高山市荘川町の「新そばまつり」へ行ってきた。
毎年秋に行われる恒例のイベントで、そばファンが各地からやって来る。
そばコーナーは超満員で、メニューは「おろしそば」と「ざるそば」しかないが、各300円はお値打ちだった。
両方食べて満腹になったが、会場は駅の立ち食いみたいで、ちょっと味気なかった。
特産品コーナーには、そば粉やそば茶、そば饅頭以外にも、農産物や飛騨牛の串焼き、みたらし団子などの店が並び賑わっていた。
そば名人の模範打ちや、そば教室も開かれていて、来場者が熱心に見学していた。
最近は休耕田を利用したそば作りが盛んになって、飛騨各地でこの種のイベントが行われるようになった。
そばの里
荘川は特に「そば」に力を入れ、それを目玉に村起こしをしている。
荘川から白川村にいたる国道158号線を「そば街道」と名づけて、8軒ほどの店が沿線に点在している。
新そばの他に寒晒しそばとか石臼挽き、十割手打ちなど、店ごとのうたい文句で味を競っている。
休耕田や耕作放棄地を利用したそば畑も年々増えているが、荘川地区の生産量は30トンほどで、ほとんどが地元や県内で消費されているとのことだ。
飛騨は信州や木曽ほど蕎麦は盛んでなく、むしろ中華そばを好む人のほうが多い。
特に年配者で、好んで蕎麦を食べる人が少ないのは、戦前や戦後の食糧事情によるようだ。
山間地は米の収穫量が少なく、そばやひえなどが主食で、そばも細切りでなく、うどんのように太い「どじょうそば」や「そばがき」が主流だった。
芋ばかり食べさせられた人が芋嫌いになるのと同じで、米がいくらでも食べられるのに今さらそばなどと言う事かもしれない。
食の原体験は、味覚や嗜好に影響するようだ。