最後は、「名前の差で負けた」というところだろうか。
8月7・8・9日の京セラドーム大阪でのオリックス・バファローズ対千葉ロッテマリーンズ戦は、オリックスを西軍、ロッテを東軍と見立てた「大坂夏の陣」と銘打ったイベントデー。この告知は早いうちから行われており「大坂夏の陣って、どんなイベントすんねん」と思っていたことであり、観戦予定に組み込んでいた。
折りしも入院ということであるが、「試験外泊」が決まり9日の昼間が動けるということで指定席を確保。このイベントを気にしていた大和人さんや、以前にご一緒したUさん、Mさんらにも声をかけたがご都合が悪いということで、単身、京セラドーム大阪に「参陣」とする。大阪夏の陣といえば史実がどうだったかは皆さんよくご存知のところだろうが、赤い装束に身をまとった真田幸村・・・とはいかないが、後藤又兵衛とか、薄田隼人とかいう一騎当千の兵の気分である。1勝1敗で迎えた3戦目。
ポスター、スコアボードには甲冑姿の大石監督、ローズ、加藤大輔らの映像が映し出される。BGMもよく聞けば「七人の侍」のテーマ曲もあり、何とかムードを盛り上げようというところ。
もっとも、この時点でオリックスが最下位、ロッテが5位ということであれば、天下を制する大坂の陣というよりは、どちらも「落城寸前」「落ち武者狩り」の様相を呈している。特にロッテはバレンタイン監督が今期限りで城主の座を明け渡し、家督は誰が継ぐのか(宿老の西村コーチが有力)という有様である。
戦国ムードを盛り上げようということで、スコアボードのオリックスの選手はすべて「漢字」。「亜力士」がアレックス・カブレラ、「狼主」はローズ、摩夜はフェルナンデスというところ。ナマでこの3人揃い踏みを見るのも久しぶりで、期待が高まる。
どうせならロッテのベニーを「紅威」、バーナム・ジュニアを「場南無二代目」、サブローを「三郎」、バレンタイン監督は「二月十四日」とでも表示すれば面白いと思ったのだが・・・・さすがにそういうことはなかった。また、この日に限り選手のアナウンスや、応援ボードのメッセージも日本語が多用されるという演出。
この3連戦、各日先着2万名に「大坂夏の陣」限定のユニフォームがデザイン日替わりで配布されており、9日は赤一色のもの(その割に、選手が赤いユニフォームでなくいつものユニフォームだったのが今ひとつだったが)。そのためか、レフト上段の黒いところを除いてはスタンドが赤く染まる。試合前の国歌演奏時に観客が立ち上がった光景は、なんだかどこぞの共産圏の国にでもいるかのような錯覚を覚えた。
さて試合、オリックス(台湾の野球雑誌では「欧力士」と表記)が小松、ロッテ(同じく「羅徳」)が唐川という先発。小松もこのところ試合は作れるようになったが、いかんせん勝ち星に恵まれない。
立ち上がり、簡単に二死を取るも、3番・サブローがレフトへの二塁打、続く4番・大松にきれいにセンターにはじき返されて1点先制。この後5番・井口を歩かせるものの後を抑えて何とか1点でしのぐ。
ここで「甘いコースやったね」とのメールが携帯に入る。観戦は単身なのだが、携帯電話の向こうでは松山在住のロッテファン・I氏がスカパーで観戦中。この後、試合展開に応じての応援メール合戦となる。
その裏、三塁打の大引を置いて、3番・亜力士がレフトへ技ありのヒット。これですかさず1対1の同点。続く2回には大村がセカンド後方に落とすタイムリーを放ち、2対1と逆転に成功する。序盤からの点の取り合いで、打撃戦の予感がする。
それでもその後は両投手とも持ち直す。中盤からはがらりと投手戦で試合のテンポも速くなる。特に小松は、3回から8回まではパーフェクトピッチング。初回に先制点を与えたときは「今日もダメか」と思ったが、「見直した、前言撤回」と思わせる内容。しかしオリックスもランナーを出すものの後が続かず、唐川も5回ですでに100球を超えながらも力のある投球。
2対1、オリックスのリードで9回表を迎える。定石なら抑えの加藤大輔だろうが、今日の内容ならそのまま続投、完投勝利でお立ち台での「キターッ!!」が聞けるはず。私だけではなく、観客席で赤いユニフォームをまとった観客もそれを期待していた。
9回、先頭の福浦を討ち取ったが、続くサブローがセンター前に落とす。ここで先制打を放った大松。1点差、4番を迎えて一発長打が恐いところだったが・・・。
大松の打球は、一塁側内野席に陣取っていた私の左から右へ高々と上がる。思わず「のわー」と言ったそのまま、ライト下段のレストランへ。これで3対2、ロッテがワンチャンスをものにしての逆転。
後続を抑え、完投は果たしたもののガックリとした表情で引き上げる小松。その裏の攻撃もロッテの抑え・「思考好き」にあっさりと片付けられ、「大坂夏の陣」はあえなく「落城」ということになった。がっかりとしてスタンドから引き上げる観客の姿も、「夏草や兵どもが夢の跡」の風情を漂わせるものであった。
この日は「小松対大松」の対戦がすべて。最後は「大小」の差でやられてしまったかな・・・。それにしても、今日は小松に勝たせてやりたい試合だったなあ。
5位6位の直接対決の負け越しで借金は「20」。このまま一足早く「白旗」を揚げてしまうのか・・・・?
ちなみにこの日の私、いや野球場というのは飲食物の「誘惑」の多いところ。ビール売りがあれだけ回るのに手を出せないというのは少しキツかった(食べ物はオリジナル弁当1個でカバー)。ただそのためか、イニングの合間に席をはずして血糖測定も行ったが、何とか安定した数値をキープ。自分の「リハビリ」としては有効だったのではなかったかなと思っている・・・・。