川上未映子さん、
「キネマ旬報」新人賞を受賞したのね。
ミュージシャンで芥川賞作家、そのほかにも数々の賞を受賞している。
お若くて多彩だ。天は二物を与えずとかいうけれど、与えられる人もいるんだ。
題名に惹かれた「ま、いっか」の浅田次郎さんにも「不良中年」の嵐山光三郎さんにも、蹴飛ばされ、中山千夏さんの「幸子さんと私」にもそれがどうしたと不貞腐れ、エッセイや随筆の類はもう、いっかと思っていたけれど、ひょんなことから手に取った川上さんのエッセイ。
「世界クッキー」
半径500メートルの世界でもなく遥か手の届かない距離でもなく。
日常でもなく思索的な世界でもなく。
視点のつけどころがゆるゆるとこちらにしみ込んでくる。そんな感じ。
何しろ文体が独特で。
蚕が糸をはき出すようにずるずるずるずると句点のない長い長い文章が続く。
なんたって10行11行句点なし、なんてざらよ。訳が分からなくなって、読点を全部句点に置き換えて読んだことを白状して。
かと思うと、えっそこで区切るのかと思うようなへんてこなところで句点。
それがまた新鮮で。
楽しく時間が過ぎて。