やっぱり感想は読み終わったすぐ後に書かなければ、ね。
感動は薄れるし内容は忘れる、いかん。
それでも、この2冊は辻村深月さんの作品として記憶に残っているので、たどたどしく思い出して備忘録として保存。
100年近い歴史ある建物を舞台にした小説『東京會舘とわたし(上・下)』
この本は地区センターの書棚で見ていて何回か手に取ったが、
縁遠い建物であり、タイトルからして面倒そうな内容と勝手に判断して躊躇していた。
それが、昨年12月に日生劇場に行く途中で、まだ工事中のテントが張ってある建物を見たことと、
情報源TV「ぶらぶら美術・博物館」で新装なった東京會舘を紹介していたのを観てがぜん興味を持ったわけ。
東京會舘とそこで働く人、お客様それぞれのエピソードが綴られている。
フィクションとノンフィクションがないまぜになって書かれているから、
私など、どこまでが本当の出来事かしら、なんて余計なことを邪推してしまって。
それでも物語の面白さはなんら損なわれなかった。
上巻下巻、各章ごとに個々のエピソードが綴られ、そこに登場する人はまたどの章かで登場する。
読み終わってみれば、東京會舘が主人公としてどんと存在している。
『東京會舘とわたし(上)』旧館
大正11年、丸の内に落成した国際社交場・東京會舘。
海外ヴァイオリニストのコンサート、灯火管制下の結婚式、未知のカクテルを編み出すバーテンダー……。
変わりゆく時代の中、“會舘の人々"が織り成すドラマが読者の心に灯をともす。
各章のタイトルで大雑把な内容が推察されると思うので記します。
(下巻はメモしてあったので私の言葉、上巻はwebからお借りしました)
第一章 クライスラーの演奏会
第二章 最後のお客様 (大政翼賛会に東京會舘が接収される前日を舞台に、ベテラン従業員の心情とプロとしての働き)
第三章 灯火管制の下で(戦争が激しくなるなかでの結婚式、會舘の美容室で遠藤波津子さんが花嫁のお世話をする)
第四章 グッドモーニング、フィズ (将校たちが朝からこっそりとお酒を飲めるように、と工夫したバーテンダーの話)
第五章 しあわせな味の記憶(会館でのデザートのお菓子をお土産にできないかと願いからの完成までの困難)
『東京會舘とわたし(下)』 新館
昭和46年、新館への建て替えを経た東京會舘。
緊張で肩を震わす舞台女優、東日本大震災の日、直木賞授賞を知らされた青年……
優しさと慈しみに満ちた物語は、ついに終章(フィナーレ)へ
第六章 金環のお祝い (亡き夫の想い出とひとりの金婚式)
第七章 星と虎の夕べ (越路吹雪さんと岩谷登紀子さんとボーイ)
第八章 あの日の一夜に寄せて (東日本大震災とクッキングスクールの生徒たちの一夜)
第九章 煉瓦の壁を背に (直木賞受賞エピソード)
第十章 また会う春まで (母娘3代の結婚式)
ちなみにこの東京會舘は芥川賞と直木賞の受賞記者会見と授賞式が行われる。
読み終わったら、あまりに素敵なので喫茶室でいいから私も訪れたくなったわ。
長くなったので『かがみの孤城』はすっ飛ばします。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。一気読み必至の著者最高傑作。
中学生が主人公の小説もファンタジー要素が入っている小説も好みではないが、本屋大賞の小説ということで。
面白いです、小説を読む楽しさが充分味わえます。
かなり分厚い本ですが、引き込まれて内容紹介の通り一気に読むことができます。
辻村さんの平易な文章も心地よく読後感がとてもさわやか。
ダントツの得点で大賞獲得したことに充分納得しました。