風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/逃亡者、サイドエフェクト

2014年01月09日 | 映画
今日の二本はサスペンス。


題材は、1960年代後半から1970年代初頭、アメリカでのベトナム反戦運動から始まった社会運動の極左グループ・
ウエザーマンのその後に関わる一つのエピソードです。
アメリカのベトナム戦争エスカレーションは、全世界に反戦運動とそれを契機とする社会改革の運動が広まりました。
アメリカにも共産主義やマルクス主義のグループが生まれました。
またキング牧師の公民権運動も次第に分裂し、黒人を主体とする過激なブラックパンサー党も生まれました。
アメリカや日本の運動は敗北を経て極左テロリズムとなり自滅していきました。
ヨーロッパのドイツ・フランス・イタリアでも極左が発生しましたが、消滅しないで環境派など新しい社会運動として残りました。
さて、映画の主人公、かつてウエザーマンの活動家であるジム・グラントは、銀行襲撃事件で訴追されます。
しかし彼はテロ活動に反対しその事件には加わりませんでした。
事件後30年を経て逃亡に疲れた仲間の一人が自首しました。
生き延びて来た彼に警察の手が迫ります。彼は無実を晴らすために「逃亡」します。
映画ですから、ストーリーには全くリアリティはありません。
例えば、この映画のもう一人の主人公の新聞記者が隠された事実をいとも簡単に解き明かします。
それまでの警察はまるで無能だった訳です。
グラントが警察の包囲網を簡単に突破して逃亡したり、グラントの元恋人が彼の説得を受けて簡単に自首したり、
彼らの娘が警察署長の養女になっていたり……、と。
そして残念ながらロバート・レッドフォードは70歳を越えていて事件後30年と言うにしては爺さん過ぎます。
2001年9.11、アメリカが攻撃された出来事から約10年後の2012年にこの映画がアメリカで作られました。
フランツ・ファノンやマルクスなどの懐かしい名前も出てきたり、でした。
普通作です。

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原題のside effects は副作用
映画前半は、精神科医のバンクスが高額の報酬に目が眩み、新薬の臨床試験に挑み、
罠にはまって窮地に追い込まれるお話。
後半は、彼がその罠を暴くお話です。
鬱病を患うエメリーは精神科医のシーバートは、エメリーの夫の殺害と金儲けを企みます。
エメリーは新しい精神科医バンクスのもとで新薬を飲み、心神喪失の状態で夫を殺害します。
一方シーバートはエメリーの鬱病の演技指導をし、製薬会社の株の取引で大きな利益を受けます。
そう、エメリーは鬱ではなく、鬱病患者を演じ、夫を殺害し、皆がだまされます。
彼女は無罪になり、バンクスはその責任を問われ、追い詰められていきます。
彼は、かなりの禁じ手を使って、エメリーとシーバートを罠にかけて彼女らの犯罪を暴いていきます。
しかし、ストーリーはリアリティがありません。
エメリーとシーバートが同性愛の恋人同士にはすっかり興ざめでしたし、
専門家や警察が、エメリーの芝居にいとも簡単に欺かれたり、
バンクスの無実の証明=復讐がたやすく行われたり、ちょっと無理筋のストーリーです。
最後にシーバートは逮捕され、エメリーは薬漬けと隔離施設を恐怖しながら、そこに閉じ込められます。
それはまさに現在のアメリカの象徴であり、精神医療の現実=恐怖と私は思いました。
エメリーを演じたのは、『ドラゴン・タトゥーの女』のルーニー・マーラとは知りませんでした。
普通作です。                        【1月6日鑑賞】


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