まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

マザコン美男奮闘記

2020-05-08 | フランス、ベルギー映画
 久々の更新!皆さま、息災にお過ごしのことでしょうか。なかなか見えてこないコロナパニックの終わり。不安と不満は募るばかりですね。コロナが日々あぶり出す、政治家や有名人の欺瞞、偽善、独善、そして彼らと庶民との格差。日本がこんなにも弱者や貧乏人に冷たい国だったなんて。そんなに自覚してなかったけど、私がいかにワーキングプアかもあらためて気づかされました。生活に困ってない、コロナになってもすぐに検査や入院ができる権力者や芸能人が何を言おうと心に響かない。自分が気持ちいいだけ、ありがたく思え的な上から目線の励まし、応援メッセージとか、本当にやめてほしい。黙ってお金を医療機関に寄付するだけにしてほしい。河井案里夫妻がボーナスを満額受け取ることを許すような政治を、いったいどうやって信じればいいのでしょうか。

 とまあ、コロナのせいで私の心もますます暗く狭くなってしまってるようですこんな時にこそ、佳い映画やドラマをたくさん観たいのだけど…今は映画やドラマそっちのけで、アニメ「鬼滅の刃」にハマっちゃってます老いも若きも周囲がこぞって観てるので、私もいつの間にか乗せられて、今じゃすっかりaddicted!アニメにハマるなんて生まれて初めてかも。皆さま、コロナはもちろん、メンタルの健康にも気をつけて過ごしましょう。明けない夜はないと信じたい。でも夜明けはいつ?教えて富岡義勇!

 「母との約束、250通の手紙」
 シングルマザーのニナは息子のロマンを溺愛し、将来彼が高名な人物となると信じていた。プレッシャーに苦しみながらも、そんな母の期待に応えるためロマンは作家を志す。第二次世界大戦が勃発、フランス軍に入隊してパイロットとなったロマンを、ニナは手紙で激励し続ける。やがてロマンは作家デビューするが…
 フランスの高名な作家ロマン・ガリの自伝「夜明けの約束」の映画化。愛しのボーギャルソン、ピエール・ニネの新作をようやく観ることができました~。ニネっち、やっぱ類まれな俳優ですね~。日本の同世代の男優たちが雀ならニネっちは孔雀。それぐらい容姿も演技もレベルが違い過ぎます。今回のニネっち、これまで以上に美しく可愛く、ドラマティックで凄絶でした。その美貌と入魂の演技には、ただただ魅了され圧倒されるばかりでした。

 明るく優しく知的でエレガント。若さと才気でキラキラ、絶望や狂気でボロボロ、まるで万華鏡の演技。チャーミングで印象的なシーンばかりでしたが、いろんな女の子とのエッチシーン連打やママとタンゴを踊るシーン、ロンドンでの決闘シーン、アフリカの戦地で熱病に犯され死の床から復活して全裸で屋外に飛び出すシーン、が特に好きです。どのシーンも日本の俳優には無理な難易度の高さです。キュートで優雅でエロくて狂気的なめくるめく演技と、まるで彼のプロモーション映画のようなファッション七変化に、ニネっちファンは満悦間違いなし。彼のファンではない人、彼が苦手な人には苦痛かもしれないほどに、ニネニネな映画となってます。

 高い演技力もニネっちの魅力ですが、私は彼の飾らない優雅さが好きなんですよ。どんな役、どんな服を着ても、いや全裸でも洗練されてるんすよね~。ロンドンでの粋なスーツ姿、フランス軍の軍服でのパイロット姿など、絵になりすぎなほどカッコいいけど、コスプレ感はなく自然に着こなしてました。とにかく気取りとか全然なくて、常に温かく優しいニネっちが好きです。演技も見た目も大したことない多くの凡百な俳優のほうが、傲慢でナルシストで鼻につきます。

 そんな優しく賢いニネっちにピッタリな、今回のママ命なウルトラマザコン役。ママは絶対的な神のような存在、彼女の望むまま言われるまま私欲や自我を捨てて血のにじむ努力や忍耐を自分に課して生きるロマン・ガリ役のニネっちが、痛々しくも愛おしい。とにかくけなげにママの期待に応えようと奮闘するロマン、悲壮なんだけど度が過ぎるともう滑稽で笑えた。そう、この映画ってかなり笑えるシーンが多くて意外でした。悲劇的な物語かと思いきや、喜劇の部分も色濃かった。ママに振り回されてオロオロアタフタ、テンパリすぎるニネっちはかなりコミカルでもあって、元々はコメディが得意な彼の面目躍如ともいえる珍妙さツボでした。

 ロマンの少年時代も、激烈かつ滑稽なエピソード満載で、ませた女の子に恋して彼女の言いなりになるロマンや他の男子たちは、ガキんちょでも恋に命をかけるなんてさすがフランス人!(役はポーランド人でしたが)と感嘆しました。カタツムリを生きたまま殻ごとバリバリ食べるのは、かなりゲロゲロ(死語)でしたが。ガキんちょロマン役の子役が可愛かった!世渡りのための処世術というか、母子そろってはったりやごまかしが上手で、詐欺の才能があるところも笑えました。

 ママ役はシャルロット・ゲンズブール。フレンチロリータだった彼女も、こんな役をやる年齢になったのですね~。隔世の念を禁じ得ませんが、おばさんって感じは希薄。若々しいとかアンチアイジングって感じではなく、いい感じに枯れてきているナチュラルさ。風情がカッコいい。煙草が似合う。過剰な愛情と期待を息子に押し付け、脅迫まがいのプレッシャーをかけまくるトンデモない毒母で、はじめはロマンが可哀想!とドン引きしたりムカついたりしてたのですが、だんだんと特異な形の応援、激励、後押しに思えてきました。

 怨念に近い信念で息子を大成させる猛母を激演してるシャルロットもまた、エキセントリックすぎて笑えるんですよね~。彼女もニネっち同様、笑いは確実に狙ってました。まだ少年の息子がエロいメイドとエッチしてる現場に遭遇してキエー!!と激怒して大暴れとか、かなり笑えました。ニネっちとタンゴを踊るシーンでは、とてもママには見えず年の差がある恋人同士にしか見えなかったです。

 母と息子の愛憎ドラマというより、数奇な運命を生きた男の波乱万丈な冒険物語、みたいな映画でした。ロマンをダイヤの原石と信じて疑うことがなかったママはすごい慧眼の持ち主でしたが、ロマンが才能と強運に恵まれた肉体的精神的にもタフな男だったのは、彼女にとっては本当に幸福なことでした。もしもロマンが凡庸な息子だったら、あんな過信は滑稽な狂気になるでしょうし。艱難辛苦だけど幸せな人生を送ったママと違って、自分を殺してママのためだけに生きたロマンの生涯は不幸でした。でも、夜空を一瞬だけ華やかに彩って消える美しい花火のような人生は、私には羨ましいかぎりです。

↑ ニネっちのお気に画像、集めてみましたわいな~。私生活では恋人がご懐妊!もう生まれたのかな?素敵なパパになりそう。わしもニネっちの子ども産みたい!大やけどを負うイケメン消防士役の“Sauver ou périr”が、日本で次に公開される主演作になりそう。親友フランソワ・シヴィル主演作“Deux moi”に友情出演、“Lisa Redler”ではセクシーなラブシーンもあるみたい。どれも待ち遠しい!

コメント (8)
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