まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

仮面舞踏会 ひこ、踊れハムレットな憂艶を

2008-01-30 | 中国・台湾・香港映画
 よくTVに出てくる映画評論家たちを見ていて...
 某女性評論家。まるで皇室の方?と思えるような喋り方や表情、仕草。年末年始は毎年NYで過ごすだの、アカデミー賞会員に友人がいるだの、それ自慢?な誰も訊いてねーよ!な話をしたり。上品ぶること、必要以上に自分を良く見せたがる癖。私にもないとは言えない...
 某オネエ評論家。すごい独断と偏見の押し付けですよねえ。公共の電波を使って、あれはちょっと...自分の好きなものはみんな好きなはず!好きになるべき!好きにならない奴はおかしい!自分の嫌いなものに価値はゼロ!な言動、私もしてないかしらん?と怖くなる...
 最近とみに、人のフリみて我がフリ直す、を肝に命じる私なのだった。
 
 「女帝 エンペラー」
 シェイクスピアの「ハムレット」を、中国の五代十国時代に置き換えた物語。
 兄を謀殺し皇帝となったリーは、美しい兄の皇后ワンをも手に入れる。義理の息子で皇太子のウールアンを守るため、ワンはリーとの愛欲と血にまみれた権力闘争に身を委ねるが...
 ハムレットの大胆かつユニークなアレンジのされ方が、すごく面白かったです。本家の人間関係より、退廃的かつ禁断的。ただし、せっかくの耽美な設定が、あまり活かされてなかったのが残念。もっとドロドロで淫靡な感じにしても良かったのではないか、とも。
 皇后ワンの、おどろおどろしい女心が怖い!本心を隠すため演じる冷酷さや、ウールアンの恋人への嫉妬とか、愛のためなら鬼にも蛇にもなる!って感じです。でも、悪女って感じは全然ないんだよなあ。ほんとはこんなのイヤなの、みたいな可哀想な女って描き方が、悲劇を甘くしてるような。愛の名のもとに、血なまぐさい権謀を楽しんでいるかのような、そう、ヴィスコンティ監督の「地獄に堕ちた勇者ども」のイングリッド・チューリンみたいな魔性の貴婦人だったら、ゾクゾク魅せられただろうに。まあ、演じてるのがチャン・ツイイーなので、そこまで求めるのは酷というもの。
 チャン・ツイイーはやっぱ、可愛い顔してキツい女の役が似合いますね。凛とした気の強そうなところが魅力的。同じ可愛い幼女顔でも、ぶりぶりぶりっこばかりな日本の女優たちとは、気概とか根性が違います。若いし可愛すぎるので、男たちをたぶらかし操り、宮廷に君臨する女帝の貫禄や重々しさ、妖しさには欠けてるのは仕方ない。入浴する前の後姿ヌードや皇帝に乳もまれるシーンは、明らかに吹き替え。エッチなシーンには、まだ覚悟ができてないツイイーちゃんです。お得意の踊るような武闘シーンは、さすがな美麗さ。
 ワンのウールアンへの想いは、ほとんど一方通行な邪恋ですよねえ。かつては愛し合ってたって設定みたいですが、ワンが独りでアレコレ気を揉んでるだけで、ウールアンはもう何とも思ってなさそうだったし。ウールアンのほうが、もうちょっとワンへの未練を示していれば、切ない禁断純愛色が強くなってただろうなあ。そうかといって、執念深い独りよがりな邪恋の怖さ面白さも希薄だったし。愛の機微が中途半端。
 華流ハムレット、皇太子ウールアンがねえ。良く言えば、掴めないミステリアスな男。悪く言えば、考えているようで何も考えてない流され男。別に復讐に燃えてるようでもないし。いろいろ動いてるにも関わらず、何もしてないって印象。もしこれが、そんじょそこらのイケメン俳優が演じてたら、ただのバカ王子になってたかも。そんな危険性を回避できたのは、ひとえに適切なキャスティングのおかげ。
     
 彦ことダニエル・ウーが、憂愁の王子ウールアンを魅演。いやあ、ほんと彦って、美男やわあ。時代劇でも、香り立つエロっぽさ、じゃない、色っぽさ白い衣装が、清爽かつ艶めかしい。何もしなくても、ただそこに存在するだけで、周囲を狂わせてしまう魔力を持つ“運命の男”は、彦ぐらいの男前でないと説得力がありません。あんな王子さまの夜伽に侍りたい♪闘うシーンでのカッコよさも、さすが!ツイイーとの白鳥の湖もどきの踊る?シーンが笑えた。でもホント、あんなにセクシーで、あんな俊敏なアクションができる俳優、やっぱ日本にはいないよなあと惚れ惚れ。欲を言えば、ハムレットらしく強烈な怨念に憑かれた狂気的演技をする彦、見たかったけど。キャラ的には、ちょっと残念。あくまでチャン・ツイイー主演なので、出ずっぱりってわけでもないのも。あと、無駄脱ぎもなかった。彦も、だんだん脱ぎ惜しみ始めてる?
     
 オフィーリア的役には、「中国の小さなお針子」のジョウ・シュン。彼女の兄で勇猛な武将役ホァン・シャオミンが、すっげ男前精悍でワイルドかつ端麗で華がある。あの兄さん、どう見ても“僕は妹に恋をする”状態でしたよねえ。あんな兄ちゃんがいたら、近親相姦もありえる♪
 皇帝役は、「活きる」でカンヌ男優賞を受賞した名優グォ・ヨウ。皇帝、ぜんぜん悪い人って感じしません。皇帝なのに、ツイイーにマッサージさせられたり。
 衣装や宮廷のセットが、ダークかつ華麗で目に楽しい。でも、豪華感が希薄なのは、CGも多様してたから?おなじみのワイアーアクションも悪くないけど、無理やり武侠ちっくにするのも、いかがなものか。
         
 ああ~私も女帝になって、こんな男たちを日替わりで夜伽させる逆大奥したい~!
コメント (2)
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