この下の記事で紹介した『週末鉄道紀行』に触発されたわけではないが、この夏の青春18きっぷシーズン最初の週末ということで、出かけることにする。今日は日帰りということだが、北陸線を目指すか、山陰線を目指すか。福知山~山陰線にしよう。
早朝にJR尼崎駅に現れ、福知山行きの列車に乗る。福岡、山口地方で大雨も降っており、今日の近畿・中国の予報も雨。今日のところは降られたらちょっと困るのだけど・・・。
朝の列車ながら、北近畿、山陰を目指す人たちでそれなりの乗車がある。ただゆっくりと朝寝を決め込んでいる風情の乗客が多く、車内は静かである。大阪のベッドタウンから武田尾のあたりの渓谷、そして田園地帯へと移る車窓をボンヤリと眺める。雨は時々強く降りつけるが、山の緑、水田の緑が鮮やかに目に飛び込んでくる。
高架の福知山駅ではすぐに接続の豊岡行きに乗車。113系の湘南色という、懐かしいカラーである。雨は一層強くなったかと思えばカラリとやんだり、外の天候が忙しい。その中、途中駅のドアの開閉時にはムッとした熱気が車内にも入ってくる。
豊岡で気動車に乗り継ぎ、列車は『城の崎にて』ならぬ「城崎温泉まで」。本日の第一の目的地である。せっかく来たのだからということで外湯に入ることにする。有名な温泉地であるが派手なネオンなどない和風情緒あふれる雰囲気がお気に入りである。
大渓川を挟む柳の並木を歩く。ここに来てうまい具合に雨がやんでおり、町歩きには具合がよい。ただ少し歩いただけでも汗がジワッと出る蒸し暑さ。やはり風呂に入ってサッパリとしよう。
城崎には7つの外湯があり、過去にも訪れているところだがお気に入りの一つが江戸時代から続く「一の湯」。土曜日の午前中という時間帯のために入浴客も少なく、ほとんど貸切状態。少し熱めの内風呂、そして野趣あふれる洞窟風呂にじっくりとつかる。しばし放心するにはちょうどいい加減である。
入浴の後は、少し早めの昼食とする。城崎の味覚といえば何といっても松葉ガニ。冬の時期に城崎を訪れれば、駅から温泉街に続く商店街のいたるところに大小のカニが並び、それらを豪勢に味わうことはなかなか難しいにしても、目を楽しませるものがある。
ただ、それは冬の話。この時期の商店街はどうも静かである。店頭に魚が並ぶこともほとんどない。やはり魚を味わうには秋から冬の時期のほうが楽しいだろう。そんな中で入ったのが、魚屋の直営という食事処の「海中苑」。冬場となると店の外まで行列ができる店だが、この日は時間が早いこともありガラガラ。
一部のメニューについては夏場でもカニ料理ができるということでカニ玉丼と、夏の日本海の味覚ということで岩ガキを注文。いずれもおいしく頂戴する。その他にも多くのメニューがあるのだが、一人旅ではそう多くを堪能できないのがつらいところ。ここは昼ではなく夜に来たいと思わせる店であるが、夕方までしか営業していないのが残念かな(まあ、居酒屋ではないから・・・)。
食後はまだ時間があったので、駅横の「さとの湯」へ。しかしここは午後からの営業のため、その前の櫓の下の足湯につかる。2時間の途中下車だったが、なかなかに充実したひと時であった。
次の目的地にむかうべく、2両編成の気動車に乗車。この国鉄型の車両に乗る機会も少しずつ減っており、貴重な乗り心地を味わうことにする・・・・(続く)。