10月9日、未明の徳島駅前。ホテルの窓から外を見ると、前夜に雨が降ったようで路面が濡れている。ただ雨粒は見えないので今は降っていないというところだろうか。
この日はいよいよ12番の焼山寺を目指す「遍路ころがし」歩きである。徳島から朝6時09分発の阿波池田行きに乗り、先月下車、宿泊した鴨島に6時44分着。そこから焼山寺への登山口に位置する11番の藤井寺に行きスタートする。鴨島駅から藤井寺までは3キロあまりの道のりで、前回の時に歩いているが、できれば駅前にタクシーでもいれば体力温存のために使いたいという気もある。そして焼山寺まで行き、帰りは神山町営バスと徳島バスを乗り継いで、徳島駅に戻ってくるというものである。10日夜も同じホテルに泊まるから時間はさほど気にしなくてもよいのだが、神山町営の焼山寺バス停の最終が16時31分発なので、一応これをリミットとする。
ホテルの朝食は7時からということで間に合わないので、前日にコンビニで買っておいたおにぎり等で朝食とする。天気予報では一度前線が通過し、その後は晴れるということを言っていた。そして駅に向かう。早朝ということで人の姿はほとんどないが、この時間からでも神戸・大阪方面に向かう高速バスは発車していく。
前日はあまり気づかなかったのだが、駅構内に入ると「マチ★アソビ」という幟や看板が目立つ。改札口通路にもパネルが敷かれている。「マチ★アソビ」とは、徳島で開催されるアニメやゲームに関する一大イベントで、2009年の開始以降、この10月8日~10日が第17回という。このところは5月の連休と10月連休の年2回に「クライマックスラン」というのが開催されている。商店街での展示会とか、声優を招いての野外ステージ、コスプレイベントなどが行われるそうである。どうやら10月のこの連休になかなかホテルが取れなかったのは、このイベントの影響もあったのかな。17回も開催されているとは毎年恒例のイベントとして定着しているものと言えて、夏の阿波おどり以外にも全国から旅行で集まるイベントがあるというのは、徳島の新たな魅力とも言えるのではないだろうか(・・・とエラソーなことを書いているが、私自身、見た目がアニメオタクと言われることはあるものの、アニメの世界は嫌いなほうだ)。
それはさておき、徳島線の気動車に乗る。2両編成であるが、見たところ遍路・巡礼とおぼしき客の姿は見られない。連休の中日、焼山寺に挑む人が他にいてもよさそうなものだが、多くは鴨島駅や藤井寺周辺に宿泊しているのだろう。前日下車した府中を過ぎ、周りも少しずつ田園風景となる。外を見ると雨粒が落ちてきており、進むにつれて雨具なしでは厳しそうな降りになってきた。
鴨島に到着。私のほかに下車したのは地元客2~3人のみで、お参り姿の人はいない。外は雨が降っており、これは傘なしではしんどい。またタクシーも停まっておらず、結局雨の中藤井寺までの道を歩くことになる。駅の待合室で笈摺を着用し、折りたたみの傘を差して商店街を歩く。まあ、ちょうど1ヶ月前に歩いていてだいたいの距離感は憶えているし、山道に挑む前の準備運動だと思えばよい。
ここまでお読みの方で、「四国のお遍路さんは菅笠を持っているのではないのか?」と疑問に思われた方もいるだろう。現に、特に歩きで回っている人で菅笠使用の人は多い。ただ私は、かさばるからという理由で(それでなくても、自宅からの移動で大きな荷物を抱えるというのに)、かぶりものは登山用の帽子にしている。これだといらない時は丸めてリュックの中に入れることができる。また、雨具についてはレインコートかポンチョを着用する人が多いようだが、私の場合は蒸れて暑く感じるのが嫌だし、普通に町中や農村の道を歩くということであれば折りたたみ傘で十分である。もっとも、これまでの八十八所めぐりは雨具の必要はなかったが、これからどんな道を通ることになるかわからず、両手を開けるという意味でもこうしたものは用意したほうがいいのかもしれない。ともかくこの日は、まず藤井寺まで、右手で傘を差して、左手で金剛杖をつくという格好で歩く。
駅から40分あまりで11番の藤井寺に着く。大阪の藤井寺市民としては、やはり同じ名前ということで気になる札所である。朝7時を回った後だが結構多くの参詣者の姿が見える。早速焼山寺への道に挑んでもいいのだが、雨も降っているし、せっかく来たのだから挨拶代わりにちゃんとお参りしようと、ローソク、線香、お勤めという一連の所作を本堂、大師堂で行う。本堂横の弘法大師像も「登る気になったか。まあ頑張れや」と言っているように見える。
まだまだ空白のページが多い納経帳であるが、これもせっかく来たのだからと、四国初めての「重ね印」をいただく。西国三十三所と違い、四国の場合は納経帳に朱印をした日付を書かないので、ハンコをポンポンポンと3ついただくだけである。四国の場合は何度も回る人が多いから、いちいち日付まで書くスペースがないからだろう。1回目と同じように本尊御影と限定散華をセットでいただく。
一連のお参りと納経帳で時間をつくったためか、先ほどまで降っていた雨が小降りになり、全然気にならなくなった。スマホで雨雲の動きを見ると、先ほどまでが雨雲のピークで、この後の予報ではもう雲は通り過ぎるようだ。これは何というタイミングのよさだろうか。弘法大師が雨を晴らしたかのようである。
これを見てか、しばらく納経所の前で雨宿りをしていた何人かの人が遍路ころがしに向けて出発し始める。また、後の列車で鴨島に来たのか、新たに大きなリュックを背負って藤井寺に来る人もいる。混雑というほどではないが、この道を行こうという人はそれなりにいるものである。私もぼちぼち身支度をして出発する。弘法大師もそうだが、今回金剛杖に貼り付けてきた四国アイランドリーグの各チームのマスコットのシールにも「頼むぞ」と声をかける。時刻は間もなく朝8時・・・・。
この日はいよいよ12番の焼山寺を目指す「遍路ころがし」歩きである。徳島から朝6時09分発の阿波池田行きに乗り、先月下車、宿泊した鴨島に6時44分着。そこから焼山寺への登山口に位置する11番の藤井寺に行きスタートする。鴨島駅から藤井寺までは3キロあまりの道のりで、前回の時に歩いているが、できれば駅前にタクシーでもいれば体力温存のために使いたいという気もある。そして焼山寺まで行き、帰りは神山町営バスと徳島バスを乗り継いで、徳島駅に戻ってくるというものである。10日夜も同じホテルに泊まるから時間はさほど気にしなくてもよいのだが、神山町営の焼山寺バス停の最終が16時31分発なので、一応これをリミットとする。
ホテルの朝食は7時からということで間に合わないので、前日にコンビニで買っておいたおにぎり等で朝食とする。天気予報では一度前線が通過し、その後は晴れるということを言っていた。そして駅に向かう。早朝ということで人の姿はほとんどないが、この時間からでも神戸・大阪方面に向かう高速バスは発車していく。
前日はあまり気づかなかったのだが、駅構内に入ると「マチ★アソビ」という幟や看板が目立つ。改札口通路にもパネルが敷かれている。「マチ★アソビ」とは、徳島で開催されるアニメやゲームに関する一大イベントで、2009年の開始以降、この10月8日~10日が第17回という。このところは5月の連休と10月連休の年2回に「クライマックスラン」というのが開催されている。商店街での展示会とか、声優を招いての野外ステージ、コスプレイベントなどが行われるそうである。どうやら10月のこの連休になかなかホテルが取れなかったのは、このイベントの影響もあったのかな。17回も開催されているとは毎年恒例のイベントとして定着しているものと言えて、夏の阿波おどり以外にも全国から旅行で集まるイベントがあるというのは、徳島の新たな魅力とも言えるのではないだろうか(・・・とエラソーなことを書いているが、私自身、見た目がアニメオタクと言われることはあるものの、アニメの世界は嫌いなほうだ)。
それはさておき、徳島線の気動車に乗る。2両編成であるが、見たところ遍路・巡礼とおぼしき客の姿は見られない。連休の中日、焼山寺に挑む人が他にいてもよさそうなものだが、多くは鴨島駅や藤井寺周辺に宿泊しているのだろう。前日下車した府中を過ぎ、周りも少しずつ田園風景となる。外を見ると雨粒が落ちてきており、進むにつれて雨具なしでは厳しそうな降りになってきた。
鴨島に到着。私のほかに下車したのは地元客2~3人のみで、お参り姿の人はいない。外は雨が降っており、これは傘なしではしんどい。またタクシーも停まっておらず、結局雨の中藤井寺までの道を歩くことになる。駅の待合室で笈摺を着用し、折りたたみの傘を差して商店街を歩く。まあ、ちょうど1ヶ月前に歩いていてだいたいの距離感は憶えているし、山道に挑む前の準備運動だと思えばよい。
ここまでお読みの方で、「四国のお遍路さんは菅笠を持っているのではないのか?」と疑問に思われた方もいるだろう。現に、特に歩きで回っている人で菅笠使用の人は多い。ただ私は、かさばるからという理由で(それでなくても、自宅からの移動で大きな荷物を抱えるというのに)、かぶりものは登山用の帽子にしている。これだといらない時は丸めてリュックの中に入れることができる。また、雨具についてはレインコートかポンチョを着用する人が多いようだが、私の場合は蒸れて暑く感じるのが嫌だし、普通に町中や農村の道を歩くということであれば折りたたみ傘で十分である。もっとも、これまでの八十八所めぐりは雨具の必要はなかったが、これからどんな道を通ることになるかわからず、両手を開けるという意味でもこうしたものは用意したほうがいいのかもしれない。ともかくこの日は、まず藤井寺まで、右手で傘を差して、左手で金剛杖をつくという格好で歩く。
駅から40分あまりで11番の藤井寺に着く。大阪の藤井寺市民としては、やはり同じ名前ということで気になる札所である。朝7時を回った後だが結構多くの参詣者の姿が見える。早速焼山寺への道に挑んでもいいのだが、雨も降っているし、せっかく来たのだから挨拶代わりにちゃんとお参りしようと、ローソク、線香、お勤めという一連の所作を本堂、大師堂で行う。本堂横の弘法大師像も「登る気になったか。まあ頑張れや」と言っているように見える。
まだまだ空白のページが多い納経帳であるが、これもせっかく来たのだからと、四国初めての「重ね印」をいただく。西国三十三所と違い、四国の場合は納経帳に朱印をした日付を書かないので、ハンコをポンポンポンと3ついただくだけである。四国の場合は何度も回る人が多いから、いちいち日付まで書くスペースがないからだろう。1回目と同じように本尊御影と限定散華をセットでいただく。
一連のお参りと納経帳で時間をつくったためか、先ほどまで降っていた雨が小降りになり、全然気にならなくなった。スマホで雨雲の動きを見ると、先ほどまでが雨雲のピークで、この後の予報ではもう雲は通り過ぎるようだ。これは何というタイミングのよさだろうか。弘法大師が雨を晴らしたかのようである。
これを見てか、しばらく納経所の前で雨宿りをしていた何人かの人が遍路ころがしに向けて出発し始める。また、後の列車で鴨島に来たのか、新たに大きなリュックを背負って藤井寺に来る人もいる。混雑というほどではないが、この道を行こうという人はそれなりにいるものである。私もぼちぼち身支度をして出発する。弘法大師もそうだが、今回金剛杖に貼り付けてきた四国アイランドリーグの各チームのマスコットのシールにも「頼むぞ」と声をかける。時刻は間もなく朝8時・・・・。