温厚な夫がついに爆発。
蓮華岳(北アルプス・針ノ木岳の隣)頂上付近の駒草群落に入り込んで写真撮影に
夢中の女性に、「貴女は花の名前をたくさん知っていて、他の人に色々説明しているくせに、
どうしてそんな撮影の仕方ができるんですか!? 僕らだって近くで撮りたいのは
山々だけど、登山道から望遠レンズを使って撮っているんですよ!!」
針ノ木小屋からずっと付かず離れずで登ってきたので、彼女の博学ぶりはよく分かりました。
70代半ばの女性ばかり4人で一年中ゆったりとした山行を続け、脚力もなかなかの様子。
山を愛し、植物を愛している筈のその彼女でさえも、つい夢中になると「自分だけは特別」
という気分になってしまうのでしょう。
かく言う私だって、足元には細心の注意を払ってはいるものの、小さな植物を踏んづけて
いる可能性はあるのです。
先日、北岳草への想いを書きました。
珍しい可憐な高山植物を眺め、写真に収めたいというのは、ごく自然な欲求ですから、
駄目とは言えないし、立入り禁止の柵を設けるのは、いかにも無粋です。
駒草の場合、株と株の間の瓦礫は踏んでも良さそうに見えますが、細い根が張っているので、
そこを踏まれるのは大打撃だそうです。
まあ、色々なモヤモヤを感じながらも、空は青く、白い雲、そよ風、
美しい北アルプスの山々をバックにピンクの絨毯状の駒草や、深山シオガマとか、
黄花のコマノツメ、雷鳥の親子まで眺められたのは素晴らしいプレゼントでした。