京浜東北線は東神奈川駅に降り立つ。「駅からハイキング」への参加である。タイトルにあるように、工業の街ということで鶴見、大黒埠頭のあたりを歩く10キロのコース。
朝9時からの受付とあったが、8時半に東神奈川駅に着いた時にはすでに多くの人たちが受付を済ませてすでにスタートしていた。そのほとんどは例によって中高年の方が多く・・・さすが年寄りは朝が早い・・・といえば怒られるな。
まずは横浜寄りに数百メートル歩いた慶運寺まで行き、そこから京浜急行の線路沿いに歩く。赤い電車が頻繁に行き来し、歩いていて退屈することがない。このあたりの地名は横浜市神奈川区神奈川。神奈川県の発生の地といってもいいのかな。
歩く途中、京浜急行の車庫が見える踏切や、東海道線、京浜東北線の跨線橋を渡る。その都度線路や車両に向けてカメラを構える。工業の街ウォーキングの前に、鉄道ウォッチングを楽しむ。
ちょうどJRと京浜急行が並走している区間であり、しょっちゅうどちらかの列車が行き来しており、見ていて飽きない。もし線路を見下ろすマンションなどに住んでいたら、休日などベランダから一日中線路を眺めているかもしれないな。
ゴール地点でもある新子安駅前から海のほうに進路をとり、埋立地に建つ工場地帯に入る。日本ビクターの本社工場を眺め、貨物線の廃線跡に出くわす。「線路内立入厳禁」とあるが、その線路はすでに撤去されており、路盤跡にはゴミが放置されている。
その路盤と並走するうちにたどり着いたのが、日産の横浜工場。正門を入ったところのゲストホールにある「エンジン博物館」が、ウォーキングの立ち寄りスポットである。この建物は戦前に建てられた日産の旧本社事務棟だったそうで、廃線跡と合わせて昔の名残を感じさせる。
中では日産や横浜工場の歴史、それに各種エンジンが展示されており、ダットサンの車などは見ていて面白い。自動車のメカニズムに触れる機会というのもなかなかないことであり、なかなかためになった。
ここで来場記念ということでスカイラインのミニカーをいただき、再び廃線跡に沿って歩く。バス停に「新興駅」というのがある。帰宅後に調べたところでは、この廃線跡とは数年前まで走っていた東海道線の貨物支線(通称・高島線)の跡地とのこと。いや、廃線跡の写真を撮っていたら同じウォーキングの参加者から「これってどこの線ですか?」と尋ねられたものだから・・・。
生麦に着く。幕末の生麦事件が起きた地で、今でもその石碑が小ぢんまりと立っている。そして、その脇にあるのが、キリン横浜工場。うーん、生麦、麦酒・・・麦酒の工場だから生麦に建てたとか・・・?
この工場見学が本日2つ目のスポット。もちろん私には、日産横浜工場より気になるスポットである。ガイドつきで見学コースを回るのだが、30分おきに各回50名定員という人数制限がある。「駅から」の参加者が2000名だし、他にも一般の見学客がいるわけだからちゃんとさばけるのだろうか。まあそこはガイドを増やすなどして対応するのだろう。私が着いたときはたまたま直近の見学時間に滑り込みセーフだったようで、すんなり入ることができた。
この日は残念ながら点検日で工場のラインは停まっていたが、ガラス越しに敷地内を見て回りながら、ビールの製法についての説明を受ける。発酵前の「麦汁」という、原料の甘さとホップの苦さが微妙に入り混じった飲み物を試飲したり。そういえばビール工場の見学というのも初めてだな。
ちなみに、「弊社でのビール瓶のリサイクル回収率はほぼ100%です」という説明があったが、元時津風親方があの事件で使用したようなビール瓶はその中に含まれないのだなとアホなことを考えてみたりする。
説明の後は「お待ちかね」の工場直送ビールの試飲。工場見学者には一人2杯までの引換券が渡されており、昼飯前からグラスになみなみと注がれた一番搾りをいただく。2杯目はラガー。いや~、朝から10キロ近く歩いた後のビールはよろしいですな~。「駅から」参加者同士「こりゃいいですな」という言葉が飛び交う。私も何回か「駅から」に参加したが、これほどおいしいハイキングは初めて。
試飲中にガイドからさらにふるまわれたのが、2月20日発売の新製品「ZERO」。カロリー、糖質を押さえた発泡酒とか。一口飲んでみたがさっぱりした味で、苦味がほとんどない。このところビール・発泡酒は「健康志向」で競合しているようで、この新製品がどこまで人気が出るか。発売されたら一度購入してみよう。
いい心持になって、ゴールの新子安駅に向かう。国道沿いの店先に寒桜が咲いているのを見つける。まだまだ寒い日が続いているが、春も少しずつ近づいているのだな・・・。