おすすめ度 ☆☆☆★
会社のムービングロゴがアニメーションで続いているのかと思いきや、なんと46億年前の地球史のはじまりから映画はスタートし、そこから一気に現代の街の夜景にジャンプ。そして、薄暗い部屋でひとりお茶を飲む老婦人が映し出される。
マンモスが出てきたり、いささか度肝を抜くが、あとは、心の声の三人が、老婆の孤独感を独言したりと、ひねった演出にやや戸惑う。
原作は、第158回芥川賞と第54回文藝賞をダブル受賞した若竹千佐子のベストセラー小説。
若竹さんは55歳で夫を亡くした後、主婦業の傍ら執筆し63歳で作家デビュー。本作を発表するとシニア世代の圧倒的な支持を得た。「おらおらでひとりいぐも」とは、「私は私らしく一人で生きていく」という意味。
主演の老婆には、田中裕子。若かりし頃を蒼井優。
まあ、なれそめなども描かれるが、波乱万丈というほどのものではない。
ようは、昔を思い出しながら、マイペースに生きる老婆の生きざまだ。
沖田修一がひねった演出で色を添えている。
それにしても、前地球史を勉強するなんて、粋なばあさんだ。