手しごとを結ぶ庭の、「ひと枝のローズマリー」を読んだら、久しぶりに
夏のクリスマスローズを読んでみたくなりました。
季節が春に向かっていて、好きな花がちらほら咲き始めたことも関係
しているのかもしれません。
最初に、読んだのはいつだったかなーと思いながら、ぱらぱら
めくっていたら、裏側の見返しにこんな素敵なイラスト発見。
そして右隅に2010の文字も。
自分の読書記録で確認したら、2010年12月に最初に読んだことが
わかりました。かれこれ10年近くも経っていたことにびっくり。
本を開いて右側のページにイラスト、左側には文章、という構成で
29編納められています。
赤いポストの下側にまるで「一人で立っているポストを思って集まった
かのように」見えるぐるり輪になったスミレのはなし。
高い場所から街を見下ろすと、ビルとビルの間に赤いものが見え、それを
カラスがつついているので目を凝らしたら実生のトマト畑があった、と
いうはなし。
電車の中でビジネスマンの持っていた本からハラハラハラと紅葉した葉が
落ちてきたはなし、もいいなあと思いながら読みました。
そして最後から3番目の「市場のクリスマス(モミノキ)」。
花の市場の競り場で、背丈ほどもある大きなモミノキを運んでいく人を見て
まるでモミノキとワルツを踊っているようにも見えるのです。
に、作者のユーモア(視点のやわらかさ)を。
「サクラ(冬支度)」の中で、親方に笑われながらも、庭仕事で剪定した枝を
手入れした樹木からのご褒美のような気がして、毎日、おみやげとして
何かしら一枝、家に持ち帰ることにしていました。
に、限りないやさしさ(万物への愛)を感じました。
そういう諸々が「ひと枝のローズマリー」の中の、ここに集約されている
のでしょうね。
天国につながる電話ってあったらいいな。
庭のどこかにあるかも。
もう、どこにもいないということは、いつでも近くにいて
見てくれているということ。
何度も何度も読み返したくなるにちがいないからどこかに記したいと思い、
そうだ、こんな時のためのノートがあった、と、いそいそと開いて書き留めました。