風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/グラン・トリノ、レスラー

2010年03月18日 | 映画

"グラン・トリノ"とはフォードの昔の車らしい。
主人公は、朝鮮戦争に従軍したことのあるフォード社の組み立て工だった男で、引退後もこの車を毎日磨いている。
映画は、彼の妻の葬式で始まり、彼の葬式で終わる。
彼は、戦争中取った行動にトラウマを抱えて、子どもや孫達の生活態度にも苛立っていた。
そんな彼の隣にミヤ族の一家が引っ越してくる。
ミヤ族は、ベトナム戦争でアメリカに協力し、アメリカに移民してきた。
ある出来事をきっかけに彼と隣人は親交を深めていく。
私には、この映画の出来事はフィクションであって、アメリカの日常とは違うのだと思うのだが、
度胸試しに車を盗んだり、黒人が白人を脅迫したり、喧嘩をやめさせるのに銃を使ったり、
仲間が暴行を受けた仕返しに彼の家を銃撃し、その姉をレイプしたり、そしてその暴力的復讐を企んだりする、
こうした"暴力の連鎖"を是認する「映画のストーリー」がどれだけアメリカの現実を反映しているのかはわからないが、
こうした暴力を許容イヤ擁護する下地がアメリカにはあると感じた。
私は、そこにイラク・アフガニスタンなどのアメリカの暴力を感じた。

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筋書きのあるプロレスの裏話はおもしろい。
カミソリをテーピングの中に隠し、倒れた隙にそれで自ら出血させると技も見せる。
大型ホッチキスを体に打ち付ける攻撃を、見た目は派手だが痛みはそんなではないなどと
事前に打ち合わせするのは苦笑ものだし、
老いた体の見栄えを良くするために、髪を染めたり、脇毛を剃ったり、日焼けサロンに通ったりは頬笑ましいが、
痛み止めの薬やビタミン剤などの大量摂取はもう痛々しい。
傷の特殊メーキャップは上手い。
心臓の病で引退したのだが、堅気に戻れずマットに復帰する。
トップロープの上からの大技・ダイブで宙を飛んでいるところで映画は終わる。
これは、「男の美学」などと美化しては行けない。
人は、老いにどう向き合い、老いを受け入れていくのか。

グラン・トリノもレスラーも穏やかな老いの日々を迎えられそうだったのだが、残酷な結末となった。
さて、私の老いはどうだろう。


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