まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

島根の湯村温泉にて一泊

2022年06月02日 | 旅行記F・中国

特急「やくも9号」で出雲市まで到着後、いったん改札を出る。手元の「広島市内~広島市内」の乗車券は宍道から木次線に入るルートのため、宍道~出雲市間は飛び出し乗車となり、別運賃を改札口で支払う。

当初はここで21日の乗車を終えて出雲市宿泊としていたが、出発の数日前になり予定を変更した。この日のうちに木次線に乗車して木次まで行って宿泊、22日の「奥出雲おろち号」には出雲市からではなく木次からの乗車とした。同じ乗るなら、沿線に宿泊したほうが少しでも木次線のためになるだろう。ならば「やくも9号」を宍道で降りればすぐに接続の木次線に乗れたが、最後まで乗りたかったのと、あまり早く木次に着いても宿のチェックインができないのとでそのまま出雲市まで行った。

今度はICカードで改札を通り、14時50分発の米子行きに乗車。宍道には15時19分に到着し、次の16時01分発出雲横田行きまで待つ。ホームにはすでにタラコ色の気動車2両は入っているが、省エネのため発車10分前までドアは開けないとの案内がある。いったん改札を出る。

その間に普通の益田行きが到着し、その行き違いで先ほど乗った国鉄色が「やくも24号」岡山行きとして到着。反対側ホームから見送るが、やはりこの車両にはこの塗装が一番似合っているように思う。新車導入まではまだ少し時間があるようだが、そのうち引退へのカウントダウンが始まると撮り鉄、乗り鉄がまた大勢押し掛けるのだろうな・・。乗るなら今のうち。

木次線の気動車もエンジンがかかり、車内灯もついてドアが開く。2両とも出雲横田まで行くが、乗ったのは4~5人。平日なら下校生が利用する時間帯でもう少し多いのだろうが。いずれもボックス席のある車両で、4人掛けにゆったりと腰かける。

宍道を出ると、次の南宍道にかけて上り勾配を行き、加茂中からは田園風景となる。この区間もトロッコに乗ることができたが、あくまで延長運転によるもの。普通のローカル列車に乗って移動するのもよいものだ。

16時39分、木次着。ここまで来た乗客は全員下車した。11分停車して出雲横田に向かうが、その間に乗って来る客はいるだろうか。確かに「奥出雲おろち号」は連日満員御礼だが、それ以外の定期列車となると・・。

さてこの日は木次に宿泊である。前年に「おろち号」に乗りに来た時は、松江道の三刀屋木次インター近く、国道54号線沿いにあるホテルに宿泊した。そのホテルでもよかったのだが、今回見つけたのは木次駅から雲南市のコミュニティバスで奥に入った吉田地区にある湯村温泉。一応、JTB時刻表にも路線図と時刻の記載がある。最近リニューアルしたという国民宿舎「清嵐荘」というのを見つけ、2食つきで予約した。翌日の「おろち号」の木次発は10時08分ということで、朝もゆっくりできる。

コミュニティバスは16時45分発。やって来たのはマイクロバスで、運賃は200円均一。まずは木次の町中を走り、吉田方面に向かう。それはいいのだが、途中のバス停の案内も何もない。乗客は私一人で途中のバス停にも人の姿が見えないから案内が省略されているのかもしれないが、ちょっと不安である。清嵐荘の最寄りバス停は湯村温泉だが、乗り過ごしてはいけない。

スマホの地図に表示される位置情報をチェックしていると、湯村温泉の案内板が出て、清嵐荘の建物が見えたところで降車ボタンを押す。バス停は清嵐荘の敷地に入った玄関前にあった。これで明日の朝も逃すことはないだろう。

湯村温泉といえば兵庫県にある温泉を連想するが、古くは奈良時代の「出雲国風土記」に「漆仁の川辺の薬湯」としてこの温泉の記載があり、その頃から湯治場の歴史があるようだ。ただ、温泉地といってもホテルが林立するわけではなく、清嵐荘の他には斐伊川を挟んでホテルがもう1軒、元湯の公衆浴場が1軒あるくらいと静かなところだ。

着いたのは17時10分すぎで、夕食は18時からでお願いしていた。ちょっと入浴には慌ただしいかと、温泉は食後としてそれまではテレビで大相撲中継を見る。この日は14日目で、横綱照ノ富士と平幕の隆の勝が優勝争いの先頭だったが、隆の勝が佐田の海に敗れて後退。前半苦しんだ照ノ富士が優勝争いの単独トップとなった(結果、翌日の千秋楽にも勝ってそのまま7回目の優勝となった)。

相撲中継を見た後でレストランへ。地元の産物を活かした会席料理である。まずは生ビールを注文し、前菜やら牛肉の陶板焼きなどをいただく。

雲南の地酒の飲み比べ。「純米無濾過原酒 要四郎」、「純米 KAKEYA」、「純米吟醸 美波太平洋」。

出雲ということでそば(割子1枚)も出る。木次の本田商店(創業約70年)のものという。

しかるべく飲んで食べて、最後は吉田産のコシヒカリ。近くには有名な仁多米があるが、町の名前を出すところにプライドがあるのだろう。

食後に、出雲国風土記からの歴史がある温泉に浸かる。元湯の公衆浴場と同じ湯を引いているそうだ。庭園風の露天風呂もあり、ちょうど日が落ちて周りの山々の稜線が広がる景色を楽しむ。こうした自然を感じるところに泊まるのも久しぶり。

あとは部屋でくつろぐだけ。但馬の湯村温泉と比べて静かすぎるところだが、素朴な雰囲気を真新しいお宿で過ごすことができてよかった。

さて翌朝。夜と入れ替えの大浴場で朝風呂。6時ともなれば外はすっかり明るく、山間の庭園風情を楽しみながらの入浴である。

朝食はこちら。雲南市吉田町は卵かけごはんでPRしているという。だし醤油も関東風、関西風それぞれある。ただ個人的に目玉と思ったのが、コンロでの焼き魚。のどぐろの干物である。のどぐろという魚、なぜそこまで高級魚としてもてはやされるのかいまだにわからないのだが、山陰に来ればごく普通に出回っている。

朝からしっかりいただき、また部屋でのんびりして、また周りを少し散策して、8時30分発のコミュニティバスで湯村温泉を後にする。さてこれから木次線「奥出雲おろち号」である・・・。

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