夏の「青春18きっぷ」のシーズン到来。前回の冬の分以来の使用である。
・・・ということで、「青春18」を利用した日帰り旅行ということでいくつかプランを組んでいたのだが、正直、関西を基点とするだけでもあちこちのコースができた。そのどれもがそれなりに「乗り鉄」の要素があり、見物・街歩きもあり、「飲み」も入るというもので、どれも甲乙つけがたい。
そんな折、ふとしたきっかけで聴いたのが樋口了一の「1/6の旅人」というナンバー。「サイコロの旅」で有名な北海道の「水曜どうでしょう」のテーマ曲である。なかなか旅心をくすぐられる一曲に、ふと「今回は、サイコロの旅にしてみようか」と思いつく。
・・・といっても行った場所でサイコロを振ってその目に従って次の行動を決める・・・というところまでの時間的な余裕はないので、一つここは大阪を拠点とした各方面にサイコロの目を割り当て、その出た目のコースに出向くことにする。
その目とは・・・
1→山陽線を西へ、岡山を通って井原鉄道の乗車、福山の鞆の浦あたりを見物。
2→姫新線を走り抜け、中国勝山や井倉洞、備中高梁あたりを回る。
3→福知山線・山陰線で城崎へ。温泉に浸かった後北近畿タンゴ鉄道、小浜線を回る。
4→岐阜から高山線、太多線、あわよくば明知鉄道にも乗車。
5→東海道線を東へ。天竜浜名湖鉄道に乗車。
6→近鉄線で鳥羽まで出て、廃止間近の伊勢湾フェリーで伊良湖岬へ。
・・・さて、7月25日の早朝4時。プランによっては始発電車に乗らなければならないものもあるということでえらい早い時間に机の前に座る。それでも外は明るい感じで、早くも真夏日間違いなしの空模様である。
ここでエイヤッとサイコロを一振り。・・・・出た目は「6」。
ということで、近鉄線で鳥羽まで出て伊勢湾フェリーで伊良湖岬へ、その先豊橋まで出るということに決定。近鉄電車と伊勢湾フェリー、それに豊橋鉄道のバス・電車の運賃がかかるから、最も「青春18」の乗車区間が短いコースではあるが、その分バラエティには富んでいる。
阪急で梅田まで出た後、地下鉄でやってきたのが近鉄上本町駅。関西にいながら、この駅の頭端式ホームから乗車する機会というのは記憶にほとんどない。その意味でも新鮮な感じがする。
これから乗車するのは6時15分発の快速急行鳥羽行き。最初は「久しく参拝していないし、伊勢神宮に寄ろうかな」という頭もあったのだが、ここへ来て乗り換えなし、料金不要で鳥羽まで一気に行ってしまおうという気になった。2時間半で紀伊半島を横断できるというのも面白い。
写真を撮った後ろ寄り大阪方はロングシート車両であったが、前のほうは転換クロスシート車である。長時間乗るのだからとそちらに向かい、空席を見つけて座ると発車ブザーが鳴り出した。残念ながら先頭車両の撮影はできず。
鶴橋でそこそこの数の乗客を広い、河内平野を快走。大阪府内はノンストップで奈良県へ。日曜朝の早い時間だが結構乗り降りがある。クロスシートも4分の3ほどが埋まる。やはりこっちのほうが快適である。
緑の濃い大和盆地を抜け、伊賀に入る。この辺りは快速急行でも連続して停車するところで、アーバンライナーなどの特急に乗っていたのではなかなかゆっくり見ることのない駅名標を見ることもできる。近鉄線の「秘境駅」西青山駅も停車する。
伊勢平野に出る。伊勢中川でほとんどの客が下車。津・名古屋方面の電車に乗り継ぐ客が多い。一気にガランとした車内でさらに東へ。松阪、伊勢市とJR参宮線とも並走する。「青春18」の旅であれば関西線なり草津線なりに乗車して亀山、そして紀勢線、参宮線と乗り継ぐわけだが、申し訳ないが鳥羽に来るまでで半日仕事になってしまう。このため関西から伊勢といえば近鉄ということになる。
8時37分、鳥羽に到着。真新しく、ハングルや中国語の表記も目立つ鳥羽駅。早くも夏の日差しが照りつける。それでも鳥羽の海の風景を眺めると少しは涼しく感じ、やはり来てよかったなと思わせる。