おすすめ度 ☆☆☆☆★ (劇場鑑賞)
原作辻村深月。
監督河瀬直美。
前半は、栗原夫妻が不妊のため、養子を迎える話。
後半は、出来ちゃった中学生ひかりの苦悩。
河瀬監督の今作は、ミステリアスなヒューマンドラマ。
原作モノだけに話が分かりやすい。
おかげで、河瀬監督お得意の映像描写が、心理的な描写となり、この映像化しにくい物語を実に生き生きと表現している。
この映画に出てくる登場人物は、みないい人だ。(例外は、暴力団員ぽい、ゆすり男)
例えば、ひかりの働いていた新聞店の店主。
ひかりのことを気にかけて、やさしい言葉がけ。
ただ、いまだに残る世間体。これがひかりを追い詰めていく。
蒔田彩珠の素晴らしい演技で、自分の産んだ子を育てられない苦悩がひしひしと伝わってくる。
もう一つ世間体といえば、息子の朝斗。友達をケガさせたのは自分ではないと言い切ったが、幼稚園で仲良くやっていくには、自分がやったといったほうがよかった?と聞くシーン
そしてラスト、生みの親と育ての親が手を取りあう姿は涙なくては見られない。
それを、じっと見ている息子の姿。
良いと思われた養子縁組も、やはり人の心を癒してはくれなかった。
単純な話を膨らませ、風景の映像を重ねることによって、心象を描き出した河瀬監督の力量を惚れ直した。