バス停でばったりイシガキサンに会った、本当に久しぶり。
見かけることはあったが言葉を交わすことなんて今年はあったかしら。
マスク越しの束の間の会話は、イシガキサンが付けて入るマスクのことから。
顔にピタッとついていて鼻から口のあたりに空間があって、付け心地がよさそう。
手作り?
「そうなの、何回も試してこの形に落ち着いたわ」って。
私はそういうことができる人が羨ましくてならない。褒めちぎった。
今度作ったらポストに入れておくわ、ですって。嬉しい。
着ているブラウスもお手製。この日は横浜まで布を買いに行くそうな。
「楽しみとバランスとりながら動いているわ」
合間に孫の話やらそこら辺の話。
そして。
イシガキサンはもうずっと長い間ボランティア活動をしている。
詳しいことは訊いていないから分からないが、活動を続けていることは知っている。
今再開できているのと訊くと、ぼちぼちやっているわって。
たいていは10分かそこらの立ち話とは言っても、そこからでもきっぱりさっぱり
意志が強いイシガキサンの性格が垣間見える。
「自分が充実しているのがいちばんよね」
と利いた風な口をきいた私が浅はかだった。恥ずかしい。
イシガキサンは、
「それでも、さびしさはぬぐえないわ」と。
なんでさびしいのかは分からない、分からないけどさびしい。
おそらく分かってもさびしさはぬぐえないだろう。
「あなたの家、夕日が落ちるのがしっかり見えるものね」
夕日にさびしさを助長される私は言う。
「そうなの、まぶしいわよ。リスが通ったり鳥が来たりするのを見ていると癒されるわ」
バスの中で二人して「あなたも」「あなたもそうなの」の気分を共有したりして。