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NHK山田洋次が選んだ日本映画100選 浦山桐郎の「キューポラのある街」

2012-02-19 13:12:59 | 日本映画
キューポラ(鋳物工場)のある町、川口。

職場の一事業所が川口にあった関係で、よく川口へ訪れた。

風向きによって、鋳物独特のにおいがし、下町工場という感じだった。

この映画は、1962年作品。まだ、町工場から大企業への転換時期だった。

おかげで、人員整理で、職を失った昔気質の職人の一家の物語だ。

長女は、中学三年生。彼女を当時18歳の吉永小百合が演じ、実に初々しい、それいて見事な演技だった。

今見返してみると、もうおばあちゃんになった吉永小百合、その目がやはり生きていた。

監督は浦山桐郎、師匠の今村昌平の協力を得て、当時の社会状況を丁寧に描いている。

ちょっと「にあんちゃん」に似て、貧困ゆえの悲劇と希望を持った少女の闘争物語となっている。

一度は自暴自棄となり、危うく社会の牙に襲われそうになる。

力づよく、未来を見据える少女の成長物語でもある。

北朝鮮帰国事業が、少女の友達の話としてクローズアップされ、当時の状況がしのばれる。

今では得難い社会派ドラマだ。

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