おススメ度 ☆☆☆
AKB48ファン ☆☆☆☆
モラトリアムとは、広辞苑によると「人間が成長して、なお社会的義務の遂行を猶予される期間。また、その猶予にとどまろうとする心理状態」
タマ子、23歳。現在、無職。東京の大学を卒業して、父がひとり暮らしをする実家で、家事を手伝うこともなく、就職活動をすることもなく、ただ食べて、寝て、マンガを読む生活を送っている。
舞台は、甲府、父親は、甲府スポーツ店を営んでいる。この甲府スポーツ店は実在で、そこを借りて撮影されたらしい。
この映画は、取り立てて事件が起こるわけもない。ひたすら、ぐうたらタマ子と父親の日常である。
一応、父親は、何とかしろとは言うけれど、ぐうたらを大目に見ている。
タマ子に扮するのは、元AKB48の前田敦子。最近は映画にのめりこんで、だんだん役者らしくなってきた。でもこの映画は、素を要求している。それがまたいい味を出している。
一方の父親は、妻に逃げられた口。料理も自分で作り、洗濯もタマ子の下着も洗う。何ともやさしい父親だ。
まずこの親子に絡んでくるのが、写真屋の息子で小学生。恋人がいたりして、結構おませ。
でも後半までこの調子で、秋、冬、春、夏と一年が描かれます。
夏にはさらに進展が、それは父に見合いの話が持ち上がるのです。
そして、2人は動き出そうとするのですが?
この父子の情愛を、丁寧に描いて、共感を呼ぶ仕掛けを作るのは山下敦弘。
まあ、モラトリアムを経験した人や、その子供を持った人には、なるほどとうなずけるエピソードの数々。微笑ましい映画だ。