


その伽耶院、開創は645年というから大化の改新まで遡る。孝徳天皇の勅願で、法道仙人が建てたとされる。この法道仙人、西国三十三所の一乗寺や播州清水寺も含めて、播磨のあちこちの寺を建てたとされている。仙人というのも怪しいものだが、今から1800年前に天竺(インド)から紫の雲に乗ってやって来たとか、鉄の鉢を自由自在に操って、瀬戸内海を往来する船からお布施として米を召し上げたとか、何かと伝承がある。ただそれでも多くの古刹があるのは、この辺りに寺を造るだけの財力を持つ者がいたとして、それを法道仙人という人物に託したとも言われている。また、法道仙人は山で修行したとされていることから、山岳信仰や修験道との関連も言われている。現に、伽耶院の宗派は「本山修験宗」というものだ。今でも秋には修験道の行者たちが伽耶院に集まる。







石段から本堂を見るその途中に立て札がある。

西国でも、拝観料や入山料と称していくらかの金を出して徴収するところは結構あった。中でもボッタクリ、強欲と称される代表は醍・・・いや、何でもない。一方で、何も取らないところもある。別にその良し悪しをいうものではない。そんな中で、「草引き十本」である。これは奉仕の気持ちをくすぐる文言かな。カネは取らない代わりに、修行の一つとしての草引き。結構しゃれが効いている。
















次の目的地は、客番の浄土寺。伽耶院から西の小野市にある。伽耶院口からバスで緑が丘駅に戻り、神鉄で小野まで移動するのが自然だが、昼間の神鉄粟生線の小野には、一時間に一本しかない。バスで着くとちょうど電車が出たところというタイミングで、時間がもったいない。ふと、電車ではなくバスで移動できないかと思う。先ほど、御坂サイフォンから伽耶院まで歩く途中にバス停があり、西のほうに行くような感じだった。その道との交差点近くにある志染小学校のバス停まで歩くと、ちょうどいいタイミングで三木営業所行きのバスが来るようだ。スマホで検索すると、三木営業所で6分後に小野方面に行くバスに乗り継ぐことができるとある。これだと、緑ヶ丘駅で神鉄の電車を待っている間に、小野に着くことができる。

と、時刻表を見ると「急行 小野、社、西脇」という表示があり、しばらくして観光バスタイプの車両がやって来た。停車して下車する客がいたので運転士に訊ねると、小野にも行くという。何のことはない、三宮から、今朝下車した緑ヶ丘駅も通り、三木、小野、社、そして西脇まで行く急行バスである。実はこのバス、先ほど路線バスに乗った志染小学校前にも停車するもので、しばらく待っていれば乗ることができたものだ。ローカル区間のバスに悩まされそうになったが、これで一気に時間短縮である。神鉄の線路を見ながら西へ進む。

