ひろの映画見たまま

映画にワクワク

スペインの女性監督が描いた「ナイトトーキョーデイ」、菊地凛子が殺し屋に!

2012-01-20 20:03:55 | 映画
この映画、カンヌに出品、フランス映画高等技術委員会賞を受賞している。

夜の東京を上から横から、道路や電車など、流れるようなアーティスチックな映像だ。

主演は、菊地凛子、昼は魚河岸で魚をさばき、夜は独り身。殺し屋なのだ。

だが、殺し屋らしきドンパチもカーチェイスも、追っかけもない。

依頼されたのは、ワインのソムリエスペイン人の殺人。

二人でデートして、ラブホの痴漢電車ルームで、情交を交わし、結局殺さずに帰ってしまう。

そして、逢瀬を重ねる。

まあ、日本映画にない雰囲気が結構面白いが、所詮それ以上の発展はなく。

菊地凛子の裸を見るぐらいが取り柄。

ノアール映画になりきれないノアール映画。

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NHK山田洋次が選んだ日本映画百選  「姉妹」

2012-01-19 16:39:53 | 日本映画
1955年度作品。

監督の家城巳代治は、松竹出身だが、組合運動のせいで、退社。独立プロで、作品を発表。ゆえに普通の映画館では見られなかった。

組合運動や、首切りなどの話はあるが、高校生の姉妹二人に焦点があるので、組合映画臭さはない。

野添ひとみと中原ひとみ演じる姉妹は、実に明るく、長女らしくしっかりしておとなしい姉に比べ、妹はあっけらかんとして、時には失敗したりして楽しい。

中原ひとみは、当時19歳というから、もともと背が小さいため、違和感はない。

ほんとちびの可愛さまるだし。

山奥の発電所勤務の父母のもとを離れて、叔母夫婦の家に居候。その夫婦が屈託なくて、叔父は花街で遊んだり、家で花札をして警察につかまったりするが、話としてはこれもご愛嬌。

この映画のテーマは、障害を持ったり、病気だったり、夫の暴力を受けたり、社会的弱者が、生活を圧迫されている社会を姉妹の目を通して考えさせてくれる。

姉は、クリスチャンであるが、妹は神はなぜ貧しい人を助けないのか疑問を持つ。

姉には、恋愛話もあるが、結局現実的な選択をする。

映画は、姉の嫁入り姿で終わる。

暖かいホームドラマで、ちょっと社会問題をからませ、人間模様がうまく描かれている。
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NHK山田洋次が選んだ日本映画100選 「兄とその妹」

2012-01-18 16:28:36 | 日本映画
1939年の作品。戦前だ。

まず、タイトルが横書きそれも裏返しにびっくりする。

松竹大船、独特のホームドラマを数々生み出したその元だという。

会社員とその妻、妹がしっしょに生活している。

当時としてはハイソな生活。

特に、妹は外国語も堪能で、西洋風の生活。着るもの食べるもの、当時としては珍しいものだ。

兄は、会社の有望株、実直。終業後、重役の碁の相手をしている。

着物の脱ぎ着とか、日常生活の細やかな情景描写にちょっとうんざりするが、

後半、ドラマは進んで、重役から、妹への縁談。係長への昇進、会社同僚の嫌がらせ、兄の爆発と、トントンと話は進んで切れがいい。

細かいところに気遣いながら、大胆な描写を取り入れる当時の映画の根性が見て取れる。

佐分利信や笠智衆の若き頃の姿に、新鮮さを感じる。

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NHK山田洋次が選んだ日本映画百選  「祇園の姉妹」

2012-01-17 16:34:21 | 日本映画
1936年作品。

京都祇園それも甲部ではなく乙部、どちらかというと庶民的。それだけに旦那衆も商売人。

京都出身の私にとってこの京都弁は何とも懐かしく。

とくに山田五十鈴のポンポンとした京都弁は聞こえ良い。

古いしきたりや一途の恋を大事にしようという姉と、すべて打算で行動する妹。

倒産した木綿問屋の旦那を、養う姉にしびれを切らした妹は、まんまとその男を追い出し、一方で呉服屋の番頭と主人をたぶらかして、金をせしめる。

その男を手玉に取る妹を当時19歳の山田五十鈴が演じ、実に歯切れのよい色香に唖然とさせられる。

細い色町の路地を執拗に描き、華やかなはずの色町をあぶりだす演出も見事。

短い映画ではあるし、とりたてたアクションもストーリー展開もなくこれだけひきつける要素はなんなのか?

最後は、しっぺ返しを受けた妹の嘆きは、社会問題だ。

それにしても、ここに登場する男性たちのだらしないこと。でも山田五十鈴ならそうなるのかな?
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2011年キネマ旬報ベストテンが発表された!一枚のはがきとゴーストライター

2012-01-17 13:37:23 | 映画
2011年のベストテン、私の中ではなかなか見つからなかった。

邦画一位の「一枚のはがき」は、いまや、100歳になる新藤兼人の作品。

見た後は、ちょっとと思っていたが日がたつにしたがって、じわじわとよさがこみあげてきた。私も1位に押すでしょう。

八日目の蝉は、大衆的なドラマとしてよくできていた。冷たい熱帯魚や大鹿村騒動記に比べて、見ていて感動する点ではよかった。

冷たい熱帯魚は、園監督の才気がほとばしっていたが、映画としてはちょっとの想いが。

サウダージは未見。地方ではまだ公開が遅れている。

さて洋画は、やはり「ゴーストライター」かと思う。ただ、素人にはいささかもてあます作風。

その点、英国王のスピーチは、迫力があり納得させる出来。

無言歌は、よくまあという気がするが、見る者の心は重い。

やはり、キネマ旬報は玄人(技術的に)的判断が強い。

むしろ、キネ旬でも読者ランキングが参考になる。

これは、2月5日発売のキネ旬が待たれる。

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映画「マイウェイ 12,000キロの真実」、三つの戦に巻き込まれた二人の若者の物語

2012-01-16 19:17:30 | 韓国映画
韓国映画だけど、前半は、日本占領下の韓国のせいもあって、日本語が占める範囲は大きい。

実話に触発されて描かれた半実話物語。

それにしても、三つの戦争シーン。それも負け戦。ノモンハンに始まって、独ソ戦、そしてかの有名なノルマンディー上陸作戦。

いずこの軍隊もやることは同じだなと思わされる。

でも迫力は抜群。「シュリ」「ブラザーフッド」のカン・ジェギュ監督作品で、製作費25億ドルというから、かなり力が入っている。

製作日数も240日というから大変だ。

前半は、卑劣な日本軍、狂気の日本軍がテーマで、胸が痛む。

だが、ソ連の捕虜になって、極寒の地でのドラマは、厳しいものがあり、オダギリも弱音を吐いていた。

もう一つの柱、主人公二人(日本人と韓国人)の嫌悪から、逃走を経て友情へと変わる、長きにわたる時間と空間の変遷が巧みに描かれて、ラストの感動を呼ぶ。

マラソンにかける二人のスポーツ精神もすがすがしい。

中で描かれる唯一の女性は、日本兵に親を殺され復讐鬼になった中国人女性。
まあ、日本が大戦で果たした罪は大きい。韓国目線だからやむを得まい。

オダギリジョーとチャンドンゴン、日韓二大俳優の競演は素晴らしい。
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フランス映画「クリスマスストーリー」、豪華キャストで綴る苦くて暖かい物語。

2012-01-15 19:02:58 | フランス映画
クリスマスストーリーといっても、若いカップルの恋愛ものではない。

カトリーヌドヌーブが、ゴッドマザーを演じるほろ苦い家族物語だ。

久しぶりに、クリスマスに家族が集まり、楽しいとおもいきや、次男の登場で雰囲気がぶち壊しに。

白血病で長男を亡くしたトラウマ、そして今度は、母親の病気。

白血病は、合った血液の持ち主からの輸血が必要なのだ。

一方で、やはりフランス映画、集まった大人の男女の恋は華やかなものというか、許されざる恋でもある。

登場する家族たちは、ぞれぞれに過去を引きずり、屈折した感情が醸される。クリスマスストーリーという楽しいイメージはどこかへ。

ただ、最後は一応明るい話題でしめてくれてなんとか。

カトリーヌドヌーブは、素晴らしいですね。

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NHK山田洋次が選んだ日本映画百選映画  「暖流」

2012-01-13 16:01:45 | 日本映画
岸田國士の原作。この作品は映画になりやすいのか、この映画の前に吉村公三郎監督で、この映画の後で野村芳太郎監督で映画化されている。山田洋次も脚色に参加している。

赤字転落の病院。院長は余命いくばくもない。そこで、病院再興を若い男に依頼する。

院長には、息子と娘がいるが、息子は放蕩もの、娘は美人だがちょっとお高い。

娘の同級生が看護婦で病院に勤めている。

その同級生と娘の、再興に来た若い男を巡る恋物語。

病院自身は傾きかけており、それをいかに再興するかがもう一つの物語。

一方、長男は、医師をしているが放蕩息子で、病院に関心がない。

シャンソンに凝っており、自分で作曲もする。

でも、やはりこの映画で面白いのは、恋のさや当て。

看護婦に扮する左幸子の圧倒される演技にひきつけられる。

対する、娘には、野添ひとみが扮し、これまた令嬢ぶりを見事に演じている。

イタリヤへ留学し、戦後の盛況だったイタリア作劇術を学んだテクニックをここぞと披露する監督の腕もさえている。
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NHK山田洋次が選んだ日本映画百選映画  「紀ノ川」

2012-01-12 17:00:40 | 日本映画
三夜連続の上映で、大変だ。

まして、紀ノ川は、まさに大河ドラマ。1966年の作品。

紀ノ川を下る壮大な嫁入りシーンから始まって、息を引き取るまでの、50年の女性一代記。

嫁いだ先が旧家、夫は県会議員から国会議員へ。まあいえば、エリート社会だが、それだけにしきたりに厳しい。

子、孫へと時代は移るが、その間に人の死と生。波乱万丈の一代といえる。

その間に、恋あり、嫉妬あり、色恋あり、戦争を乗り越えての一生だ。

特に、母の守旧に反発する娘との確執、それが孫へ来て再び古いものへの憧れ。

一方、夫を亡くし、戦後の農地解放で、しがらみのなくなったヒロインは、自らの意思を生きようとする。

有吉佐和子の原作で、しょう骨がしっかりしており、紀ノ川をはじめとする和歌山の雄大な景色が和ませる。

主演の司葉子、女優賞に輝いたというし、娘役の岩下志麻もおきゃんぶりを発揮。

大作だ。

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中国映画「無言歌」、ゴビ砂漠の収容所で繰り広げられる、究極の飢餓、そこで何が?

2012-01-11 18:13:00 | 中国映画
中国もこんな映画を上映するようになったかと思ったが、これは無許可で撮影し外国(中国以外)でしか上映されていない。

毛沢東主義の変革による混乱、一度は「百花斉放・百家争鳴」と社会主義を批判させておきながら、制度が変わって、右派分子として、罪に問う。この不条理がこの映画の根底にある。

おりしも、中国全体が食糧危機の当時、収容所に満足な食が届くはずがない。

まして辺境。砂漠の中に掘られた土の穴での生活、水のようなおかゆと重労働。人々は次々と死んでいく。

ネズミを食べたり、人のはいたものを食べたり、はては死体の人肉まで。極限の飢えだ。

ただ、人々は、黙々と環境に耐える。

そんな中、死んだ囚人の妻がやってきて、執拗に死体を求める。そして、愛を叫ぶ。

ドラマといえば、それがメインか。

ドキュメンタリー的に、極限の生活が淡々と描かれていく。

収容所の所長が、ラーメンをおいしそうにすするのが対照的だ。

究極の飢えの中、現実に黙々と従う人々の姿は、崇高ですらある。

最後にやっと救いが見えて映画は終わる。
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