永井雄一郎のドイツ挑戦

今日はネタが思いつかないので、当ブログ恒例の昔話で、先日の札幌戦で解説者を務めていた永井雄一郎さんのドイツ・ブンデスリーガ、カールスルーエへの挑戦を取り上げます。今でこそ、ブンデスリーガには日本人が大量進出していますが、当時はまだ、奥寺康彦氏の後に続く選手が現れていなかった頃でした。

この移籍が実現したのは、浦和にいたギド(・ブッフバルト)のつてでした。ギドと永井は1年だけとはいえ、一緒にプレーしており、永井の独特なドリブルをドイツで育てたい浦和の意向に応えてくれました。留学などのただ練習するだけの契約ではなく、正式に1年間のレンタル移籍という形で契約を結び、結果を出せばカールスルーエのトップチームでプレーできる契約でした。

もっとも、当時のカールスルーエは2部に降格していた年でした。ギドのつてがあったので、ドイツでの生活は「周りがよくしてくれる」と永井自身は快適だったようですが、トップチームで起用されることはありませんでした。それでも、3部に所属するセカンドチームで試合に出場し、冬のオフの間はドイツで盛んなインドアサッカーで個人技を磨き、「修行」という意味では充実した日々でした。

これが実って、1999年にナイジェリアで行われたワールドユースに、永井はU-20日本代表に呼ばれてプレーします。FWの一角でプレーした永井は、準決勝のウルグアイ戦で貴重なゴールを決めるなど、日本代表の準優勝に貢献することができました。ドイツに送り出した原監督からは「あのまま浦和にいたらユース代表に選ばれなかったな」とコメントしています。

永井は1999年の6月にカールスルーエとの契約を終えて浦和に戻ってきました。ここでの永井のプレーは、明らかに変わっていました。ドイツに行く前は体力が足りず、苦しくなると横にドリブルを始める癖がありました。シュートも、渡独前は当たり損ねが多かったイメージです。しかし、帰国後の永井は、相手DFと競れるフィジカルと、標準レベルのヘディングシュートを身に着けていました。

FWとしての強さを身に着けた永井は、その後浦和で50ゴールを決める活躍を見せました。ひ弱さもあった天才が、強さを持って帰ってきた印象は今でも強烈です。もし原口が浦和に戻ってきたら、もっと強烈な印象が残るのではと思っています。