まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

木次線に乗る~前編

2021年03月14日 | 旅行記F・中国

3月7日、宍道からの乗り継ぎで11時12分発の木次線備後落合行きに乗る。2両編成だが、後の1両は途中の出雲横田で切り離すという。同駅からの折り返し列車に充てるためだ。それを承知のうえで、後の車両に乗っているその筋の人たちも目立つ。ボックス席もあるし、とりあえず途中まででもいいのでゆったり行こうということか。

前の1両、備後落合まで直通の車両はロングシートにそこそこの乗客がいる。9割がたが青春18旅行者と見える。ロングシートだが体を横に向けても迷惑にならない形だ。

発車してしばらく走ると高架橋の下をくぐる。山陰自動車道である。木次線はこの先、少し離れた松江自動車道と並走することになる。かつては木次線が広島と山陰、松江を結ぶ役割を果たしていたが、今はすっかりこうした自動車道の勝ちである。

一方の木次線は早くものんびりした景色。ただその中でまた新しい道路が建設中である。

加茂中からは平野部を行く。3月に入り暖かい日も続いている。

木次で列車行き違いのために数分停車する。木次線のジグザグした路線図をヤマタノオロチのように描いた看板や、「き♡」という駅名標もある。「木次=き好き」ということか。

昔ながらの駅名標が残る日登から下久野にかけてが難所である。速度がガクンと落ちる。気動車の性能からすればすんなり走ることができるようだが、制限速度が25キロに抑えられている。JR西日本のローカル線ではしばしば見かけられる。線路や路盤整備にコストをかけるのが難しく、強い衝撃を与えないようゆっくり走ることにしているという。まあ、乗っている客のほとんどが先を急ぐ様子はなく、これ込みで3時間の乗車を楽しもうというところだ。

木造駅舎の出雲八代、物産販売所も兼ねた新しい感じの出雲三成を通る。以前に広島に住んでいた時は、木次線沿線をたどりながら近隣の観光スポットを回ったこともある。なかなか木次線だけで沿線のスポットを回るのも難しいところである。

亀嵩に到着。松本清張の『砂の器』で知られる場所だが、駅舎にそば屋が併設されていることで知られている。木次線で途中下車して食べる・・のはなかなか難しいこともあり、「そば弁当」が売られている。事前予約で何時の列車に乗ることを告げるとホームまで持ってきてもらえる。私も予約しようか少し迷い、結局注文しなかったのだが、ホームに着くと後の車両からも含めて10人ほどが最前部のドアにやって来た。早速ロングシートですする人もいる。

12時48分、出雲横田に到着。後の1両を切り離すこともあって13時09分発まで21分停車。時間的にもちょうど中間地点、休憩スポットということでホーム、駅前には客がぞろぞろ出て、トイレと撮影の時間となる。

駅舎は神社の拝殿をイメージした造りで、しめ縄まで飾られている。天気がいいので、駅前の広場で先ほどの亀嵩のそば弁当を広げる人もいる。

後の車両からあぶれ出た客でロングシートも埋まり、立ち客も出る(あえて、前方の車窓を見るために立っているとも言える)。出雲横田からはいよいよ、スイッチバックもある県境の本当の難所に向かうことに・・・。

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