まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

スコットランドはイギリスにあらず

2020-05-19 | 北米映画 15~21
 「アウトロー・キング スコットランドの英雄」
 14世紀初頭、イギリスに侵攻され服従を強いられたスコットランド。仲間とともに蜂起したロバート・ブルースはスコットランドの王となり、イギリスから独立するための戦いに身を投じるが…
 中世イギリスの宮廷内権力争いや内乱を描いた映画やドラマは数多く観てきたけど、スコットランドの王室や政治情勢にはあまりなじみがありません。有名なメアリー・スチュアートの悲劇ぐらいしか思い浮かばない。この映画の主人公、ロバート・ブルースのことも恥ずかしながら存じ上げませんでした。ロバートが苦難の末にイギリスに勝利する物語なのですが、それにしてもイギリス、とことん悪者として描かれてました。その冷酷で残虐な支配者っぷり、イギリス人が観たら不愉快になるのでは。それとも、大英帝国に反旗を翻す者どもは容赦なく叩き潰す!な描写にはもう慣れっこになってる?この映画でも暴虐のかぎりを尽くしていてました。本当に非道いことをしてたんですね~。私のような無知な外国人が観たら、イギリス人は悪魔としか思えなくなるような映画、時代劇にせよ現代劇にせよ多いですよね~。

 これでもか!とスコットランド人を虐げるイギリス人。その方法がとにかく残酷!首つりした状態で、まだ生きてるうちに腹を裂いて内臓をエグリ出し!とかウゲゲゲ野蛮すぎてホラーです。エドワード1世とその息子である皇太子が、血も涙もない悪党。何をするにも、気に食わないから!言うことを聞かないから!自分の地位を守りたいから!という感情的で私的な理由なので、スコットランド人はもとよりイギリスの国民も可哀想。皇太子なんか、親父に愛されない認められないというフラストレーションのはけ口にしてるようだったし、人間的すぎる凡庸な人間が権力を握ったら怖いと思いました。

 イギリス側の横暴や暴虐のインパクトが強いせいか、主人公のロバート・ブルースの影がちょっと薄かったような。すごい辛酸をなめてるのに、そんな感じがあまりしない恬淡さ。これはおそらく、演じてたクリス・パインの個性によるところでしょう。偉業を成した中世の王さまらしいカリスマ性とか神秘性、重厚な風格とかは全然なかったけど、今まで見た中では最も男前でした。ワイルドな風貌、荒々しい演技も新鮮。初の時代劇に気合が入ったのか、まさかの全裸セックスシーン&全裸行水シーンにも挑戦。お尻もアソコも堂々と披露してました。ハリウッドの人気男優には珍しい頑張りは称賛に値します。

 勇猛果敢なシーンもカッコよかったけど、笑顔がとにかく優しいクリス・パイン。絶対いい人ですよ彼。だだやっぱ、ハリウッドのスマートなイケメンっぽさが拭いきれてなかったのが、ちょっと残念でした。白いセーターを着てるオシャレなセレブに見えたり。これは「キング」のティモシー・シャラメも同じでした。自国のロイヤルな貴人をアメリカ人のハリウッドスターが演じることについて、イギリス人やスコットランド人はどう思ってるのか気になります。

 ロバートの家臣役で、アーロン・テイラー・ジョンソンも出演。彼もイケメン。戦場シーンではまるで鬼滅の刃の伊之助みたいな猪突猛進キャラで笑えた。ロバートの妻役は、今年「ストーリー・オブ・ライフ わたしの若草物語」でオスカーにノミネートされるなど、最近躍進著しい気鋭の若手英国女優フローレンス・ピュー。ぶりっことは無縁なふてぶてしいまでの逞しさに好感。夫婦の営みシーンでは、彼女も堂々の脱ぎっぷり。健康的で瑞々しいおっぱいでした。

 イケズな皇太子役の俳優が、なかなかの好演&けっこうイケメン。誰?と調べてみたら、「ベロニカとの記憶」で主人公の若い頃を演じてた俳優と同一人物と知り驚きました。ベロニカではイケてなかったのに、今回の彼は別人のようにイケてました。ビリー・ハウル、わりと売れっこでいろんな映画に出てるみたい。今後が楽しみな役者です。
 ラストの英国軍VSロバート軍の激突バトルシーンは、これまた血みどろ血しぶきのホラーで、気の弱い人は観ないほうがいいかも。お話以上に、スコットランドの荒涼とした美しい風景に魅了されました。天気がいつも悪い陰鬱な空や空気感も、どこか透明感があって趣深いです。中世のイギリス、スコットランドの衣装も好き。華美ではなくシンプルなのが返って美しい。
コメント (2)
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