中日新聞の「時のおもり」という欄で「プロファイリング時代の個人情報」というタイトルで、総合研究大学院名誉教授の池内 了さんが投稿されていました。
AI(人工知能)技術の発達によって個人情報が極めて危ない状況にある。
その中心的な技法がプロファイリングで、その内容は「特定の個人の嗜好や関心や行動などの情報を集約(名寄せ)すること」であり、目的は「その人物の個人データを分析して将来予測をすること」にある。
むろん、その予測から人物評価を行い、その人に対する働きかけや誘導を行うことに使われる。
コンピューターの能力が飛躍的に拡大したため、さまざまな場で集められたビッグデータを集約処理し、AIが自動的に分析・予測して、いとも簡単にビジネスに応用する時代が訪れているのである。
例えば、インターネット上の閲覧履歴や購入履歴から個人の趣味や好みを推測し、どんな働きかけをすれば気が惹けるかを探るのもプロファイリングの一つである。
実際、通販大手アマゾンは書籍や文具などの購入履歴から特定の商品を推薦する宣伝を行っている。
その商品選択はAIが自動的に行っており、あたかもAIが私という人物像を把握しているかのようである。
このようなプロファイリング技術がいっそう生活の隅々まで入り込むのは確実だと思われるが、重々心しておかねばならないことを述べておきたい。
一つは、「要配慮個人情報」と呼ばれる、それが不用意に他人に知られると本人に深刻な不利益が生じかねない個人情報の保護の問題である。
具体的には人種・思想・信条・病歴・犯罪歴・職歴・社会的身分・身体的な機能や能力障害(ハンディキャップ)・性的指向などで、これまでは都道府県や市区町村が条例を制定しており、多くの自治体で本人の許可なしではこれらの情報取得が禁止されてきた。
しかし、五月に成立したデジタル改革関連法では「不要な取得はしない」とはあるが、収集禁止の原則が外されてしまった。
これは十分注意しなければならない。
今や、あらゆる買い物にポイントが付き、私たちはホイホイ利用しているが、これらの購買記録はビッグデータとして集められている。
ポイントカードを作るときに名前や住所を登録しているから、購買記録は簡単に名寄せできる。
すると、薬の購入記録を集めれば、要配慮個人情報である病歴を明らかにすることができるようになる。
現在は、これらのビッグデータは個人識別できないように加工されているという。
本人の同意なしに第三者に提供する(売買する)ことができるためである。
しかし、これにAIによるプロファイリング処理を加えると、匿名情報から個人を識別することが可能になるだろう。
ビッグデータだから個人がわからない、と気楽に言えなくなるなるのである。
さらに、日本政府はデジタル庁を九月に設置して、マイナンバーカードの大幅な普及を図ろうとしているが、これは役場・銀行・病院・学校などで管理している膨大な情報をマイナンバーカードの下に一元化(名寄せ)することが真の狙いである。
当面は、預貯金・健康保険証・給付金受け取り・国家試験資格(運転免許など)などについてマイナンバーの使用を強制することが予想される。
これにビッグデータからのプロファイリングを結合したら、個人の日常情報が国家によって完璧に把握された監視社会になるだろう。
オーウェルの小説「1984年」は単なる作家の空想ではなく、すぐそこまで来ているのである。
マイナンバーを断固拒否し、安易にポイントカードには手を出さないように、としか言いようがないのだが。
以上です。
私もアマゾンでの購入が多いので、嗜好をアマゾン側に掴まれてしまっています。😅
今のところマイナンバーカードは、個人情報が国家にダダ漏れになるので、作ってはいません。
でも、この抵抗も国家の圧力に対してどこまで抵抗できるかどうか分かりません。
国家も何とか作らせようとしていますから。
スノーデンが書いた「暴露」を読みますと、アメリカは日本の重要な情報を全て把握しているようです。
恐ろしい!
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「夢であいましょう」 の上品な司会ぶりを思い出しました。
50年前のバラエティ「夢であいましょう」