p.72 ベリーダンスはダンサー個人の個性や資質が表現される踊り。
自分に合った踊り方、自分の個性をアピールできる踊り方をみつけるために、
プロのダンサーの 方々はどのような工夫をしているのでしょうか。
●数多くの体験が個性や能力を導き出す
私(著者)の場合は、今までの数々の体験が自分の踊り方や個性を創っている
のだと思います。た とえば、ニューヨークやエジプトで数々の先生に学び、
実際にその踊りを自ら体験しながら 自分の踊りをみつけてきました。
一人の先生だけでベリーダンスのすべてを学び理解すると いうことには
限界があると思います。踊り手によって魅了するものは無数にあります。
言うまでもなく、ベリーダンス以外の踊りや芸術に触れることも大切なことです。
私はニュー ヨークでジャズやバレエの教室にも通いましたが、
踊りをロジカルに分析したり、基礎的な 身体を作ることができたと思ってます。
また、舞台芸能が好きでしたので、ブロードウェイの ショーなどを次々に観ました。
そういった舞台を観た記憶が今のステージ創りのヒントになっ ているのだと思います。
もちろん、あのスケールと同じものを創り上げることはできませんが、 夢のような
舞台のイメージがいつも脳裏にあって、それが舞台創りに大きく影響しています。
p.73 その夢のような舞台を創りたいと思ったとき、実際に演じることのできる体力や
技術がな ければいけませんよね。そのためにもいろいろな先生のレッスン、WSを受けて
実体験を積 み重ねていくのです。その際、先生の表情や醸し出す雰囲気も感じ取って、
そのたびに自分 もなりきってみることが大切。
そういう経験の積み重ねが、知らず知らずのうちに貯金になっ ていき、自分の中に
いろいろな引き出しができてきます。その引 き出しは、いつも全部を使うわけでは
ありません。でも、どの引 き出しでも、開けたいときに開けられ自由 に取り出せるように
しておくことが大切なのです。
自分だけで自分を高めたり、自分の踊り方をみつけるには、限 界があると思います。
私自身も、一から自分ひとりで形にしたと いうものは、ほとんどないのではないでしょうか。
振り返ると、 本当にいろいろなショーを楽しんで観ましたね。子供の頃の日本 では
松竹歌劇団や日劇などのショーも全盛期。たぶんそういう体 験も、今のステージ創りの
もとになっているのでしょうね。 スタジオや WSで学び、大きなステージを観たり、
さまざまな ショーを楽しんだり、そういう積み重ねがそのダンサー自身を花 開かせる。
そういうものだと思います。