一律休校 その先へ④ 今の姿からスタート 京都教職員組合の呼びかけ
休校中の学びをどうするのか―。文部科学省が各地の教育委員会にあてて出した通知には、どんなことが書いてあるのでしょうか。
文科省の通知
4月10日には、「家庭学習を課し、教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができる」と通知。さらに、家庭学習で十分な学習内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断したときには「再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができる」とあります。
休校中にできなかった授業時数を全部こなそう、とあせる教育委員会があり、学校長がいます。同通知を「活用」して「家庭学習でやったことにする」対応を迫る。この構図が子どもや保護者、教員を苦しめています。そんな中でも学校現場では「これで終わりではなく、再開後授業でも触れて学習をします」と保護者に伝える教員は少なくありません。
さらに通知は、ICT環境の活用を呼びかけました。しかし、双方向型のネット環境が整わない地域では、授業とは似て非なる一方通行の「オンライン授業」となっています。
一方で同省の通知には、柔軟な対応を示唆するものもあります。

「とりもどす」のでなく「いまの姿からスタート」しましょう、と呼びかける京教組の討議資料
3月24日付の「学校再開ガイドライン」では、「児童生徒の負担が過重とならないように配慮する」よう求めています。4月10日の通知では「学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合い等だと強調しました。
さらに5月15日には、授業で行う学習活動について、「特に重要な学習」への「重点化」をうたっています。
また授業時数の確保については、すでに昨年3月29日に通知を発出。インフルエンザ等で年間の標準授業時数を下回ったことのみをもって法違反とはならない、としています。
ありのままに
「とりもどす」のではなく「いまの姿からスタート」しましょう…。こんな呼びかけをしているのは、京都教職員組合です。
「学校に戻ってきた子どもを前に、私たち教職員がまず取り組まなければいけないのは、『いまの姿』をありのままに受け止めることだと思うんです」。こう話すのは、書記長の中野宏之さんです。
3カ月という前例のない休校。京都市教委のように、授業時数の数合わせ優先で7時限授業を提案するところもあります。「勉強の遅れを心配する保護者の気持ちもわかります。でも、詰め込めばできるようになるというものではないし、一番犠牲になるのは子どもたちです」
ただ、再開には感染防止策が欠かせない。「最低限これだけは、という専門家によるマニュアルもほしい」と中野さんは言います。
「感染を防ぐ。教育課程を精選する。これらを職場で話し合い緊急に取り組みながら、20人以下学級をはじめ学校の新しいスタイルを実現させたいと願っています」
(おわり)(染矢ゆう子、堤由紀子、手島陽子が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年5月23日付掲載
確かに、インフルエンザでの休校でも3カ月に及ぶことはなかったのですから、かつて経験したことのない状態。
でも、決して詰め込みで学習するってことはないように…。また、家庭学習でやったから済ってすまされまいように。
学年度をまたがってでも、学習するようなゆとりが必要。
休校中の学びをどうするのか―。文部科学省が各地の教育委員会にあてて出した通知には、どんなことが書いてあるのでしょうか。
文科省の通知
4月10日には、「家庭学習を課し、教師がその学習状況や成果を確認し、学校における学習評価に反映することができる」と通知。さらに、家庭学習で十分な学習内容の定着が見られ、再度指導する必要がないものと学校長が判断したときには「再度学校における対面指導で取り扱わないこととすることができる」とあります。
休校中にできなかった授業時数を全部こなそう、とあせる教育委員会があり、学校長がいます。同通知を「活用」して「家庭学習でやったことにする」対応を迫る。この構図が子どもや保護者、教員を苦しめています。そんな中でも学校現場では「これで終わりではなく、再開後授業でも触れて学習をします」と保護者に伝える教員は少なくありません。
さらに通知は、ICT環境の活用を呼びかけました。しかし、双方向型のネット環境が整わない地域では、授業とは似て非なる一方通行の「オンライン授業」となっています。
一方で同省の通知には、柔軟な対応を示唆するものもあります。

「とりもどす」のでなく「いまの姿からスタート」しましょう、と呼びかける京教組の討議資料
3月24日付の「学校再開ガイドライン」では、「児童生徒の負担が過重とならないように配慮する」よう求めています。4月10日の通知では「学校教育は、教師から児童生徒への対面指導、児童生徒同士の関わり合い等だと強調しました。
さらに5月15日には、授業で行う学習活動について、「特に重要な学習」への「重点化」をうたっています。
また授業時数の確保については、すでに昨年3月29日に通知を発出。インフルエンザ等で年間の標準授業時数を下回ったことのみをもって法違反とはならない、としています。
ありのままに
「とりもどす」のではなく「いまの姿からスタート」しましょう…。こんな呼びかけをしているのは、京都教職員組合です。
「学校に戻ってきた子どもを前に、私たち教職員がまず取り組まなければいけないのは、『いまの姿』をありのままに受け止めることだと思うんです」。こう話すのは、書記長の中野宏之さんです。
3カ月という前例のない休校。京都市教委のように、授業時数の数合わせ優先で7時限授業を提案するところもあります。「勉強の遅れを心配する保護者の気持ちもわかります。でも、詰め込めばできるようになるというものではないし、一番犠牲になるのは子どもたちです」
ただ、再開には感染防止策が欠かせない。「最低限これだけは、という専門家によるマニュアルもほしい」と中野さんは言います。
「感染を防ぐ。教育課程を精選する。これらを職場で話し合い緊急に取り組みながら、20人以下学級をはじめ学校の新しいスタイルを実現させたいと願っています」
(おわり)(染矢ゆう子、堤由紀子、手島陽子が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2020年5月23日付掲載
確かに、インフルエンザでの休校でも3カ月に及ぶことはなかったのですから、かつて経験したことのない状態。
でも、決して詰め込みで学習するってことはないように…。また、家庭学習でやったから済ってすまされまいように。
学年度をまたがってでも、学習するようなゆとりが必要。