まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

愛と悲しみの猛毒妻

2013-02-26 | 北米映画 60s~70s
 特選!恐怖の大女優映画祭②
 「バージニア・ウルフなんかこわくない」
 歴史学者のジョージとその妻マーサは、夫婦喧嘩の最中に若いカップルを客として家に迎える。はじめは愛想よくもてなしていたジョージとマーサだったが、やがてカップルを巻き込み激しい罵倒合戦を勃発させるのだった…
 夫婦喧嘩は犬も食わない、といいます。この作品の夫婦のそれには、犬どころか狼もシッポをまいて逃げ出すに違いありません。演じるのは、結婚・離婚を繰り返した世紀のぷっつんカップル、エリザベス・テイラー&リチャード・バートン。彼らが繰り広げる、まさに生死を賭けた壮絶な夫婦喧嘩!

 手や武器を使う暴力はいっさいなし。ただひたすら、どっちがより相手の心を痛めつけ、傷つけるかを競い合うように、罵詈雑言を浴びせ続ける。その様子と内容の、エゲツなさときたら!特にリズ扮する妻の毒舌が圧巻。よくもまあ、今まで殺されずにいたことよ、と呆れおののいてしまうほど、憎々しく痛烈な言いたい放題ぶり。これでもか!と、完膚なきまでに、夫の人間性やプライドをズタズタに辱め、ボロクソに貶める。夫も負けじと、ネチネチと陰険な皮肉で応酬するものの、しょせんは小技。妻の猛毒口撃に、もう瀕死状態。でも、たったひとつだけ、一人息子に関する秘密という、一撃で怪獣妻を倒せるリーサル・ウェポンを隠し持つ彼が、今か今かとそれを出す機を狙う様子も狂気じみていて、毒妻に負けず劣らず恐ろしい。このイカレ熟年夫婦の死闘?に、もう一組若いカップルも参戦し、事態はますますヒートアップしていく過程が、元は舞台劇らしく、ほぼ4人の登場人物だけで展開され、最後まで緊張から解き放ってくれません。

 とにもかくにも、猛女リズのド迫力!かつては映画史上最高の美女と謳われた彼女が、最強のオバタリアン(死語?)に変貌!ずんぐり体型でアル中気味、怒涛の勢いで毒を撒き散らす、他人も自分自身をも傷つけずにはいられない、愚かで悲しい女を大熱演。激流のように吐き出す膨大な台詞、内面に抱えた愛への渇望や虚しさがうかがえる表情。アカデミー主演女優賞受賞も納得のインパクトです。演技とはいえ、その下品で卑猥で凶暴な態度は、あまりにも非道すぎて笑えるほどです。自分の夫や恋人を苦しめたい時には、大いに参考になります。絞め殺されるのがオチですが…
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