プロ野球もオープン戦がはじまり、私も選手名鑑を買い求めて「球春」の到来を感じる。先の週末は関東では「春一番」の強風が吹き荒れ、鉄道や航空の運休が相次いだという(えらい他人事な言い方ですが)。
安芸と高知で行われたオリックス・バファローズと阪神のオープン戦。オープン戦でもこの時期は若手選手が開幕一軍の座をめぐってアピールする場で、チームの勝ち負けもさることながら選手個人の結果が求められる場である。
そんな中、高知での試合で引き分け寸前の9回2死満塁から「サヨナラ満塁HR」を放ち、打撃をアピールした選手がいる。今年4年目を迎える田中彰選手。
この選手の紹介文で必ずつきまとうのが「相撲一家」という言葉。曽祖父が明治から大正時代に活躍した第24代横綱・鳳。現在の横綱白鵬のいる宮城野部屋の力士で、白鵬が横綱昇進の時の明治神宮奉納土俵入りで使用した太刀は、この鳳のものという。また、祖父は元幕内・福ノ里というから、やはり相撲一家。ただこの言葉が先行しすぎたのか、パワーだけではプロ野球は難しいということか、これまでは一軍での結果が出ておらず、正念場の4年目ではある。
まあ、種目も時代も違うのだし、本人もいつまでも「横綱の曾孫」という呼ばれ方は面白くないだろう。まず「田中」という名前があり、それでこそ「曽祖父は横綱」と呼ばれたほうがいいだろうな。今シーズンは「大砲」が並ぶオリックス打線だが、その中に埋もれるのではなく、それを「押し出す」くらいの気持ちで飛躍してほしいものだ。