まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

お受験男子☆

2013-02-18 | イギリス、アイルランド映画
 「ヒストリー・ボーイズ」
 80年代、英国シェフィールドの高校。進学クラスの優等生8人“ヒストリーボーイズ”は、校長や指導教師たちを翻弄しながら、名門オックスフォード大学入学を目指して勉学に励むが…
 いや~これ、なかなかの拾い物的な佳作でした。ヒットした舞台劇の映画化だとか。金八先生系の学園ものは正直苦手なのですが、この映画は生徒同士、生徒と教師間の友情や葛藤をベタベタしくも必要以上にドラマチックにも描かず、爽やかで楽しいハイスクールライフになっていたので、最後まで好感をもって観ることができました。

 ヒストリーボーイズ8人が、みんなチャーミングで個性的です。一見、風貌もフツーで(デブ、ブサイクもいる)言動もおバカでチャラくて軽いのですが、授業中のディスカッションや教師との日常会話などでの、サラリと出てキラリと光る知的さや博学さは、かなり感嘆もので圧巻です。やっぱ脳みそが私なんかとは違うんだなあと、あらためて頭のいい人への羨望にかられてしまいました。頭が良くて自信たっぷりだけど、それをひけらかしたりスカしてたり、頭のいいことで他者を傲慢に見下したりしてないところがカッコいい。受験だけに必死になってるガチガチさもなく、受験勉強でさえ楽しんでるような余裕と自由闊達さも、日本の受験ドラマにはない異質な新鮮さでした。

 ヒストリーボーイズたちの、受験地獄とか受験戦争とかいった重苦しさや暗さとは縁のない、クラブ活動みたいに勉強してる姿を見てると、楽しそう!仲間に入りたい!と思ってしまいます。歌を歌ったり、即興ミュージカルや映画の再現とか取り入れてたり、ほんと楽しそうなんです。でも、その歌も演劇ごっこも、かなり知識と頭の回転の速さが必要で、誰でもできるといったものではないところが、やはりフツーじゃない選ばれた若者たちって感じなのです。
 BLの元祖といえば、やはり英国の学園もの。この映画もBL要素ばっちりで、ヨコシマな腐の期待を裏切りません。イギリスの高校の制服を見ただけで萌え~になるのは、かなり重症に腐ったYAOIです。
 ヒストリーボーイズたちの中では、チョイワル色男のデイキンと、感受性の強いホモっ子ボズナーが、キャラも見た目も特に個性的で魅力的でした。

 デイキンくん、小悪魔!こんな奴、いるんですよねえ。自分の頭とルックスの良さは十分自覚してるんだけど、別にそれを悪用したり自慢してるわけではなく、常にマイペース。気まぐれで欲望に忠実な言動が、人を惹きつけ時に傷つけることも。残酷さにも優しさにも計算や悪意がないので、恨まれたリ憎まれたりすることもない。私もこーいう男に弱いんですよねえ。女だけでなく、男にもモテモテ。ゲイの教師たちと同級生(何というゲイ率の高さ)に熱く片想いされても、嫌悪や拒絶反応などカケラも見せず、かといって思わせぶりな優しさなども見せないデイキンくん、好奇心で先生を誘惑したりと、ゲイにとっては罪すぎる、腐にとっては素敵すぎる男子でした。
 デイキンを好演してるのは、アマンダ・セイフライドの元カレとしても有名なドミニク・クーパー。濃顔の男前です。フセインの息子とその影武者の二役を熱演した「デビルズ・ダブル」での彼の肉体美とエロいフェロモンは、なかなか強烈でした。

 ボズナー役のサミュエル・バーネット、どっかで見たことあるな~と思ったら、あ!リンリー警部シリーズ「寄宿舎殺人事件」で、ヘンリー・カヴィルとBLっぽい関係だった男子じゃん!いかにも草食系な風貌、ちょっと屈折した繊細さが、絵に描いたようなゲイ。ご本人はどうかは不明ですが、ゲイ役しかもらえないのではと心配になるほどハマってます。ひ弱な見た目だけど、気が強くてゲイであることもデイキンが好きなことも隠さず堂々としてるところは、誰よりも男らしくて好感を抱かずにいられません。
 指導教師のヘクター先生とアーウィン先生が、どっちもゲイ!なのもスゴいです。特にデブ老人のヘクター先生、教え子にセクハラするなどかなり問題教師です。それに対する生徒たちの対応が、優しくてクールすぎ。日本じゃ考えられない。道化キャラなヘクター先生の、醜い老人ゲイの悲絶望や悲哀が、すごく痛ましくもありました。
 ラスト、ある人物の葬儀でヒストリーボーイズが歌う“ブラックバード”が、美しくも悲しい歌で胸に染み入りました。演劇的な手法で語られるヒストリーボーイズの将来も、微笑ましくも切なかったです。

 ↑濃ゆい野郎系の男前&薄い乙女系の優男、なんてBLのお約束すぎるカップリング(笑)
 この作品、日本でぜひリメイクしてほしいなあ。



 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする