風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/婚約者の友人[FRANTZ]

2018年04月20日 | 映画

面白かったです。ミステリーですが、謎解きより、人間への深い共感を感じました。
時代は、第一次世界大戦後のドイツとフランス、長い間争いをして来た両国民は相互に憎しみ合って来ました。
ストーリーはそんなに複雑ではありません。時々色彩が入りますが、ほとんどモノクロで、
この質素な感じの映像がサスペンスを醸します。
アンナ役のパウラ・ベーアは超美人とも言えませんが、吸い込まれるように美しく、魅力的です。
一方、彼女の婚約者・FRANTZを戦場で殺したことで深く心に傷を負い、精神を病んでいるアドリアン
の危うさははらはらです。
彼の後悔、出口のない苦悩、虚無の気持ちが共感と恐ろしさを与えます。

アンナとアドリアンは最後には、お互いを理解し和解します。
アンナは、婚約者・フランツの呪縛から自己を解き放ち、フランスに留まり、自立します。
いくつかの映画評は、この映画を「嘘」で論じていますが、私は、そうは思いませんでした。
どこまでが真実、嘘なのかの謎解きは関係ありません。
私は、この二人をフランスとドイツに置き換えました。
戦争直後、両国国民はお互いを憎しみ、愛国心に支配されます。
フランツの父親は言います。若者を戦争に送ったのは、我々親世代だ、と。
一時、独・仏は和解しますが、その後の第二次世界大戦でまたもや殺戮し合います。
ヨーロッパは有史以来、争い・侵略・殺戮・戦争の繰り返しの歴史です。
そして、今やっとEUで両国は一つのヨーロッパに行き着きましたが、「移民」問題で亀裂、憎悪、
排外主義的ナショナリズムという「妖怪」が徘徊し始めています。
自殺を試みたアンナとアドリアンは、ルーブルのマネの絵・「自殺」で生きる希望をもらったと言います。

この絵に、衝撃的ですがそんな力・意味があるのか私はわかりません。
制作者は、そのことにどんなメッセージを込めているのでしょう。 【4月16日】


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