まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

アクアイグニス&ナローゲージ

2014年02月23日 | 旅行記D・東海北陸

湯の山温泉の温泉街から駅まで戻るのだが、バスの時間はかなり開いている。ここから駅までは3キロあまり。温泉街にいてもすることがないので、そのまま歩く。下り坂で一本道だから迷うこともないだろう。

歩いていて気付いたのが、土砂崩れのような跡があちこちに見える。先ほどロープウェーで往復した時にもそういう痕跡があったし、ホテルの施設でも「水害のため休業しています」というのがあった。何だろうなと思って帰宅後に調べてみると、ゲリラ豪雨の影響という。2010年に大きなものが発生し、幸い死者、負傷者は出なかったものの道路の陥没や水没など結構な被害があったという。今でも登山道の一部が封鎖されているし、もし温泉街に活気を感じなかった原因の一端に水害があるというのなら、かなり長期の影響である。

30分あまりで駅に到着。そしてそこからさらに7~8分歩く。近鉄湯の山線に乗って来れば駅の手前、右側に見える建物群である。先ほどの古風な湯の山温泉群と違い、いかにも最近のデザイナーが手掛けたと思われるところ。

Dscn5087 こちらが、2012年に開業した、癒しと食をテーマとした温泉リゾート「アクアイグニス」である。片岡温泉の温泉施設を中心に、しゃれたカフェ、スイーツやレストランが並ぶ。私の母も友人グループで宿泊したことがあるという。日帰りバスツアーの立ち寄りスポットにもなっているようだ。

Dscn5088 湯の山温泉の入浴はこちらにする。同じように郊外のロードサイトで展開するスーパー銭湯のような派手さはなく、知らなければ絶対に通過しそうな建物である。それでも入浴600円というのはいいのではないかと思う。アルカリ性、ちょっとぬめりのある湯である。屋内の大浴場のほかに、露天のヒノキ風呂、寝湯などを楽しむ。

食事は併設のレストランやカフェで取ることができるし、大広間には大きなクッションがあってそこで寝転がることもできる。食事は先ほど済ませたからもういいとして、ここのレストランやカフェも人気のようだ。ただ、一般のスーパー銭湯のように、自動販売機でちょっと缶ビールやジュースでも飲むとか、マッサージ機に揺られるとかいう楽しみとはちょっと違う。私もそういうのに行くことが多いのでちょっと戸惑いがあったが、女性客にはおしゃれな感じでいいかもしれない。平日でも多くの来客があるスポットだし、湯の山の新たな魅力となるか(一方で、古くからの温泉街がアクアイグニスのせいで活気がなくなったのなら皮肉なことだが)。今度は、食事込みで、(誰かと一緒に)来たいものである。

湯の山温泉駅から3両編成の電車で四日市に戻る。まだ日があるので、せっかくなのでナローゲージ路線に顔を出すことにする。

Dscn5089 日本でも数少ない存在のナローゲージ路線。四日市から出る近鉄の内部・八王子線はその一つである。ただ、利用客の減少と、車両の老朽化にともなう入れ替えの問題もあり、近鉄としては路線の廃止を四日市市に申し入れた。その後いくつかの協議を経て、鉄道車両や駅設備は四日市市の所有として、列車の運転は近鉄と四日市市が出資する新会社が行う「上下分離方式」で存続することになった。ただ、「近鉄の路線」ではなくなることで、これで近鉄からナローゲージ路線は消えることになる。特急「しまかぜ」やあべのハルカスと引き換えに、切り離さなければならないものがあるということである。バファロー・・・いや、何でもない。

Dscn5091 およそ15分おきに、内部線の内部行きと八王子線の西日野行きが交互に出て行く。今回は次にやってくる方の路線に乗ることにする。来たのは短い方の西日野行き。3両編成の前と後はそれぞれ運転台の方を向いた一人がけシート、中央はロングシートである。

Dscn5093 学校帰り、買い物帰りの客を乗せて西日野に到着。住宅街の中心部にこっそりと停まるような感じである。終点に用事があるわけではないのでそのまま折り返し便で戻る。

Dscn5095 行きが一人がけシートだったので今度はロングシートに。発車間際にそこそこの数の高校生が乗ってきて、ロングシートに向かい合って座るのもいる。スマホ片手に向かい合うとちょうど膝と膝の間が少し開くくらいの感じで、例えばちょっと広めの喫茶店やファーストフード店のテーブル席で向かい合うくらい。人が通る時は膝をちょっとずらさなければならないが。その間隔というのも、悪くないのではないだろうか(別にそういうことを推奨しているわけではないが)。

新たな経営での運行となるが、道路渋滞が問題になる地方都市にあっては、鉄道の形で残るのは一歩前進と言える。ただ、自治体の負担もそれなりのものであるし、それが運賃という形で利用者に跳ね返るのも事実。これからどうなるだろうか、また折に触れ乗りに来たいものである。

再び四日市に戻り、少し時間は早いが、四日市で訪れるスポットに出かけることにする・・・。

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樹氷と氷瀑の御在所岳山上

2014年02月23日 | 旅行記D・東海北陸

湯の山温泉駅からバスで温泉街に向かう。名古屋から直通のハイデッカータイプの車両である。坂を上ること10分足らずで到着。平日の午前中ということもあり、人の姿もほとんどなくガランとしている。週末ならば宿泊客で賑わうだろうか。

ここから近道の石段を上がり、御在所岳のロープウェーに乗ることにする。御在所岳は子どもの頃に家族で一度行ったことがあるのだが、その時は夏だった。冬場に訪れるのは初めて。本格的な登山ルートもあるのだが、この時期は完全な「冬山」である。登山するにはそれなりの装備が必要であるが、ロープウェーであればごく普通のスタイルで行くことができる。積雪を見越して履物だけはブーツにしたが。

ロープウェーといっても「何分おき」に出るというよりは、定員10名ほどのゴンドラが20台ほど順繰りに回っていて、来たものに順次乗り込むというものである。乗り場に行くと男性客が一人いたのだが、わざわざ「一緒に乗ろう」と声をかけられる。1分もすれば次のゴンドラが来るし急ぐわけでもないのだが、別に断ることでもないのでゴンドラの前と後の座席に分乗する。

Dscn5025ロープウェーは少しずつ高度を上げ、眼下には湯の山温泉街、そして伊勢の平野部が広がる。条件が良ければ伊勢湾や名古屋市街、果ては日本アルプスの山々も見えるらしいが、ちょっと霞んでいて伊勢湾ですらはっきりと見えない。

Dscn5039 「今日は風もなくて、いい天気ですよ」と男性客が話しかけてくる。「先週も来たんだけど、強風でロープウェーが運休になっちゃって。15メートル超えたらダメだし、電話で何回も問い合わせたり」、本格的なカメラを持っており、何度となく訪れている様子である。「でも、樹氷は厳しいかもしれないね・・・」

急に高度が増し、まさに空中に浮かんでいるかのようであり結構スリルを感じる。周りに雪が増えてきた。乗車時間は12分というが、結構長く感じる。あまりこうした高いところというのは得意ではないので・・・。

山上に到着。先ほどまでは何もないところだったのが急に雪景色である。降り場では長靴の無料レンタルもやっているが、とりあえずはブーツで大丈夫だろう。ロープウェー乗り場のすぐ上が朝陽台という展望スポットで、こちらに行ってみる。

Dscn5060 いやあ、急に出ました雪景色。あちらこちらで雪の花が咲いている。先ほどの男性客が言うように十分な樹氷ではないのだろうが、普段雪を見ることのない私にとってはこれでも十分異質な世界である。寒さを忘れてしばし鑑賞する。

Dscn5040 Dscn5044 Dscn5054 Dscn5079 御在所岳の山頂はここからさらにリフト(こちらは一人乗り)に乗り継いで行くことになる(あるいは、雪道を歩いて行く)が、本当に吹きさらしになるし、山頂でスキーをするならともかく、そこまではいいかなということにした。それにしても、鈴鹿山脈というのはそう高い山があるわけでもないが、気候の面で日本海側と太平洋側の境界となっているのを改めて感じる。雪をかぶった遠方の山々も美しく見える。

Dscn5057 Dscn5068Dscn5072 Dscn5075 山頂には行かないがしばらく雪道を歩いてレストランの建物を目指す。その横には水を吹き付けてできた氷瀑がある。樹氷が自然の賜物であるのに対して、こちらは人工の産物である。気温が氷点下になる日に水を霧状に吹きかけて、氷の塊を少しずつ育てていくもの。見るからに冷たく感じるが、ここの氷をちょっとくだいて、何かロックで飲むとさぞかし美味かろうな・・・と思ったりする。

それだけ厳しい自然で、この日はたまたま天候がよかったからいいが、先日の豪雪の時などは大いに荒れたのではないだろうか。

Dscn5076 少し身体が冷えたので、レストランで早めの昼食とする。おすすめは「御在所カレーうどん」ということで、そちらをいただく。うどんはやわらかい伊勢うどん。それにちょっとスパイシーで濃い味のカレーがかかる。具材は柔らかく煮込んだ豚の角煮。カレーがうどんに上手く絡んでおり、美味しくいただいた。

Dscn5085 そろそろ下山することにしよう。帰りのゴンドラは一人で乗車。12分の空中散歩を終えて温泉街に戻る。こちらは周りに雪など全くなく、つい先ほどまで別世界にいたかのようである。いや、日本アルプスや北陸山陰まで行かずとも、三重で雪景色を満喫できたのは意外だった。

さて、寒いところに身を置いた後は温泉に入ろう。せっかく湯の山温泉に来ているのだから。確かにロープウェー乗り場の近くには旅館もそこそこあり、日帰り入浴の看板もある。ただその上に「本日休館」と貼られていたり、そもそも旅館街にほとんど人の気配がないものだからあまり気が進まない。

だとすれば、湯の山温泉駅まで戻って、さらに進んだところにある温泉に行ってみようか・・・・。

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