ひろの映画見たまま

映画にワクワク

「ある過去の行方」、離婚と結婚、それぞれの思いが子供たちをむしばむ

2014-05-02 19:10:13 | 映画
おススメ度 ☆☆☆
  離婚、結婚、愛、それらを語りたい人 ☆☆☆☆

前作『別離』で第84回アカデミー賞外国語映画賞、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したアスガー・ファルハディ監督作品。今作は、ベレニスベジョがカンヌ映画祭で主演女優賞を得ている。

今回も、離婚、結婚、愛。それに翻弄される子供達の姿を鮮烈に描き出す。

舞台はパリ。空港から降りてきたイラン人の夫を迎える妻。窓越しに捕らえる姿から、見えない壁に阻まれる二人を暗示している。

丁寧に練られた脚本ゆえに、一言一言の重みがあって、聞き逃しているうちに、全体が見えなくなる恐れが。(覚悟して見たほうがいい)

タクシーの中での夫婦の会話で、2人が離婚調停中で、4年ぶりに会い、イランから来た夫は妻の家へと向かう。(夫婦はそこで住んでいた)

着いた先で迎えてくれる娘二人と、娘の友達と思しき男の子。(ただ娘は妻の最初の男の子供)

しかし、徐々に、長女と男の子は、妻マリー=アンヌとしっくりいっていない様子が見て取れる。

もともと、妻は、かなり自立心旺盛で、まくしたてる自己中の弁舌には圧倒されるが、嫌味が鼻につく。

だが、物語は、そこから発展、妻には結婚前提の男がおり、家にいた男の子は、その男の子供。男には、妻がいるが、自殺未遂で意識不明状態。

長女は、母の結婚に反対、絶縁に近い。

そんな、どろどろの人間関係が、さらに重層構造となって、事件へとつながる。

その過去の事件は、どう発展するのか、ミステリアスな展開に。

そして意味深なラスト。

この複雑な人間関係をぐりぐりと描いて、迫真へとせまる演出と演技のうまさ。

子供たちさえ重要な役どころを巧みに演じるので、目が離せない。

それにしても、大人たちの身勝手な行動がどれだけ子供たちを苦しめているのか?

「別離」とはまた違った視点で、人間の恐ろしさを描いている。
コメント (1)
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