楽室の備品
(右)瑞穂小学校の壁面にはられたパネル

学校整備にも
 つがる市は05年度に市立瑞穂小学校の備品整備事業を申請。各教室の机・椅子から給食室の調理道具まで3500万円を受けました。同校には「この学校の備品は、原子燃料サイクル事業推進特別対策事業で整備されています」とのプレートが掲げられています。
 財団からの助成金は、自治体の予算編成に組み込まれています。ある自治体関係者は、「福島での原発事故があって、青森の原子力関連施設をあらためて怖く感じた。多額の寄付を考えると『原発脱却』をいうのはためらわれる」と漏らします。
 教育や地域振興など反対しづらいところに多額の寄付を行い、「原発ノー」の声を封じ込める―「電事連のやり方はえげつない」。住民の間から批判の声が上がっています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月8日付掲載



青森県の郷土の祭り「ねぶた」にも、原発マネーが投入されているんですね。
神戸の「こうべ海上花火大会」でも地元の企業や商店街の協賛、特に大企業の協賛で打ち上げられています。それはそれで、大企業の社会貢献って意味で必要な事ですが・・・。
原発の場合はまた違った意味合いがあります。「原発に反対する世論を抑え込む」って意味があるんですね。
さらに、教育や地域振興など反対しづらいところに寄付するなんて、「えげつない」そのものですね。

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シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー④&⑤ 暴力団が作業員集め&「ハコモノ」が重荷に

2011-09-08 22:26:02 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
シリーズ 原発の深層  第一部・原発マネー④&⑤ 暴力団が作業員集め&「ハコモノ」が重荷に


暴力団が作業員集め

原発マネーは、その力で差別を増殖し、暴力団の介入すら許してしまいます。

解雇の脅しも
 福井県美浜町には、関西電力の美浜原子力発電所があります。同町に住む男性(65)は以前、原発関連の仕事に就いていました。
 「現場作業で基準被ばく量を超えると、監督が『もう、明日から来るな』と怒鳴るんです。労働者の人権などありませんでした」
 作業員が被ばくすると、請負会社自身が関電側から問題視されるからです。
 タクシー会社で働いていたときのことです。原発に反対する社員は解雇の脅しを受けました。「上司はいつも、『関電は一番のお客さんだ。関電に反対するようなことを言うと、クビにするぞ』と言っていました。原発に反対する社員がいるのは、会社側には具合が悪かったのです」と話します。
 関電の高浜原発がある高浜町では、原発に反対する人への嫌がらせが日常茶飯事でした。原発反対署名に応じた人には、署名撤回の圧力がかかりました。原発問題の学習会で公民館の使用を申し込んでも、許可は決しておりませんでした。
 巨額マネーがうごめく原発には、闇の世界の住人たちが群がります。原発作業員を集める手配師たちは、貧困につけ込みます。




組関係者通じ
 東京電力福島原発に作業員を送り出している元暴力団員の男性(67)は証言します。
 「組関係者を通じて、人を集めてくれないかと頼まれるんだ」
 その数は10人から15人。ときには、20人も集めるよう求められることもあります。
 「『簡単な仕事だ。1、2万円もうかるぞ』っていうと、人は集まってくる。先日、40代の男で、4000万円借金して逃げてきた、というのがいた。でも、作業現場からすぐ逃げ出すような下手な人間を集めて、一つ間違ったら、こっちが命をとられるからね」
 派遣切りにあった若者たちも狙われています。友人が原発作業員だという男性(33)はこう語ります。
 「敦賀市に住んでいた友人が派遣切りされた後、原発作業員になりました。仲介には暴力団が入っている,と言っていました。雇用契約は会社と結んでいますが、実は、給料は暴力団を通じてもらっています。電力会社は、1人当たり日当3万円払っているとしていますが、本人は8000円しかもらっていません。ピンはねされているのでしょう」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月4日付掲載




「ハコモノ」が重荷に

 原子力発電所の立地自治体に国から交付される億単位の交付金によって、公共施設の新築工事などが行われてきました。大規模施設では、維持費がかさみ、自治体財政を圧迫しています。

市が6000万負担
 日本原子力発電の敦賀原発と日本原子力開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」が立地している敦賀市。同市内の北陸自動車道敦賀インターチェンジ近くの丘に温泉施設「リラ・ポート」がそびえたっています。同市が2002年に建設しました。建設費の財源には、「もんじゅ」の立地に交付されるリサイクル研究開発促進交付金24億3000万円が投入されました。総事業費約35億円のおよそ7割です。
 オープン以降、同施設の経営は赤字が続きました。08年度までの累積赤字は7億円を超し、一般会計からの繰り入れで補てんしています。09年度以降は経営を民間会社に委託。市は委託先の民間会社に、約6000万円の管理料を毎年支払わなければなりません。
 関電の大飯(おおい)原発を抱える、おおい町には、同町や県が造成した「うみんぴあ大飯」があります。「うみんぴあ大飯」にはホテル、こども家族館などレジャー施設が立地しています。施設の建設費には、原発関連の交付金が充てられています。




空き地ばかり
 「うみんぴあ大飯」は国道27号沿いにあり、交通の便は良いものの、訪れる人はあまり見られません。空き地ばかりが目立つ広大な約22ヘクタールの敷地の一角に、関西電力の広報施設「エルガイアおおい」がポツンと。夏休みのある日、館内には訪問者の人影はありませんでした。
 埋め立てられたのは「青戸の入り江」の一部でした。企業誘致の土地も整備されましたが、2・2万平方メートルが空き地のままです。
 同町では、学校の新築にも原発マネーが充当されています。
 山の中腹に突如として姿を現す、ホテルのような外観の小学校があります。おおい町立佐分利小学校です。同校のホームページには「初めて見る人は『リゾートホテルか?』と思ったりする」と自ら紹介しています。全校児童数はわずか69人です。総事業費およそ19億円のうち電源3法交付金で7割をまかないました。グラウンドは1万1827平方メートルという広さです。豪華体育館の正面玄関の横には、「原子力発電施設等立地地域長期発展対策交付金」と記したプレートが貼られていました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年9月6日付掲載



原発の事故処理の作業員集めに暴力団がかかわっているって事は、NHKの番組「追跡!AtoZ」で取り上げられている。
「福島第一原発 作業員に何が?」 


この先数十年かかるともいわれる福島第一原発の事故処理。
そこでは常時、全国から集められた3000人もの作業員が事故処理にあたっているが、今も非常に高い線量の放射線が計測されている。
東京電力によると、政府が定めた被ばく線量の限度を超えた作業員は6人。
また、これまでに作業に当たった人たちの内部被ばく線量を計測しようとしたところ、143人の作業員の所在が把握できないという。
事故現場で働く作業員の安全は本当に守られているのだろうか。
なぜ、厳重に放射線量が管理されているはずの作業員と、連絡がつかないなどという事態が生まれるのだろうか。
我々は、福島第一原発での安全管理の実態と、作業員がどのように集められているのかを追跡した。
すると、作業現場の過酷な実態と、そこに人を送り込む闇社会の姿が浮かび上がってきた・・・。



その実態は、『復刻版 まんが原発列島』にも掲載されています。
まんが原発列島 復刻版_08
まんが原発列島 復刻版_08 posted by (C)きんちゃん

まんが原発列島 復刻版_01
まんが原発列島 復刻版_01 posted by (C)きんちゃん


「ハコモノ」の恩恵には実を言うと私もあずかっています。
昨年、JRのふぐ料理の日帰りツアーで立ち寄ったのが「敦賀きらめき温泉リラ・ポート」だ!。
以前は「敦賀トンネル温泉」っていうひなびた温泉だったが、原電の「リサイクル研究開発促進交付金」なるものが投入されて、リゾート施設に改造されました。


私のブログでリラ・ポートを楽しんだことを紹介・・・
【敦賀港 赤レンガ倉庫散策・・・ 敦賀きらめき温泉・リラポート】

敦賀きらめき温泉 リラ・ポート_05
敦賀きらめき温泉 リラ・ポート_05 posted by (C)きんちゃん

敦賀きらめき温泉 リラ・ポート_03
敦賀きらめき温泉 リラ・ポート_03 posted by (C)きんちゃん
「歓迎御一行」もJRのふぐツアーのみ・・・。さみしい限りです。


気比神社_01
気比神社_01 posted by (C)きんちゃん
こちらは寄付で問題の気比神社。ふぐ料理を食べた料理屋さんのすぐ近くにありました。
確かに、観光スポットの一つなんですが、それなら「文化財」ってことで、文科省ルートで自力で支援できないものでしょうかね・・・
コメント
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