


原題の「Sully」は、この映画の主役である機長の愛称で、アメリカではかなり有名になった名前だそうです。
sullyは「傷つける」と言う意味の動詞でもあり、この映画は大事故の映画なので何か「不吉な」符丁の感じもします。
3.11以降、ニューヨークには「明るい話題」がありませんでした。そこに"ハドソン川の奇跡"がまさに舞い降りました。
飛行場を飛び立ったばかりのジェット機のエンジンに鳥が衝突し、二つのエンジンが停止しました。
管制官の指示は、近くの飛行場に戻れでしたが、機長はハドソン川に着水しました。
その判断が、正しかったか、間違っていたかがこの事故の最大のポイントでした。
事故調査委員会では、「エンジン停止後、すぐに空港へ引き返し、緊急着陸することは出来た。」 ですが、
事故機のパイロットたちは訓練通りQRH(クイック・リファレンス・ハンドブック=緊急時のマニュアル)を実施したため、
空港へ引き返すための時間がなくなったとのことですが、マニュアル通りのQRHの対応と不時着水は正当と
判断されたそうです。【この稿、Wikipedia参照】
亡くなった人はなく、機長は、英雄として迎えられました。事故機のパイロットたちは訓練通りQRH(クイック・リファレンス・ハンドブック=緊急時のマニュアル)を実施したため、
空港へ引き返すための時間がなくなったとのことですが、マニュアル通りのQRHの対応と不時着水は正当と
判断されたそうです。【この稿、Wikipedia参照】
私には、この判断が妥当かどうかはわかりませんが、映画のテーマもそれを明らかにすることではありません。
クリントイーストウッド監督の意図は、徹底して「奇跡と英雄」を作り出すことです。
晩年の彼の作品は、それに取り憑かれたかのようです。
まるで、トランプを応援するかのような「アメリカ人魂ファースト」です。
彼は、こうして家族を愛する善意の固まりで非の打ち所のない典型的「アメリカンヒーロー」を作りました。
そうした役そのものと言った感じのトム・ハンクスの「どや顔」的訳知り顔と大袈裟演技も私はイヤでした。
映画の出来は、駄作とは言えませんが、もちろん傑作でもなく後味の悪い全くの「普通」作でした。 【3月6日】